第3話


「おっ、来たかテムス!久しぶりだな!」

「お前もな、クレイン」


俺達は、クレインに呼ばれ、冒険者ギルドに来ていた


「とりあえず人が多いから、応接室に行くぞ?」


「何それ」


「知らんのかい、あまり人に聞かれたくない話をする時は、冒険者ギルドの応接室を使うんだよ!」


「へぇー、そうなんだ」


「あぁ、特にお前みたいな、見たことも無いモンスターを従魔にしてる奴の話を聞く時とかな!」


「は?見たことない?」


「あぁ、βテスターの最前線は、第5ステージまでだったが、そんな鳥モンスター見たことも聞いたこともないぞ!」


「まじか、結構レアだったんだなお前」


「クルっ!」


フロールが誇らしげに胸を張りドヤ顔する


「そんな芸まで仕込んでんのかよ、」


「フロールは、最初からこの調子だよ!」



「お待たせー、クレイン!」


たわいもない話をしてたら、知らない女の人が声をかけてきた



「おう、紹介するぜ、こいつが俺のリア友のテムス」


「どーもテムスです、こいつは相棒のフロール!」

「グルッ!!」



「私はチコチー二、情報クラン『荒くれ者の茶会』のクランメンバーやってます!よろしくね!」


「は、はぁ、どーも」


「チコは俺が呼んだんだよ!テムスの従魔について話したいからな!」


「そんなに珍しいの?」


「か、可愛い…えぇ、めちゃくちゃ珍しいわよ!テイマーとかサモナーの間ではかなり噂されてるし」


「う、噂って、どんな?」


「謎の鳥モンスを連れたテイマーが、変な芸させながら街中を歩いてるって、そこかしこで聞いたわよ?」


「え、まじか、」


「まぁ、積もる話もあるだろう、移動しようぜ!」


クレインの一言で俺たちは応接室に移動した




ーーー


「じゃあ、この『育樹』スキルの効果は、今のところ分からないのね?」


「はい、今日は散歩してただけなので、」


「そっか、ありがとう!結構いい情報が手に入ったは!」



俺は、フロールのことについてチコに細かく説明したのだが、結構いい情報だったらしい



「逆に、聞いておきたいこととかはある?」


「そうですねー、今は特にないですね」


「そう?ならこれが今回の情報料ね!」


そう言ってチコが俺に7000G渡してきた


「は?こんなにいいの?」


「えぇ、それに見合うだけの情報を頂いたは、それと、今後は些細なことでもいいから何か情報があったら私に言ってね! しばらくは噴水の広場で露店を構えるつもりだから」


「おいチコ!こいつとフレンドになっといた方がいいぜ! 変なところでついてるからな、こいつ!」


「クレインがそこまで言うならそうなのね。フレンドになっていい?」


「あぁ、それは構わないけど」





チコにフレンドコードを送り、俺達は解散した


「で、クレイン、情報ってそんなに大事か?」


「当たり前だろ、情報を知ってるだけで、何時間も浮くことなんか少なくねーし、逆にめちゃくちゃ得できる情報を、他人に教えれば、儲けが減るだろ?」


「確かにそうだけどさ、つまるところこのここはゲームだろ?」


「そのゲームを本気でやってるやつらはすくなくねぇんだよ! お前だってモンス集めるためにやってるんだろ?」


「 まぁ動物園を作るつもりではいるけどさ」


「そのためには、ただモンス集めるだけじゃなくて、施設を建てる金も、柵なのかガラスなのか知らんが、生産のことも知らないとダメだろ」


「確かに」


「だからチコとは仲良くしといた方がいいぜ!」


「そーえば、チコもβテスターなの?」


「あぁ、β時代から、情報ギルドの『荒茶』はあったからな、俺もあそこの協力者だけどよ!」


「そーなの?」


「ま、最前線の生きた情報を提供する代わりに、色々と便宜を測ってもらってるだけだけどな!」


そんなにこんなを話してると、「夜のフィールドも攻略してくる」とか言って、クレインはどっか行った



「よし、暇だし何かクエスト引受けるか!」

「グルッ!」


毎度おなじみ片翼ポーズだ!


俺たちでもできそうな雑用クエストを受ける



『雑用クエスト』


街のゴミを収集して、廃棄施設まで運ぶ


報酬ー 500G


期限ー なし




『雑用クエスト』


3日以内に南区の墓地をパトロールする


報酬ー 200G


期限ー 3日




この簡単なふたつを受けると、マップにクエストのアイコンが表示られる


「冒険者ギルドがあるのは、北区だから、ゴミを集めながら右ルートで南区の墓地まで行くか!」


「クルッ!」



俺たちは、ゴミを回収しながら墓地まで歩いてい行く


途中で見つけたこじんまりとしたカフェで、休憩をするのだが、今はゲーム内時間で夜の9時ほどだ、カフェが開いている時間ではないので、そーゆーとこはゲームなんだろう。


俺はハーブティー、フロールは水を頼み飲んでみるが、これがまた美味い!


「ゲームなのにめちゃめちゃ美味いなこれ」


いくら五感を刺激するVRだからといって、こんなに違和感なく味覚を感じるということは、技術も凄いが、このゲームの作り込みの量が膨大なのだろう!


「運営には頭が上がらないな!」


そういえば俺は農業スキルを持っていたな、料理スキルもあるし、ハーブやら野菜やらを自家栽培してモンスたちのご飯を作るのもいいかもしれない!


「後で、農業ギルドにもよるぞ?」

「クルッ!」


カフェを出て、俺たちは、順調に南区の墓地まで来ていた


「どーも、墓の見回りの依頼で来たんですけど」


「おう!ご苦労さん! 最近、夜な夜な墓地から泣き声が聞こえるってんで苦情が来たんだが、俺にはそんなん聞こえなくてな、ちょいと見てきてくれるか?」


「えぇ、行ってきます」


「墓地にゃー明かりがねーからな、これやるよ!壊れかけで悪いがな」



そう言って、墓守のおっちゃんが何か渡してきた


インベントリを確認すると、『壊れかけのランプ』が入ってたのでそれを持って墓地を進んでいく


「フロール、なんか聞こえるか?」


「クルゥ〜、」


何も聞こえないみたいだ



ーーー


『パリンッ!!』


そのまま歩いて墓地の右奥に差し掛かった辺りで、急に持っていたランプが破裂し壊れた!


「うわぁ!なんだよ急に、ホラー要素あんのかよこのゲーム!!」


「グルルッ!!」

「おいフロール!なんだよ!引っ張るなって!」


いきなりのことでビックリしている俺のよそに、フロール頑丈な爪で俺の肩口を掴み、引っ張ってくる、

何が起きたか分からずついて行くと微かに泣き声が聞こえてきた


「これが、墓地から聞こえる泣き声か?」


「クルッ!」


あのランプが何かのトリガーだったらしい


「お前、めちゃめちゃ優秀だな!」


「クルック」


俺がフロールの頭を撫でてやると、自分から俺の肩に体を擦り付けてもっとやってアピールをしてくる!


「ふっ、可愛いやつだ!」



深い夜の中、街の街灯の微かな灯りを頼りに、声のする方に向かう

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