10 暗黒剣法
1週間近く過ぎていた。ネビルとメリッサはモリヤ・モンドのもとに再び呼び出された。何でもテスト期間を終了し、これから先のことが決まったらしい、このまますぐに帰されるのかそれとも何らかの過程を経て老師と会ったりできるのか結果が出るらしい。
ネビルはと言うと、この数日間、総合格闘技や、中国拳法、古武道や剣術などの道場をいくつも回り、実戦さながらの厳しい特訓を受けていた。メリッサの方はコロニーの中に再現された山やせせらぎのある自然地帯に連れて行かれ、午前中は自然農法の畑仕事、午後はヨガや滝に打たれたり、粘土をこねて陶器づくりなど、精神的な修行を行っていた。
「さて、二人とも突然の無理な指示に戸惑うこともなく、よく頑張ってくれた。ネビル君は、技術的なものはまだまだこちらで教えられることもあるが、いくつも生死をかけた修羅場をくぐりぬけてきた本物の強さがある。メリッサは格闘技の練習をさせずとも愚痴一つこぼさず、初めてのことにも進んで挑戦した。君は若いだけでなく、聞く耳を糯、自分を変えていける力を持っている。二人とも合格だ。ハカイオウに関すること、暗黒剣法に関することで伝えたい大事なことがある。明日はグレイシス将軍が主催するこの巨大コロニーエリュテリオンの重要なイベントがある。そこで集まってくるみんなに紹介しよう。2人に協力できることが何かあるかもしれない」
「有難うございます」
そして二人はイベントに参加することとなったのである。
ここ、広大な宇宙コロニーエリュテリオンでは、大洋電機ですべてのエネルギーをまかない、水や空気を循環させて盛り屋せせらぎを保つことにより、人口の施設とは思えないような自然に満ちた空間を造っている。人口の半分以上を占める武道家やその関係者たちは、武道の試合や修行のほか、自然農法や林業をもとにして、陶芸や木工などをやる人も多く、高級無農薬野菜や果物、伝統工芸の里としても有名になっている。とても平和な里ではあるが、ロボット兵にもひけをとらない武道アーマー部隊は他の支配者に1目も2目も置かれている。その高い戦闘力だけでなく、規律と行動力も群を抜いているのだ。
そしてついにイベントだ。この土地で採れた無農薬野菜などの食材をふんだんに使った料理を、ここで焼きあげられた様々な陶器、ガラス工芸、木工、竹細工などを使った食器に盛り付けて、芸術を鑑賞するように美食を味わう、なんとも美麗美味なイベントなのだ。
会場に入ると、あちこちに美しい女の人がいて、花を飾ったり食器を用意したりして忙しそうに働いていた。みんな知的な感じで、とても武道をやっているようには思えない。
「いらっしゃい。ネビルさんとメリッサさんね。私は案内係を務めます、クィーンウイングスのアイリーンと申します」
「クィーンウイングス?」
クィーンウイングスとはあのルパートのマリア・ハネス・メルセフィスが王朝復活を宣言した時に、このアドニス開拓地区や遠く地球まで声をかけ、優秀な女性のスペシャリストを集めてできたのだと言う。芸術や科学、スポーツ分野まで若く優秀な女性が集められ、古代の街の復活や博物館、美術館の整備などいろいろな仕事を手掛けていたのだ。だがクオンテクスが皇帝になって、彼女たちを自分の思い通りに働かせようとしたのに反抗、一時は解散の危機に陥った。だが、メンバーの中の武道のスペシャリスト、サンダーボルトジェニーのつてでグレイシス将軍に頼みこみ、女王からの助力もあり、活動の拠点をルパートからこのエリュテリオンに移したのだと言う。今日のイベントやスポーツ大会、美術や工芸の指導など、広い分野で大活躍をしているのだと言う。
アイリーンに堰まで案内されてネビルとメリッサは着席した。
「ほら、すぐ目の前で料理ができて、出来立てを食べられるのよ」
今日の料理はち産地消、ここで採れたもの中心に、クィーンウイングスの料理のスペシャリスト達がメニューを考案し、あのムナカタのレストランから、和食のチームが駆け付け、腕をふるっているのだ。ムナカタお得意の美食コンテナが運び込まれ、イベント会場の前方に巨大な厨房が出現したのだ。これらのコンテナは自走式で簡単に設置ができ、1流のレストランの厨房がすぐに設営できるサービスだ。海産物や地元のお米などの食材から食器やテーブルクロスなどの備品もすべて用意され、客を待ちかまえている。
