第4話 怒りを誘導する者
森本小百合は熟睡していた。
すると夢を見た。
熟睡中に夢は見るものなのかなと疑問だった。
一人の中年の女性が現れた。彼女は話し始めた。
「あなたは峯田志帆を知っているわね」
「はあ、聞いたことあります……。あーそうだ、中学校の同級生です」
「彼女に復讐するチャンスをあげます」
「ええ?いや別に特に……」
「何かあるはずよ」
「ああそういえば、中一の時にスカートめくりをされたことがあったなあ。たまたま通りかかった男子に観られちゃって、私ホントに恥ずかしかった」
「それはワイセツ行為ですね」
「え、でも十二歳とか十三歳とかそのころですけど」
「それが峯田志帆の卑怯な所よ。彼女は子供であることを利用して、あなたを貶めたのよ。考えてごらんなさい、スカートを人前でめくるなんて、大人がやったら捕まるでしょう?峯田志帆は子供だから許されることをちゃんと知ってたのよ」
「それはそうですけど……」
「愉快犯なのに子供がやったら無罪放免というのはおかしいわ。あなたは被害者なの。他にもいるでしょう?スカートめくりの被害者が」
「ああ、中学一年の時、なぜか女子同士でスカートめくりが流行ったんです。だから他にもめくられた子はいるかと……」
「その子たちと団結して復讐しなさい。社会に知らせるのよ。峯田志帆はワイセツ犯だと。子供であることを盾に劣情をあなたで発散したのよ。実際、あなたは傷ついたのでしょう?」
「そういえばそうですね。私には復讐する権利がある……」
「そうよ、復讐しなさい。あなたはその権利がある。根拠のある復讐は社会に対して説得力があるわ」
「分かりました」
森本小百合は目が覚めた。夜勤明けでテーブルに突っ伏して眠っていたらしい。短時間でも熟睡していたせいか、頭はクリアだった。スマホを手に取る。十年近く会っていない相手なのに、なぜか電話番号はすぐに分かった。
森本小百合はこうして、通話に出た峯田志帆にワイセツ行為の復讐をすると宣言をしたのだった。
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