第7話 教会と祝福


俺たちは、鍵を試すため教会に来ていた



「ここが教会か、ボロいな」


「グル〜。」


マップに表示された古い教会は、思ってた以上にボロく、コケやツタが外壁にびっしりとはえ、所々崩れた部分もある。



「まぁ、中に入ろうか、挨拶はしないといけないし」


「グルッ!」



ーーーーーー


「すいませーん」


「はーい? おや?参拝者さんですか?私はこの教会の神父をしております。『レナード』と申します」


「これはご丁寧に、おれっ…私は冒険者のテムスと言います。こっちは、従魔のフロールです。」

「グルッ!」


「これほど大きな鳥は初めて見ました!」


「はっは、よく言われます。 」

「グルックー!」


フロールの片翼上げはいつ見ても可愛い。


「失礼ですが、ここは神父さんしか居ないんですか? その、外が結構荒れていましたが」


「ええ、西区に孤児院をやっておりまして、そちらにシスターたちを送っておるのです、街から資金援助もして頂いているのですが、育ち盛りの子供たちに沢山食べて欲しいですからな、そちらにほとんど送ってしまって」


「そうですか、では良ければ私がコケやツタくらいは掃除しますよ!」


「いえいえ、参拝者の方にそんなことさせられませんよ」


「私は暇ですし、フロールも魔法を使えますので手の届かない上の方の掃除もできますし」


「そうですか、ではあなた方のお気持ち、有難く頂戴します、よろしくお願いします」



そう言って、レナードさんは行ってしまった



とりあえず俺たちは、とりあえず協会の奥にある女神像の前に行き跪いて拝む。


ぶっちゃけ教会のでの作法とか知らん。



「流石にあの状態を放っておいて祠には行けんよな、これが日本人のさがなのか?」



俺たちは、外に出て、外壁にこびりついたコケとツタを掃除する


俺は『水魔術』のスキルを2ポイントで取得し、外壁のコケを洗う、魔力が切れそうになったら、初期配布のMPポーションを飲んで、また洗うのを繰り返していた


フロールは、その鋭い爪と風魔術を駆使して、ツタの除去をしてもらってる、飛べるということもあり、スムーズに作業しているようだ


そしてこの教会、表から見るとそうでも無いが、結構でかい! 昼過ぎから始め、2時間半もかかってしまった。


「これで終わりだな! レナードさんに挨拶に行く前に祠に行こうか」

「グルッ!」


やっと俺たちは、本来の目的である裏にある祠の前へ来る、そこには何かわからない不思議な生物のモチーフをした祠があり、口のところが奥に深く、なかなか見えない


この穴に手を突っ込むのはちょっと怖いが、墓地出もらった鍵を、祠の口に突っ込むと、素直に鍵穴に入り、「ガチャっ!」と鍵が悪音が聞こえた直後、「どーぞこちらへ!」という声が、脳内に響く。


いきなりでビックリしつつも周りを見渡すと、祠の横に穴があり、ハシゴがかかっていた。


「行くぞフロール」


降りていくと地下道があり、その壁は青白く発光している


「ほー、ヒカリゴケか、これって栽培できるのかな?少しとってこ!」

「グルー!」


壁を鑑定すると、ヒカリゴケというコケだったので、畑で栽培できるかもと少しちぎってインベントリに入れる、そんなことをしながらかなり長い道を奥へ進むと、何やら明るい部屋がある


「うぉわー、なんだここ、スゲーな!」

「グルーーッ!!」


「おお?フロールもすごいと思うか?」

「グル!」


行き着いた部屋は、奥から大きな、そして深い泉があり、吹き抜けの空間の上から太陽の光が差し込んで、様々な植物を照らしているなんともファンタジーな空間だった


「見たことない植物ばっかだな、思わずスクショしちゃったよ。」


俺が部屋の中を見て回っていると、「ザバンッ」と音がして、泉の方へ視線をやると、一人の女性がこちらを向いてたっていた


「ようこそいらしましたね!歓迎します、わたくしは、泉の大精霊です、名前はありませんが。」


「私はテムスと言います、突然おじゃましてすいません、こっちは従魔のフロールです」

「グルッ!」



泉の大精霊と名乗るその女性は、美人で艶やかな水色の髪が腰あたりまであり、水色を基調としたドレスに、レースの飾りが映える衣服を纏っている、これぞ精霊! という姿だ、少しそれに透けてるし



「いいえ、私があなた達を呼んだのです、でなければここへはだとりつけないようになっておりますので」


「そうでしたか」


「ええ、あなた達達には感謝しております、長い間1人だった私の唯一の友であった少女の、最後の願いを叶えて頂いたことも、私の生みの親である、水の女神様を祀るこの協会を綺麗にしていただいたことも、本当にありがとうございました」


「いえいえ、私は当たり前のことをしただけですよ」


「その当たり前をでいる人は少ないのです。これはささやかなお礼です、お受け取りください」



<ピンポーン>


称号 : 『泉の大精霊の祝福』を獲得しました。



<ピンポンパンポーン>


ワールド内で称号獲得者が3名に達しました。最初の3名には、各々の特徴を入れ、


『始まりの戦紅』『始まりの蒼曲』『始まりの鷲黒』


の称号が、それぞれに送られます。



この度はゲームをプレイ頂きありがとうございます。

今後様々なイベントを開催する予定ですので、是非お楽しみください。



<ピンポーン>


称号 : 『始まりの鷲黒』を獲得しました 。




おお、なんかすごいことになったな、称号は確か滅茶苦茶獲得が難しくて、β版では2人しか獲得出来なかったってクレインに聞いたな、



「精霊様、有難く頂戴いたします。」


「ええ、またいつでも来てください」


「はい!必ず来ます!」



そう言うと、泉の大精霊は消えてしまった。



「よし、上に戻るか!」

「グルッ!」


来た道を歩いている最中に、称号を確認する




『泉の大精霊の祝福』

(いずみのだいせいれいのしゅくふく)



泉の大精霊に祝福される


水魔術使用時の消費MP軽減・中

水系攻撃への耐性・中

精霊種のテイム率上昇・大

ボーナスポイント4





『始まりの鷲黒』

(はじまりのしゅうこく)



始めの称号の取得者3名に送られる称号


報酬50000G ボーナスポイント7



『始まりの鷲黒』は名誉称号なので、お金とボーナスポイントだけなのだが、『泉の大精霊の祝福』はかなりすごい、てか凄すぎ。


水魔術の消費MPが減るのは、スキルレベルが低い今は若干の補正だが、もっと強くなった時ほどこの効果は計り知れなくなるだろうな、耐久も同じだ、そして、テイム


精霊種のテイム率上昇って、しかも『大』!



「精霊種なんて確認されてるのか? チコに情報を売りに行くついでに色々と教えてもらわないとな」


俺たちは、ヒカリゴケの光に照らされながら、ハシゴまで歩く。

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