ネビルはクリフに連れられて何回かムナカタの店に行ったことがある。ムナカタは、今日は来ているのだろうか?いればクリフと連絡が取れるかもしれない。ネビルは厨房を確認したが、みんな忙しく働いていて、わからなかった。
今日の和食フルコースのテーマは「北斎」、均整の浮世絵の人気作家をモチーフにした食事イベントなのだそうだ。
「ほら、神泉寺の修行僧たちがやって来ましたよ。」
極限の荒行で日々過酷な修行を続ける戦闘集団の一方の雄、神泉寺の修行僧たちが「富岳36景」の浮世絵の摸写や美しい大皿などをかざしながら入場。最後尾に柔らかな物腰だが眼光鋭い老人セレニアス・クロノ老師も姿を現した。
もちろんこれらの食器や工芸品、美術品は神泉寺の修行僧たちの職人芸による力作だ。大皿は周囲のテーブルにさっと配置され、日本画の摸写はあちこちに飾られていく。
「おお、グレートソードのアリオンと刀軍団も来たぞ」
高度な刃物の錬成技術を持つ刀軍団はこの日のために鍛えたフォークやナイフ、金属の食器などを細心の注意を払いながらセットする。
そして最強の女戦士サンダーボルトジェニーが率いるアマゾネス軍団が優雅なガラス食器を美しく並べ、暗器をつかう裏武道のクキの一族が木工や竹細工を運び込む。
そしてボクシングやレスリングなどの階級別チャンピオンたちが入場、ボクシングのチャンピオン、クラッシュ・レイ・ゴングがゴージャスに入場、観客の声援にこたえてシャドーボクシングを披露する。彫金や美術品などの新作もあちこちに運ばれていく。そして、クィーンウイングスのアーティストたちの手で、調和のとれた会場に仕上がって行く。
あらゆる立ち技を舞うように交わし蜂のように刺す、裏合気柔術の舞姫ジュネの一段が美しい織物をそよがせて入場、体を気の力で硬化させる怪力のロック・ゴードン・ムトウとその一派も手作りの和太鼓をかついでの迫力の入場だ。
「おお、戦闘集団クロガネの一族がやって来た!」
幼いころから各種武道や格闘技のエリートとして育てられたエリュテリオンのもう1つの最強集団クロガネが、あの大きな髭面のモリヤ・モンドに率いられて入場だ。
総合格闘技の歴代のチャンピオンや四天王と言われる強豪がずらりと顔をそろえる。たった今彫りあげられ収穫されたばかりの無農薬の野菜が、裏山から撮って来たばかりの山菜やキノコが、クロガネの者たちの手によってどんどん運び込まれる。クロガネの物は高度な自然農法を実践している豊かな農民でもあるのだ。
そしてムナカタの和食チームの凄腕によって、みるみる持ち込まれた食材は見事な料理に代わって行くのである。大皿に盛りつけられ、小皿や木工、金属の皿に彩の料理が花を咲かせていく。そしていよいよ時間だ、怪力軍団ロック・ゴードン・ムトウの軍団の怒涛の太鼓が鳴り響き、掛け声が会場をつらぬく。それを合図に美麗なガラスのグラスには美酒がなみなみと注がれる。ここのトップであるグレイシス・マサミツ将軍が杯を持ってみんなの前に進み出る。宇宙連邦軍の制服を着た歴戦の勇者は、顔に古傷のある物静かで思慮深そうな男だった「戦う哲学者」とも呼ばれる合気柔術の達人、東洋の囲碁の有段者としても有名である。
「今日は収穫の祝いの飛騨。めでたい日に多くは語るまい。皆の日々の精進に乾杯!!」
「乾杯!」
海上のあちこちで杯が鳴り、いよいよ御馳走の時間だ。並んですわるネビルとメリッサの前にも美しい器に盛られた料理が運ばれる。まずは、前菜の6点森だ。
器が一つ一つ楽しい。貝殻の形、素朴な冶菜の形、美しい花のデザインもある。
トロロメンタイコ紫蘇和え、自然薯のねっとりとろろがたまらない一品だ。
ガゴメコンブの海鮮付け、数の子、アワビ、イカ、イクラなどが粘りの中に溶け込む。
ふわふわ糯の筋子包み、甘い筋子が糯と一緒にとけるおいしさ。
おぼろ豆腐藻塩風味、蓋付きの小鉢にできたての温かな豆腐。藻塩だけでうまい!
