第10話 神域


俺たちは、探索を終え街に帰ろうと森を進んでいたのだが、フロールとエルミーが突然俺の方へ来て、必死で同じ方に指を指している



「あっちに何かあるのか? 」

「グル!」

「ブッ!」


どうやら何かあるらしい


2人が指す方に進んでいくと、いきなり目の前に現れたのは、細木やツタがアーチ状になっており、奥まで続く、まるで木のトンネルのような場所を発見した。



「なんだこれ、すごいな!」


少し興味が出たので、木のアーチをくぐって、先に進んでみると、何か、水の膜を通り過ぎたような感覚に包まれ、クモの巣かなんかだと思い、体を払うが何も付いていない


不思議に思いながらも前を見なおすと、すごい事になっていた



「どうやら別の空間に飛ばされたらしいな」



そこは、周りの木々の密度がさっきまでいたフィールドとは明らかに違い、まるで壁のようにびっしりと生えており、テニスコート2面分くらいの大きさの切り開かれた空間を囲むような形になっていた。


そしてその広場の真ん中に、樹齢数百年?へたすると千年以上になるかもしれない、大きな木が生えており、明らかに普通ではない、神域の様な場所だった。


だが、その巨大な木はあまり元気が無いようで、葉はあまりなく、少し朽ち始めている


そんな様相も相まって、つい呟いてしまった


「なんだよここ、まるで、「となりのト〇ロ」の世界じゃないか」


別に何かがある訳でも、生物がいる訳でもないが、何時間でも居られる様な、心が落ち着くとのと共に、少しだけ不気味にも感じられる不思議な場所だった。



すると、フロールとエルミーが走り出して、中央の大きな木に登り、あそび始めた



「おいお前ら、それに登って大丈夫なのか?」

「グルッ!」

「ブッ!」


俺が聞くと、2人とも片腕をあげる。



「大丈夫ならいいんだが」


そう言いながら、木の裏手に回り込んでみると、見覚えのある小さな祠がある


「これは、協会の裏にあったやつとかなり似てるな」


そしてよく見ると、祠の前に古い本が落ちているので、拾って読んんで見るのだが、かなり興味深い内容だった


この場所には、昔、泉の大精霊のような精霊が住んでいたのだそうだ、だが、寿命なのか、宿っていた御神木が、徐々に元気がなくなり、別の場所へ移ったらしい



「やはり精霊と関係があったか」


そういいなが、役目を果たした神木に手を触れると、目の前にウィンドパネルが表示される



<神木の再生を試みる>


この神木の再生を試みます。特定アイテムをここに奉納する。


『必要アイテム』


〇聖水


〇クリーパートラウト、ハイドトラウト、カモフラージュトラウトのいずれか



と書いてある。


「2つともあるな…」



実は、泉の大精霊の場所に行った時に、称号と共に、2つのアイテムを貰っていたらしく、ひとつがその『聖水』、そしてもうひとつが『水の結晶石』だった



「フロール、この神木の再生をしてみたいんだが、クリーパートラウトを使っていいか?」

「グルック!」


「ありがとな〜フロール、お前は本当に良い奴だなぁ〜!」



クリーパートラウトはフロールが狩った物なので、使っていいか尋ねると、快く許可してくれた


ーーーーーーーー


「よし、行くぞ!」

「グルッ!」

「ブッ!」



俺が祠の前に、聖水とクリーパートラウトを置くと、パネルの表示が変わった!



『再生には、6時間かかります(ゲーム内時間)』



という事らしい


「今から戻って、またここに来るのもかなり大変だな、フロール達はどうしたい?」


俺が尋ねると、フロールエルミーはまた神木に登り、遊び始める



「ならここで待つか」


ふたりは仲良く神木の周りをピョンピョンしているので、録画をする!




俺は空腹ゲージが減っているので、街で買っていた、初心者向け調理セットを使って、適当に料理をする


作ったのは簡単なBLTサンドだ!


「そう言えばエルミー、お前魚食べてたけど、ご飯は植物?肉?魚?」


そう聞くと、エルミーが何とか俺に伝えようと、必死にジェスチャーするのだが、残念なことに高度すぎてわからん。


「そうかそうか、すまんが全然わからん、なのでやり方を変えよう、それだという所で飛んでくれ!」

「ブブッ!」



少し落ち込みながら手を挙げて答えてくれた


悪いのは、俺の聞き方だったんだ、エルミーが気にすることじゃないぞ、すまんなエルミー


と思いながらも、どうやら植物も肉も食べれるが、魚が好物らしい


植物、肉、と聞いた時は1回しか飛ばなかったのに、魚、と言うと、まるで夕飯が大好きなものだった子供のように、何度も飛び跳ねていたからな!



川で休憩した時に、フロールが色々魚を取っていたので、鱗をとり、食べやすいようにぶつぎりに、フロールはいつもの焼豚だ!



「おまたせな! 食べていいぞ!」


美味しそうにモグモグしている動物を見ると、どうしても顔が緩んでしまう、これは動物大好き人間のサガなのだろう!



そんなことをしていると、もう1人の大の動物好き、トップ裁縫師をしているコリンから、フレンドコールがなる、


「ほーい、昨日ぶり!」


「あ、出た、テムスは今暇?」


「んー、暇なんだが、ある場所から離れられない、そんな感じだが、どうかしたの?」


「実は、あなたに会って、フロールちゃんをもふもふしたせいで、衝動が抑えられなくて、クランクスをテイムしたの!」


「ほう、おめでとう! 良かったじゃないか!」


「そう!だから一緒にお茶でもしようと誘ってみたんだけど」


「なるほどな、すまんが今、4時間ほど待たないといけないクエストやってて、離れられなくてな、コリンがこっちに来てくれるなら、是非お茶したい所なんだけどな」


「なるほど、行く! どこにいるの?」


まじか、即答? さすがは俺の同士だ!


ここはマップがフィールドと別の場所なので、一度外に出て場所を教える


「マッピングした、すぐに行く!」



そう言って切れてしまった



コリンはリスか、いいな、俺もテイムしようかな


テイムできる数は上限があり、職業レベルが上がると、その数が増えていく仕組みだ



ちなみに俺は従魔術のレベルが5なので、今テイムできるのは5匹までになっている。



はぁ、早くレベルをあげたいな。

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ファンタジーゲームに動物園を! お餅サンド @omochi_sand

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