第24話 勝負の行方と祝い事


俺は今、身体強化まで使い、本気を出している姉さんと対峙している


そしてついに、悪魔が動き出した


動きの速度が早すぎて、とてもじゃないけど攻撃を当てるなんて無理だ!


それに集中力が増してるのか、陽動的な魔法を出しても一切引っかからない


「模擬戦なんて、受けるんじゃなかったよ!」


いまさらどうしようも無いが、過去の自分を呪いたい


攻撃の1回1回が、非常に重たく、バリアを張っても、ガラスのように簡単に割っていくので対策を練る


バリアをただ重ねるのではなく、バリアとバリアの間を六角形のバリアで埋める


『ハニカム構造』と言い、縦方向からの衝撃を分散しやすい構造だ


これを出すと、姉さんの木剣が弾かれる




「ねぇフレッド、あの2人って人間なの?」


「ここには、普通の人間は、俺しかいないと思うんだけど、」


フレッドがそう言うと、カルラがきょとんとした顔でフレッドを見る



姉さんは弾かれて悔しかったのか、ハニカム構造を取り入れたバリアを出すよりも早い動きをして、木剣が俺のお腹を捉える…


と思いきや、寸前で止まっていた


「私の勝ちね!」


「うん、そうだね」


終わりは呆気なかったな、



こうして全然試合が終わり、屋敷へ向かう



「それにしてもレイ、お前いくつ適性あんだよ」


「ほんとよね、6属性の適正持ちなんて、聞いたこともないのだけど」


それについてはまあ、そうだろうな、神のおかげだし



「あんまり人には言わないでね? 知られると面倒くさそうだし」


「「わかった!」わ!」


2人はこの事実が知れたら、面倒な事になるのを想像してくれたらしい


二つ返事で了解してくれた


ーーーーーーーーーーーー


「お帰りなさいませ、皆様」


屋敷に戻ると、そう言って、ドネリーが出迎えてくれたのだが、続けて言う


「この後、大事な話があるようなので、準備出来次第、リビングの方へお向かい下さい」


ということだ


大事な話? なんだろう


「わかったわ! ありがとう」


姉さんがそう言い、各々の部屋で軽く体を拭き、着替えてからリビングへ向かう



ーーーーーーー


「よし、みんな集まったな!」


公爵がそう言うと、皆の間にに少し緊張が走る


「これは、俺、ライル、そしてエドワードの3人で話し合って決めた事になるが、 メルヴィス家の跡取りであるニールと、うちの次女クララをこの場を持って、正式に婚約者とすることにした」


なんと!! まさか本当に婚約しちゃったよこの2人


そう思いながら、2人の方を見ると、お互いに目を合わせてあんぐりしている


「クララは次女だしな、多少身分が違えどそう問題は無い、好いたものと共に歩めるよう、しっかりと努力をしなさい」


「はい、お父様!」


公爵の言葉に、クララが満面の笑みで答える



「ニールもだよ? 男は自分が愛した女性を幸せに出来るように、一生の努力をしないといけないからね?」


「はい!」


父さんの言葉に、兄さんは覚悟を決めたらしい


いつもの穏やかな雰囲気の中に、なんとも言えない凛々しさのようなものを感じた


ふ、これでうちはの男兄弟は、2人とも逆玉か、


しかも、エルリック兄さんは、相手のグレース嬢が一人っ子なので、スミス家を受け継ぐし


ニール兄さんは、ここメルヴィス家の時期当主


全然現実味が無いんだけど…


俺がのんきにそんな事を考えていると、レイラ母さんから、衝撃の爆弾発言が投下される



「ねえライル、収穫祭で婚約の事は公表するの?」



母さんのその言葉に、場にいた男たちはシーンとなる


はあ、多分婚約のことが頭にいっぱいで、式のこととか忘れてたんだろうな、これは


「どうするんでしたっけ、テオドール殿」


あ、丸投げした。


父さんは困り果て、テオドールに丸投げする


「ライルよ、俺らはメルヴィス領までは中々来れないだろうから、ここで公表すると言っただろ!」


さすが公爵、慌てることもせずあたかも決めていた事のように話した


「そうでしたね、では私は町へ行って、婚約の公表のことを段取りしてきます、レイラも一緒に来てくれるかい?」


「ええ、もちろん!」


母さんはやけに楽しそうだな、婚約だけでも嬉しいものなのだろうか、親になったことは無いからわからん


「ねえあなた、娘の晴れの舞台、私も段取りに行っていいかしら」


アイラ夫人が公爵にそう聞くと、二つ返事で許可する


「ライル、アイラも一緒に頼む」


「ええ、わかりました」


そう言って、父さん達は出ていってしまった



「それにしても、好評の事など考えてなかったな」


「ええ、家臣や他の貴族の反応のことばかりで、」


テオドールとエドワードがそんな話をしている



兄さんとクララ嬢は、2人で並んでソファーに座り黙っている


いきなりで、どうしていいのか分からないんだな




「おめでとう、良かったわねクララ!」


カルラが妹のクララを笑顔で祝う


「ありがとうお姉ちゃん!」


「ニール君も、クララの事をよろしくね」


「はい、お任せ下さい」


カルラにそう答えた兄さんは、やっぱりいつもとは少し雰囲気が違い、なんか頼もしく見えた



まぁ、何はともあれ今日は喜ばしい日だ、こんな時はお祝いしないとな!



俺は厨房へ行く


お祝いの日って、皆は何を食べてた?


俺の家は100%ハンバーグだった!!


ちゃんと中にチーズが入ってるやつな!


と言うことで、ディランにチーズインハンバーグを伝授しに来たのだ!




「ディラン!今日は少しお祝いにしたいから、新しい料理を作ろうよ」


「お?坊ちゃんまた思いついたのかい」


「うん、メインの料理をね!」


「ほぉ〜、いいね〜、それなら早速取り掛かるよ」




〇まずは、豚と牛の肉を包丁で叩いてひき肉にする


ミンサーのようなものがあれば、この作業が楽になるんだけどね


〇ひき肉が出来たらボウルに移し、卵、パン粉、塩、胡椒、を入れて捏ねる


爪が長い人は素手でやらない方がいいぞ


〇中に刻んだチーズを入れ、形を整えて焼く


フライパンに投入したら、タネの真ん中あたりを軽くへこませると、焼き上がりが平になる


〇焼けたら別皿に移し、そのフライパンにトマトソース、玉ねぎのすりおろし、赤ワイン、ソースを入れて軽く煮詰める


この世界は、砂糖がかなり高く、うちにもほとんどなかったので、玉ねぎの甘味を使う


まあ、ジュードに頼んではあるけどね


〇最後に皿に盛って完成



この簡単5ステップで、ハンバーグはできる!



出来上がった物を試食する


「うん、ちゃんとできてるよ!」


「肉の間から溢れ出る肉汁が、ソースの酸味と口の中で中和して美味しいよ!」


まぁ、ハンバーグが嫌いな人はそう多くないだろう




そのあとも、夕食用にディランは大急ぎでミンチを作っていた。

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