あぶりウミのキャビアのせ、炭火であぶったウにをキャビアの塩味で召し上がれ。
ブタの角煮カシスリキュール風味、とろける角煮を大人の風味で。
どれも食材の味が生きていて、一口でぺロ理だ。とろけるおいしさ…。
そして次に、竹かごにのせた川エビと小ドジョウの空揚げの香ばしいところをつまみ、さらに、炭火で焼いた焼き筍を乗せた、桜エビの茶わん蒸しをいただくと、次は目にも鮮やかな握り寿司北斎もりだ。
大きくうねる青いガラスの器に白木の船に盛られた握り鮨が並ぶ。先ほどの茶わん蒸しの器には、富士山の日本画が描いてあり、その冨士山の前に大波のガラスと白木の船森を合わせれば、北斎の神奈川沖の景色が見えてくるのだ。握り寿司のネタも、大トロのあぶり、アンキモ、しめサバ、ふぐの炭火焼、のど黒の煮もの、岩牡蠣の香木あぶりとバラエティに富んでいる。どのネタも、一手間加えた奥深い味わいが口いっぱいに広がる。
そして続けて運ばれてくるのは、竹かご入り、キノコと無農薬野菜のてんぷら。マイタケ、シイタケ、ウド、レンコン、ナス、カボチャなどの採りたて野菜だ。
最後に竹の皮に包んだおにぎりのセットとトン汁が運ばれてくる。竹の皮をむくとおにぎりは3種類、マツタケご飯、カニ飯、ひつまぶしがある。
着いてくるのは木の葉型の小皿に乗せたキクラゲと野沢菜、ナス、キュウリの香の物。そして木目のきれいな椀にはいった無農薬の根菜類をたっぷり使ったトン汁だ。おにぎりとトン汁はおかわり自由、温かな土のにおいがしてくるような料理だった。
「ふう、食った、食った」
「こんな、自然で、しかも手の込んだ料理は初めて!」
でも、まだデザートがあった。もちろん別腹だ。
釜煎り茶と一緒に出てくる枯山水風の白い皿に盛られているのは、柚子のじぇラードに栗の渋皮煮、大学芋、厚焼き卵メイプル風味、そして大粒の葡萄だ。
枯山水の波紋やうねりの中に美しく並べられて出てくる。もうお腹いっぱいのはずが、さわやかに食べられる。
摘みたての茶葉をそのまま釜で煎って、お茶にする釜煎り茶もフレッシュないい香り、熱いお茶とグラス入りの水だしの冷茶が選べる。味、香り、器、彩、舌にも目にも心にも豊かな料理であった。
そして、宴も盛り上がり、食べ終わってしばらくすると、ネビルとメリッサはすぐにあの見事な黒ひげの巨漢、もりや・もんどに連れられて、奥の小部屋へと入って行った。
中央に連邦軍の制服姿のグレイシス将軍、右にセレニアス・クロノ老師と弟子の修行僧達、左に黒ひげのモリヤ・モンド、後ろにはサンダーボルトジェニや、グレートソードのアリオンなど、大勢の幹部が控えている。そうそうたる面子だ。
落ち着いた様子で歴戦の勇者グレイシス将軍が話し出す。
「実は暗黒剣法とハカイオウには、この武道の聖地エプシロンでも浅からぬ因縁がある。近いうちに一線を交えることもあるかと話し合っていたのだ。そこに君達2名がやって来た。どちらも放っておけはしないこと、まずは話をきかせてもらおうか」
まさかもう願いがかなうのか、メリッサは、老師とついに話すことになったのだった。
まずメリッサは自分の故郷エスパルで起きていること、バンドのリーダーだった兄がまさかの暗黒剣法のフリードに殺され、連邦の兵士たちも撃退されてしまった話をした。だから自分はどんなことをしても奴を倒したいと…。老師はじっくりそれを聞き、大きくうなずき、何か決意をしたようだった。
