第22話 魔法模擬戦闘①



俺たちは、草原が広がる屋敷の前で昼食を取っていた


「レイと戦うのは始めてね! 」


はぁ、明日の安息のためとはいえめんどくさいな


「魔法の模擬戦はいいんだけど、2人は模擬戦できるほど魔法は使えるの?」


魔法は本当に危険だからな、扱えない人間が持つ凶器ほど恐ろしいものは無い。


「私は大丈夫よ! 小さい頃からハイジと一緒に、ケイルド様から教えてられたからね! 」


聞いたことがない名前だな


「誰?その人」


「魔法貴族のケイルド・ネールメルン公爵よ! ほら、今年最年少で魔道学院に入学したのが、ネールメルン家の次女、ハイジは私と同じ歳の長女ね!」


なるほど、その魔法貴族に幼少から教えられてるのなら大丈夫だろう


「フレッドはどうなのさ!」


「おう!俺は水の魔法なら結構できるぞ! 将来は船乗りになりたいからな!」


え、そーなの? トーリー達が大変って言ってたけど、まあ海に面する領地を持ってるんだから、知っててなりたいんだろう…でも、


「本当に大丈夫なの?」


あの言い方だと、ろくに使えるのは水魔法だけって聞こえるんだけど


「ああ、模擬戦と言っても、俺はそんなに魔力がないから、強い魔法は出せないと思うぞ!」


なるほど、そーゆー事か、なら大丈夫か


「姉さんは魔力操作できないんだから、魔法の使用は控えてね?」


姉さんは暴風しか出せないからなw


「ええ、最初からそのつもりよ、魔法はチマチマしてて嫌いなの!」


ふ、こんな便利なのに使えたいとは、可哀想な姉さんだ



ーーーーーーーーーーーー


昼食を食べ終わったあと、早速模擬戦の準備をする


カルラは普段は槍術の鍛錬をしているらしく、木を風魔法で加工して、棒を作って渡した


「よし、なら順番はこんな感じね」


姉さんによって、戦う順番が決まる!



フレッドVSレイモンド


カルラVSフレッド


カルラVSカトレア


フレッドVSカトレア


カルラVSレイモンド


カトレアVSレイモンド



この順でやっていくらしい



まずは俺とフレッドの試合


「よろしくな!」


「こっちこそよろしく」


互いに挨拶を交わし、少し拒否をとると、姉さんが「始めっ!」と合図を出すと同時に、フレッドが詠唱に入る


そう言えば、無詠唱はかなり熟練度がいるんだったな


俺は1歳になるまでには、無詠唱で魔法を使っていたし、たまに母さんも魔法を使うが、母さんも無詠唱なので、久しぶりに詠唱を聞いた気がする


そんな事を考えていると、フレッドの詠唱が終わり仕掛けてくる


「…うがつ、ウォーターバレット!」


フレッドが放ったのは、ウォーターバレットと言う魔法だ


この魔法は、消費魔力が低いが、充分な威力を出せるので、魔力が少ないらしいフレッドにはピッタリだろう


ま、俺には聞かないけどね


無属性魔法であるバリアを展開すると、フレッドの水弾がバリアに当たり、弾ける


「クソ!やっぱだめか、」


そう呟くと、フレッドは詠唱をしながら、こっちに突っ込んでくる


鍛えているのであろう、フレッドの寄りは、俺とは比べ物にならないほど早いのだが、所詮は5歳児


俺はソフトボールくらいの水の塊を出し、同時に、フレッドの足元に土魔法で突起を出す


水に気を取られたフレッドは、見事につまづき、その場ですっ転んだ


大人気ないが、注意力は必要なのだよフレッド!


「そこまで!レイの勝ち!」


まあ、フレッドには悪いが、負ける要素は無かったからな


「クッソー! 水は囮だったか!」


ふふふっ!悔しそうだ!


「まぁね! 思いどうりー! 」


「あ、お前!くそー!!!」




次はカルラVSフレッドだ


みんな連戦が1回はなるようになってるが、初っ端とはフレッドも運がない



先程と同じように姉さんが合図を出す!


フレッドは詠唱に入るのだが、カルラがすぐにフレッドに駆け寄り、間合いの長い棒を振り回し、詠唱をさせない。


き、汚ねー!


相手が5歳ということはどうでもいいらしい


呆気なく、フレッド負けた


まぁカルラは魔法使ってないけどね?



「クソー、また負けた」


「フレッドはまだまだね」


カルラはそう言って、スタート位置に戻っていく



次はカルラVSカトレア


果てどっちが勝つか、


今回のスタートの合図は俺がだす!



「スタート!」


開始の合図と同時に、2人とも一気に駆け寄り、姉さんが右の上段から力いっぱいに振り下ろした木剣は、カルラの遠心力で勢いのついた木槍と衝突し、 『バチッン!!』と凄まじい音を立てる


「なあレイ、あれってほんとに人間か?」


あまりにも凄まじい音の衝撃にフレッドは呆れながら聞いてきた


「多分そうだよ、多分ね」


俺もかなり驚いている


そんな俺達のことなど知る由もない2人は、さらに激しく撃ち合い、本当にすごい


長物は懐にはいられると、かなり不利なので、姉さんが突っ込むが、カルラは入らせまいと巧みに槍を操り、距離を開ける。


するといきなり、姉さんがの攻撃のパターンが変わった


姿勢を低くして、槍の間合いギリギリまで寄ると、小刻みにステップを踏み、1歩踏み込んだ、と思ったが、すぐに引く


カルラは姉さんのフェイントに誘い出され、槍を振り下ろしてしまっていた


隙が生まれ、姉さんが一気にカルラの懐にははいろうと入ろうとするが


カルラが、振り下ろした槍の遠心力を使い、クルリッっと槍を回転させ、つかの方で姉さんを突く!


これには予想してなかったのか、体制を崩しながらしゃがみこむ


一気に形勢逆転、と思った瞬間、姉さんが、しゃがみこんだ低い姿勢で突撃し、カルラの足元に攻撃をしかける


カルラは慌てて槍で迎撃するのだが、姉さんの連撃を前に、そのまま破れた


「まさか、姉さんがあんなフェイントを入れるとは」


「もう少しだったのに! カトレアはあの突きを予測していたのかしら?」


「いや、完全に意表をつかれたよ、身体強化で強制的に動いてなかったら、あの突きの餌食だったわ!」




カトレア姉さんはいつも通りだけど、まさか同年代に、姉さんと張り合える人がいるとは…




この2人は絶対に怒らせてはいけないと、心に違うのだった!

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