第18話 忙しい日々と到着



「町長さん、この町で、ベットのマットを作れる場所ってある?」



俺は、屋敷で問題に上がった、ベットのマットを、町で調達できないか聞いてみる


「ベットのマットですか、もしや足りないのですか?」


「そうなんだよ、一度に2家が来るなんて想定してないからね、ベットが1つ足りないんだ」


「そうでしたか、平民が使うものなら、コルトンのとこで作ってるんですが…そうですね、グランマの雑貨屋は分かりますか?」


「うん、何回か行ったし」


「そうですか、なら話が早いですね、あそこにマットは多分売っていないですが、肌触りのいい布生地はあると思いますので、あそこに行ってみるとよろしいかと」



確かにあそこなら何か使えそうなものはありそうだな


「なるほどね、なら行ってくる! 遠さんたちが帰ってくるまで4日後までは毎日来るよ」


「はい、ありがとうございます」



そう言い残し、俺は町長の家を後にする



ーーーーーーーーーーーーーーー


「婆さんいる?」


俺はエルサーラの雑貨屋にいる


「はいはい、というか、誰かが入ってこれば感知できるよ!」


「あはは、そーだけど、店内に誰もいないと呼びたくなっちゃうじゃん?」


「なんだいそれは、私にはよくわからんよ」


ふん、婆さんにはわからんか、これだから子供の心を失った大人はダメなんだ!(適当)



「それで、今日は何の用だい?」


「あぁ、それがさ」



俺は父さんからの手紙の内容を説明する。



「そんでベットのマットが無くて困ってると言うことかい」


「そーゆー事!! 町長に聞いたら、ここに行ってみろって言われたからさ!」


「なるほど、まぁ布はあるが中身はどうするんだい?」


「そこはコルトンの所で、中身だけ買って、いい布で包むよ、入れる中身も少し足さないと行けないだろうしね」



この世界には、スプリングを作れるほどの製鉄技術は多分ない


なので、貴族が使うベットの構造は、土台にすのこ状の木板を取り付け、枠と同じ大きさで、暑さが10センチ程の木枠に皮糸を縦横に張ったものを取り付け、その上に、マットを乗せるものが多い



「中身を何か足すのかい?」


「うん、さすがにねそのままの訳には行かないと思うし、獣の毛を調達できればいいんだけど。」


「おや?それならうちに大量にあるよ?」



え?なんでそんなもん取ってあんの? てっきりジュードに売ってるのかと思ってたんだけど


俺がそんなふうに思っているとエルサーラが続ける



「ほら、うちに置いてある絨毯、あれはここいらで取れる獣の毛皮を使ってるのさ!」


「王都には売ったりしないの?」


「それが、ここら辺で取れる獣の毛は固いのが多くて、大した額にならないんだよ」



そーゆー事か、でも、マットに入れるならそっちの方が嬉しいんだけど



「それってどれくらいある?」


「裏の倉庫に鞣したのが沢山積まれてるよ」



これはラッキーだな

鞣してあるなら匂いもないしそのまま使える


「なら、手触りのいい布と、その毛皮を買うよ」


「なら、マットの形に縫い合わせてやるよ」



マジかよ!さすが100超えた婆さんだ、愛してるゼ!!


「本当に?ありがとう!助かるよ! なら俺はコルトンの所で中身を買ってくるよ」



その後、コルトンの所で中に詰める鳥の羽や牧草を買い、エルサーラの所で毛皮と布も買えた。



「はぁ、これで何とか一段落はついたな」



気づけばとっくに昼を回っており、俺は遅めの昼食を食べにマールの酒場へ行くと、何やら賑わっていた




「前にもこんなことがあったけど、今度はなんの騒ぎ?」


「レイモンド様、これは収穫祭でやる、リバーシ大会の参加受付をやっとるんですよ」


「え?さっき会議したばっかだよ? もう受付してんの?」


「ええ、今さっきマールのとこに町長が来て、説明していったよ」


それが今さっきでこの賑わい、田舎の情報伝達力は本当に侮れないな。



この調子だと料理所では無いので、俺は屋敷に帰ることにした。



ーーーーーーーーーーーー


4日後



今日はいよいよ父さん達が帰ってくる日だ、



俺はあれからも、何かと忙しく働いていた。



町では、リバーシのステージの配置や、人の動線を考えたり、警備について会議したし


屋敷では、メイドの休憩室の入れ替えとか、ディランに新しい料理を教えたりとか、本当に疲れた。


「父さん達が帰ってきたら、1日中寝よっと…」


「何バカなこと言ってるのよレイ、目上の貴族が来るのよ? そんな事出来るわけないじゃない」


「やっぱりそーだよねー…はぁ。」



何度も言うが、明らかに4歳児に任せる内容じゃないよね、まぁ姉さんはこうゆう細々としたことを決めるのは出来ないから、俺がやるしか無いんだけどさ。


ちなみにトーリーは、「大貴族とか怖いから」と言って、町に行ってしまった



俺がダイニングの机に突っ伏していると、姉さんが俺の頭を撫でてくる


「何さ姉さん、」


「いや?レイにしてはよく頑張ったから、私からのご褒美よ!」


「そんなのいいから俺は寝たいよ…」


あの姉さんに、無性に心が暖まる事を言われ、照れくさくなったので、反論しておく



「イテ」


「そんなのってなによ、せっかく人が褒めて上げてるのに」



姉さんがそう言いながら、優しい力でデコピンしてきた


そんなことをしていると、アメリアが入ってきた


「カトレア様、レイモンド様、旦那様が到着なされます」


「「はーい」」



父さん達がやっと着くようなので、俺たちは玄関の前で到着を待つ。


少しすると、家の門から真っ直ぐ伸びる道に、馬車が3台見えてきた


「来たわね」


「うん、来ちゃったよ、今までは準備でこれからが本番なんだと思うと…はぁ、」


「こらレイ!シャキッとしなさい、相手はウチとは格の違う大貴族なのよ? 失礼のないようにね?」


「うん」



ーーーーーーーーーーー


10分もしないうちに、馬車がもんを抜けて、玄関の前で止まる



アメリアが馬車の扉を開けると、ミアとドネリーが素早く降りる。


そして父さんが堂々と階段を降り、母さんに手を差し伸べる


母さんは父さんの手を取り、優雅に馬車から降り、最後に兄さんがゆったりと降りる。



「「「おかえりなさい」」」


3人が馬車の前で立つのを見計らい、挨拶をする


「ただいま、カトレア、レイ」


「ただいま、2人ともいい子にしていたかしら?」


「はて、確かここ4日、死ぬほど忙しかったのでその前の記憶が曖昧なのですお母様。」



「あら、それは残念ね、いい子にしていたのならお土産を渡そうと思っていたのだけど、記憶が無いんじゃどうしようもないわね、」


「家お母様、たった今、まさに雷に打たれたかのように鮮明に思い出しました! 僕も姉さんもいい子にしておりました! 」



「まったく、相変わらずよく回る口だね、レイ」


「ハッハッハ、全くだ! 実に愉快な子を持ったな!ライルよ!」



俺がいつものように家族と接していると、馬車の窓をあけ、「ファイトー、1パーツ!!」とか言ってそうな、イケオジが、豪胆な口調で父さんにそう言う


「お恥ずかしいところをお見せしました、アイデルフ殿」



あーら、どうやら今話しかけたのは、公爵様らしい


大変ね日々になりそうだな。

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