このエプシロンの精神的支柱ともいわれるセレニアス・クロノ老師が静かに話しだした。
「これから話すことは外部の者には1度も話していないことじゃ」
「はい」
「今から十数年前、ヴァルマ教授という考古学者がルパートの移籍で人間を超越する秘術を発見した。だが彼は、道を踏み外した。古代の秘術ゼルマ・ケフの星の封印を解き、闇の力に魅了されてしまった。闇蟲を自身に乗り移らせ、暗黒剣法に魂を売った。彼は相手の精神エネルギーを食らって自分のパワーに変える恐ろしい術を身につけた。特に怒りや憎しみなどを持ったまま剣を交えれば、奴の剣は無限の強さを持って襲いかかってくるのだ。多くの勇者が彼の前に敗れ去った。剣法を一度もしたことのない男が、あり得ない強さを発揮したのだ。彼の体内に宿った闇蟲は荒々しい剣を使う闇の物だが、それを打ち破る事は不可能ではない。だが、策略や挑発によってこちらの心が乱されれば、その怒りや憎しみの波動を吸収し、奴はどんどん強くなっていくのだ」
「それが暗黒剣法なんですね」
「そして、ついにヴァルマ教授はこのエリュテリオンに乗りこんできた。奴は究極の強さを証明するのだと言ってこの英雄の砦の神泉寺を襲ったのだ。私はその勝負を受けて立ち…、かろうじて勝つことができた。心を無にして剣を持つ私の前には暗黒剣法もその力を発揮できなかった。かれは暗黒の力を少しも出せず、戦いは決着したと思っていた」
そこで老師は一息ついて、目を大きく見開いた。
「だが、ヴァルマ教授のうしろに、十年ほど前、あの魔薬王ベガクロスがつき、ある日、私や私の弟子を襲ってきたのだ」
メリッサは老師の眼をじっと見つめた。
「弟子たちにも心を落ち着かせ、怒りや憎しみを持つことなく向かうならば暗黒剣法も恐るに足らずと教えておいたので、大事に派至らないと思っていた。だが、魔薬王は知らないうちに、得意の薬を仕込んで追った。戦闘服に特殊な香水がたっぷり吹きつけてあったのだ。男性の攻撃的な本能を覚醒する薬じゃった。若い弟子は、意味もなく気持ちが高ぶり、相手のちょっとした挑発に激怒し、己を失ってしまった。私は弟子たちを魔の手から守り抜くことができなかった。一人は命を落とし、一人は敵の手に落ちた。それが現在のフリードだ。もともとおとなしい性格でもっと強く慣れたらと言う心の隙間に奴らは入り込み、フリードを暗黒剣士の一人にしてしまったのだ。残りの一人は女性で、ベガクロスの薬の効果がもともと低く、命拾いした。一度破れたものの、秘策を得て、次の戦いには勝てると信じて修業を積んできた」
「秘策を得た?女性はその薬の影響を受けにくいだけではなく、ほかにも秘策があったんですか?」
「歌だ。歌の力によって、暗黒波動を打ち消すことができたのだ」
「じゃあ、彼女は勝てたのですか?」
「…ベガクロスは1枚上手だった。彼女の前にフリードを差し向け、彼女の力をすべて奪い、命を奪ったのだ」
「なぜです?どうして?」
「特殊な媚薬を用い、フリードに恋心を持つように仕掛けをしたのだ。彼女クレアは厚い思いに身を焦がし、心を乱し、そこを切られてしまった…」
「そんな!恋する人に斬られるなんて、残酷すぎる…!」
