第21話 ピクニック
昼食が終わると、兄さんとクララ嬢は書室へ行った
「ライル、あの二人をどうする?」
公爵が、ニール兄さんとクララ嬢について、ライル父さんに聞く
「2人があの様子ですし、私は良いと思いますよ」
「そうか、なら旅の間に決めた方が良さそうだな」
「そうですね、2人ともあの様子ですし」
先程から父さんと公爵が話しているのは、兄さんとクララ嬢の婚約についてだ
アイデルフ家は、国に四家しかない公爵家だ、普通は子供の婚約相手は選定するんだけど
どうやら公爵は、クララ嬢を兄さんと婚約させたいみたいだ
「なら明日も様子を見て、いい感じだったら決めてしまおう!」
「アナタ、また唐突に、まだ1週間ほどこちらに居るのですから、急ぐ必要は無いでしょ?」
公爵夫人のアイラが反論?をする なんだろうこの感じ
「いや、こうゆうのは早い方がいいだろう、上手くいけばメルヴィス家に嫁ぐ事になるのだ、クララも為政者の目でこの町を見れる良いチャンスだろ?」
「確かにそれはありますけど」
アイラ夫人は、そうは言うが口元は笑っている
違和感はこれか、
多分さっきは、早く婚約させるためにわざと反論して、公爵を誘導したんだろう。 怖い女性だ
こうして、本人たちが知らないうちに、婚約者が決まるのか。
うちは、婚約に関しては本人の意志を尊重する家なのでそこら辺は考えなくて済むから楽だ!
頑張ってね、兄さん!
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翌日
「レイ!遊びに行こうぜ?」
「え〜、一応聞くけど、何するの?」
フレッドが誘いに来るが、俺はここ数日の激務で疲れてるのでまったりしたいのだ
「別に決めてないけどさ、ここら辺案内してくれよ!」
案内って言っても、こんな田舎、案内するような所はないのだよ
「あら、レイとフレッドは遊びに行くの? なら私達も一緒に行くわ!」
「えぇ、私も普段は家の外にほとんどの出ないので、自由に体を動かせて楽しいですわ!」
フレッドの誘いを渋っていると、厄介な2人組みに声をかけられた
「別に遊びには行かないよ?」
なんで俺が外で遊ばないといけないんだ、ホントに疲れてるんだよ?
「何言ってるの? 来てくれるんでしょ?」
な、クソッ! これが姉の特権か! しかも横でカルラ嬢まで、物欲しそうな目線を向けてくる
「チェッ! 分かったよ、いけば良いんでしょ?」
まだだ、俺にはまだ姉さんと戦って勝てる自信が無いからな、今は従うしかない。
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ディランにお弁当を作ってもらって、ピクニックする事になった
「ねぇ、カトレア、これはなんの木かしら、何か実がなっているけど」
「それはいちじくの木よ、見たことない?」
「ええ、王都でもアイデルフ領でも見たことないわ、どんな味なの?」
いちじくは見たことないのか、いちじくの甘くて独特な香りが、俺は好きなんだけど、結構好みを選ぶよね
「気になるなら食べて見ればいいんじゃない?、私はあまり好きじゃないけど」
そうなんだ、全然知らなかった。
「そーなの?俺は結構すきだよ?」
まあ好みなんて人それぞれだからとやかく言う必要も無いけどさ
「そう?なら食べてみるは!」
「レイ!俺も食べていいか?」
聞けばフレッドも、いちじくを見るのは初めてらしい
「別にいいよ……はい!」
風の刃で収穫して、サイコキネシスで2人に渡す
「あら、不思議な香りね、甘くて美味しい! 私は結構すきかも」
「本当に独特だな、これは美味い!」
2人とも気に入ってくれたみたいで良かったよ
いちじくを食べながら、適当に歩く
「食べながら歩くなんて普段はできないから、なんだかいけないことをしている気分だわ!」
大貴族の令嬢も、色んなしがらみがあって中々に大変そうだな。
俺はメルヴィス家の子になれて、本当に幸せだな
「普段できないことをするのも、旅の醍醐味じゃない? 色々と挑戦してみたら良いよ!」
「レイちゃんはほんとに大人びた子よね〜!」
少しおじさん臭かったか? そんなことないよね?
カルラ嬢は、俺を「レイちゃん」と呼ぶ、なぜかは知らん
「そう言えば、魔道学院のたった3年間通うことすらも、面倒臭いって渋ってたな」
「ホントだよね、レイは折角頭が良いんだから、3年くらい我慢して通いなさいよ!」
ふ、フレッドと姉さんが何か言ってるが3年だぞ、通うとしたら来年からだから、
つまり8歳になるまで王都に居るってことだ、無理無理
「だってなんか寂しくない? 子供のうちに父さんにも母さんにもいっぱい甘えておきたいしさ!」
「普通の子が言ってたら可愛いんでしょうけど、レイが言うと、なんか下心がありそうで、可愛くないわね」
な、酷い言われようだな、何でそんなふうに言われるのか謎だ!
「レイちゃんはかなり魔法が得意なんでしょ? 私、レイちゃんと魔法で戦ってみたいわ!」
「あ、なら俺も! 昨日からホイホイと魔法使ってたから、戦闘にどう使うのか見てみたかったんだよ!」
カルラ嬢がそう言うと、フレッドもノリノリで乗ってきた、さすがは騎士家の子供のということか、
「あら、いいわね! なら家の正面の広い草原でやりましょうか!」
何故かやる事になってるんだけど、面倒だし嫌なんですけど
「俺は戦闘なんてやらないよ? 面倒だし疲れるし」
「何言ってるのよレイ! 私達は今、ゲストを招いているのよ? 楽しんでもらうのは私達の義務でしょ?」
ち、こんな時ばかり口が回るんだから、てか姉さんが木剣持ってるんだけどそれどこにあった?
「そんな事言われても、魔法は危険だからね、何かあったら不味いでしょ?」
「レイったらそんなこと言って、負けるのが嫌なだけでしょ?」
なんだその分かりきった挑発は、さすがに引っかからないよ?
「そんなこと言ったって、俺は戦う気なんて無いからは!」
その後も、3人は俺に駄々をこねて、何としても戦ってみたいらしい。
なんでそんなに戦いたいのか理解出来ん! 危ないし怖いだけじゃないか!
「レイ、前にも言ったけど、私達は何かあったら、領民とこの土地を守る義務があるのよ? 4歳だからってそれに変わりは無いわ!」
ほんとにこーゆー時だけ!
俺が渋ってるのを見て、姉さんが手を変えて交渉してくる
「そうね、なら、模擬戦をしてくれたら、明日1日は好きにしていいわよ? 遊びにも誘わないし、ずっと寝てたっていいわ! 」
そ、それはかなり魅力的な提案だ!
「ん〜、それはちょっと迷うな、」
「ちなみに受けなかったら、明日は前に登った山に登るわよ!」
な、あそこは上りに1時間半かかったな、絶対やだ
「チェ、約束だからね? 」
「ええ、約束はちゃんと守るわ!」
「軽く撃ち合うだけだからね!」
「分かってるわよ!」
「ならやるよ、明日は1日ゴロゴロしたいし」
「「「やったー!」」」
俺が受けると言うと、3人は息ぴったりに喜ぶ
あーあー、みんな仲がよろしいことで、俺は今からダルいんだけど。。。
こうして、4人で魔法の模擬戦をすることになった。
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