ゲイブ(ガブリエル)


「アヤカ? あっ! アヤカさんね! アヤカさんなら良くここへ来ていたよ。え? 何で覚えているかって? そりゃもちろんさ! 日本人はとても礼儀正しくて個人的に大好きなお客様だからね。あと僕は日本の文化が大好きなんだよ! 特にあのアニメ知ってるかな? あの巨大なロボットが……」

 青年は眼鏡の位置を人差し指で触って調節すると、両手を広げてアニメの説明を始めた。

 ふと青年の胸につけてある名札が淳の視線に入る。

 プラスティックの名札には、『ガブリエル』と刻まれている。

「あっ、ごめんごめん。僕の名前はガブリエル、ゲイブって呼んで下さい。宜しく!」

 ゲイブは淳の視線に気が付くと、肩を竦めて照れ臭そうに笑って手を差し出した。

「あ、淳です。こちらこそよろしく。それで、そのアヤカさんのことなんだけど……」

 二人は握手を交わした。ゲイブの手から温もりを感じた瞬間、淳は何故だかこの眼鏡をかけた青年に好意を抱き始めた。

 ゲイブの方も同様な気持ちだったのか、彼の饒舌ぶりは勢いを増していった。

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