「いずれ暗黒剣法のヴァルマ教授とベガクロスはまた襲ってくるに違いない。私達もただ手をこまねいているわけではない」
そこで老師が合図すると、弟子の修行僧で師範の実力者リクウが小部屋にメリッサと同じくらいの年の女の子を連れてきた。死んだクレアの妹、リンダだと言う。
透き通るような白い肌で金髪、でも体は鋼のような筋肉質だった。
「はじめましてメリッサさん。私はリンダ。一緒に戦ってはいただけないでしょうか?私も、暗黒剣法を、この世から消し去りたいんです」
メリッサは彼女の瞳をじっと見つめて、そして大きくうなずいた。
すると今度はネビルに、モリヤ・モンドが意外な話をはじめた。
「…君も知っているだろう、以前、マリガン事件で、操られたロボレスラーのマリガンが、このエリュテリオンの武道アーマー練習場へとやってきて、突然襲いかかってきた」
目的がわからぬまま、武芸者達と互角の戦いを繰り広げていたらしいが、慌てて見に来たグレイシス将軍がマリガンの狙いに気付いてすぐに決闘をやめさせ、そして合気柔術の技でマリガンを投げ飛ばし、マリガンはそのまま疾風のように逃げ去ってしまったという。
「…あのマリガンを投げ飛ばすとは、グレイシス将軍っていったい?!」
この静かなる戦う哲学者はやはり只者ではなかった。
「だが、事態はすでに遅かった」
「遅かった?奴のねらいはなんだったのですか?」
自分もマリガン事件を調べていたネビルは、聞かずにはいられなかった。ここでの事件の後、マリガンはルパートの博物館を襲い、ダリウスの改良型ゴリアテと戦った。さらに分厚くなった装甲にマリガンのパンチも通用せず、あの怪物のような怪力とスタンガンアタックで吹っ飛ばされ、マリガンは明らかにピンチに陥った。だが…?!
「だが、マリガンは突然、隠し持ったソードを取り出した。そして剣を使った流れるような攻撃で逆転、ゴリアテの首から胸に切りつけて、倒してしまった…、まさか?!」
「さよう、記録映像を見た我々は血の気が引いた…。あの剣さばきは、クロガネの四天王の1人ハヤテの北辰流の技そのもの…。マリガンはあの日、こちらの道場の師範やハヤテの攻撃をわざと受けて、すべて人工知能で分析し自分の技としてしまったのだ。さらにマリガンに代わって現れたハカイオウは剣技を得意とする王宮騎士団とも互角に戦った…。我々は、ハカイオウと言う怪物を造り出す手助けをしてしまったのだ…」
モリヤ・モンドの話が終わると、あの思慮深い将軍が合図をした。すると武道アーマー姿の若い男が部屋にやって来た。背がすっと伸び、所作に隙がなく、体の内側から力がみなぎってくるような強さがあった。
「…ネビル君、君は連邦の諜報部のハカイオウ担当の捜査官だそうだね。ハカイオウを逮捕するために、この男を協力させてもらえないだろうか」
将軍グレイシスの並々ならぬ決意が感じられた。若い男はすっと進み出た。
「クロガネのハヤテと申します。私のうかつな行動の責任を採りたいのです。ハカイオウを逮捕できるなら、どんな協力も惜しみません」
ネビルはクロガネ四天王の1人、ハヤテの眼をまっすぐに見て固く握手した。すばらしい協力者が今、目の前にいた。
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