第15話2-3:ミイラ6体
昨日の砂浜に着くとミイラが6体チョロチョロしていた。私はそれをぼんやり見ていた。しかし、そうもしていられないから私たちは彼らのところに近づいた。
砂浜へ降りる階段を使用しながら、私はそのカラフルな包帯のミイラたちに驚いていた。赤・青・緑・黄・桃・黒と、その包帯はどこかの戦隊モノを思い出す色合いである。昨日の暗い中では気づかなかったが、おそろしいカラフルさであった。
私たちが近づくとそれに気づいたのか、手を挙げるもの・離れたところから集まってくるもの・ただ見つめてくるものと色々な反応があった。色合いだけではなく性格も色々とあるようだった。私はどのミイラとなら仲良くできるのだろうかと、戦いの前から戦々恐々としていた。
「うちらを待たせるなんて、女性との別れを惜しんできたの?」
桃色ミイラは女性的な体躯だった。
「別にいいじゃん。わしらも今来たところだし」
黄色ミイラはふっとりとした体型だった。
「遅刻ではないが、もう少し戦いの意識を持て」
黒色ミイラはシュッとしていた。
「あいは戦いのこと以外どうでもよい」
青色ミイラは背が高かった。
「おらは再会が嬉しいぞ。でも、もう飽きたぞ」
緑色ミイラは小柄だった。
「あたしたちに何か言うことがあるんじゃないの?」
赤色ミイラは桃ミイラよりバストとヒップが大きかった。
「みんな、昨日はありがとう。そして、俺の横にいるのは味方だ」
私と一緒にいたミイラは白い包帯だから白色ミイラと名づけておこうか。この白ミイラは私を手でさしてで紹介してくれた。
「みなさん、初めまして。私ぶぁ……」
「わー人間さんだー!」
桃色ミイラは勢いよく私に抱きついてきたので、自己紹介を途切れさせてしまった。急なため少し心臓に悪い抱きつかれ方だった。
「な、なんですかあなたは?」
「うち、桃ミイラだよー。そう呼んでね!」
ほっぺをスリスリさせながら要求してきた。
「も、桃ミイラさん。私は……」
「人間さんって呼んでいい?」
また自己紹介を中断された。
「に、人間さんですか?」
「そうよ。いいでしょ?」
「でも、私にはきちんとした名前が」
「人間さん、人間さん!」
そのまま聞く耳を持たずに子供のような甘え方をしてきた。私はどうしたものかと苦笑いを浮かべることで精一杯だった。
「ちょっと、桃ミイラ!」
そこに赤ミイラが威厳のある声で近づいてきた」
「な、なによ、赤ミイラ?」
「そんなことしたらダメでしょ?」
そうよ、赤ミイラ。このほっぺスリスリしてくる子に対して注意して。私をこのどうしようもない困った状況から助けて。
「なんでダメなのよ?」
「あたしも混ぜて!」
「あなたもー!?」
赤ミイラも抱きついてきて、皆で地面にコケた。私は1体だけでもどうしよういもなかったのに2体目に抱きつかれたので、もう観念した。これが敵のゾンビなら死んでいたところだったが、そうでなかって良かったと思った。
「これが百合ってやつか。わしはいいものを見せてもらった」
「趣味嗜好は人それぞれだが、俺のいないところでしてくれよ」
「ちょっと待って、誤解がー!」
私が突然の誤解に焦っている横で、黄ミイラは熱い目で見て、黒ミイラは冷めた目で見ていた。
「あいにとって気になる事象ですね」
「おらにとって昨日まで興味あったけど今は興味ないことです」
「だから、違うって!」
青ミイラと緑ミイラも誤解していた。
「まぁいいじゃねぇか。雛鳥だって密集して温め合うらしいし」
「あなたは別の勘違いしてるー!」
白ミイラは誤解していた。
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