第14話2-2:夜が明けて

 夜が明けて、曇からかすかな光が大地に降り注いでいた。私たちは安全だった公園から出て、危険だと思われる昨日の海岸に向かうことになった。浜風は昨日より強く、波も少し荒れているように見えた。

「お前、大丈夫か?」

「あら何?私のこと心配してくれるの?」

 私は心配してきたミイラ男におませな態度をとった。

「いや、足にアリとかがいっぱいついているから」

「ぎゃー!」

 私は足を振り、手で払い、叫び散らした。

「どうやら大丈夫そうだな」

「全然大丈夫じゃないわよ。ゾンビの前に虫にやられそうだったわよ」

 私の足は少しかぶれていた。

「それにしても、お前、化粧とかしないのか?一応女性だろ?」

「……どこに気を使っているのよ?化粧なんかしている場合じゃないでしょ?それに、急いでいたから化粧道具を持ってくるのを忘れたわよ」

「お前、本当に化粧するのか?」

「腹立つわね!私を何だと思っているのよ!」

 今日も一言多いのが、逆に安心した。

「さて、向こうについたら紹介しなくちゃな」

「何が?」

「何って、お前に俺の仲間を紹介するんだよ。一緒に黒フードのところに攻め入るんだよ。仲良くしてくれよ」

「……まだあなたと仲良くできていないから、自信有りません」

 私は肩を落としながら浜風を感じていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る