第17話 緊急事態



王都からの緊急伝令を受け、俺は動き出す。


伝令の内容は


貴族、それもウチとは格が違う大貴族の2家が、収穫祭を見に来るために屋敷に泊まるので、その準備と、収穫際を、いつもより少し豪華にする事だ!


しかも帰ってくるまで4日しかない。


4歳児のやる仕事じゃないと思うけど、やるしかない。



まずは、ここにいる皆に情報を共有するためにリビングに移動する。



「手紙の内容は…」


アメリアとディラン、それにエブリンとブルックも加わり、まずは内容を説明する



「それって大変じゃない!」


「そう、だから姉さんたちと協力しないと絶対間に合わないんだよ」


「ならまずは、作戦会議からだな!」



ーーーーーーーーーーーーー


「収穫祭歳までは、まだ1週間近くあるから、まずは屋敷の問題からだね」


「うちは、来客用の部屋は一応あるけど、せいぜい1家族しか入んないわよ? どうするの?」


「やっぱそこだよね」



今回来るのは


『アイデルフ家』:4人 『オルレイン家』:3人


の計7人


うちの来客用の部屋は3部屋しかないのだ



「まぁ、まずは解決出来るものからした方がいいよ、ディラン、食事は大丈夫なの?」


「ええ、この時期は野菜は沢山あるんでね、なんとかなると思うよ」


「なら料理はいいね」


食事はもてなしには重要なファクターだから、食材が豊富にある収穫祭前なのは、不幸中の幸だろう。



「次はアメリア、ベットとサイドテーブルと椅子は足りる?」


「そうですね、裏の納屋を探せば、テーブルと椅子は足りると思います、ですがベットはさすがに8床もありません」


「そっか、なら後で納屋からテーブルと椅子を出して、掃除をお願いするよ、トーリーはアメリアを手伝ってもらっていい?」


「おう、男手は必要だろうからな!」


「私達も掃除くらい手伝うわ!」


「ええ、私も!」



トーリーのパーティー頼もしいすぎだぞ!



「お願いね、なら問題は部屋数とベットか」


「部屋数なんか変えれねーぞ?」


「そーだよね、どうしたものか。」



煮詰まっていると、姉さんが何か思いついたようだ


「ねえレイ、この前ミミーの母親を休ませるために小屋を作ったじゃない?あれは使えないの?」


「ん?なんだそれ」


「この前、レイが土魔法で小屋を作ったのよ!」



確かにそれはいい案なんだけどな、来るのは大貴族じゃなければ使える手なんだけど…


「でも姉さん、ご飯やお風呂の度に、お客さんをわざわざ移動させるのはちょっと失礼じゃない?」


「それもそうね、」



「それでは、一部屋だけ2回にたってしまいますが、メイドの休憩室を部屋にするのはどうでしょう」


「「それだよっ!!」」


さすが頼れるメイド、アメリアだ!


「それなら明日、部屋にあるものを入れ替えようか、俺も魔法で手伝うよ」


「かしこまりました」



「あとはベットだね、土台は木工店のコルトンに頼めばなんとかなると思うけど、マットはどうにも、皆は町でマットを作れるような店とか知らないの?」


「私ら平民が使うようなマットなら、コルトンのとこでも売ってるんだけどね、さすがに貴族様には」


「そっか、まぁ後で町にも行くから、その時に町長達にも聞いてみるよ!」



「なら屋敷の問題は、一旦はこれでOKね!」


「うん、俺は今から町に行くよ」


「ならいったん解散だな!」



俺たちは、それぞれの準備をするために解散する



ーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺は転移でポレオ町まで来ていた


「町長ーー!大変な事になったよ!」


「レイモンド様、どうかなさいましたか?」


「うん、父さんから伝聞が来たんだけど、まずはこれ読んでみて」



そう言って町長に手紙を渡す


最初は普通に読んでいたが、途中から顔が青ざめて、手もプルプル震えている



「こ、これはまずいですな、すぐに重役たちを読んできます」



ものの数分で、この町のお偉いさんが集まる


「内容は今話した通り、かなり急だが仕方がない!皆も案を出してくれ!」



俺は収穫祭に今年初参加なため、普段の様子をまずは聞いてみた


まぁ、簡単に言えば町全体でバザールを開き、皆で酒を飲んで料理を食べ、盛り上がる!

これを3日かけて行う。


という事らしい、まぁ、日本の縁日みたいなものだ



「なら、見栄を張ると言っても、装飾や屋台の作りをいいものにするのは違うね、雰囲気が壊れるし」


「そうですね、それに収穫祭まで1週間、大掛かりな事をやっても、間に合いませんよ」


「なるほどね、なら皆が楽しめるイベントをしたいね」



正直イベントのプロデュースなんてしたことないから、何をどうすればいいか分からん


すると、重役の1人が口を開く



「ココ最近は、マールの所でリバーシをするのものも多くおりますので、いっそ収穫祭で大々的にやるのはどうでしょう、」


「それはいいの! それならばリバーシ大会と銘打って、広場に専用ステージでも作れば、面白そうじゃな」



なるほどな、確かにオセロの大会とかもあったし、何より準備が楽だからいいな



「リバーシ大会か、なら優勝者には賞金として、メルヴィス家から銀貨7枚を送るよ!」


「賞金ですか、それなら参加するものも多くなりますな!」


「そう、それと収穫祭だからさ、食べ物のイベントもやりたいんだよね、だから各自で自慢のピザを作って、領外から来る人達に投票して貰って、町一番のピザを決めるのはどう?」


「おぉ、それならいけますな! 何せ最近はどこの家庭でもピザを作りますからな!」


「ええ、それに町一番の称号付きとなればやる気も上がるでしょう」



まぁ、俺が色々な物を食べたいだけでもあるけどな



「よし、ならこの2つの催しをやる事に決定でいい?」


「「「「はい!」」」」



よし、何とか話はまとまったな、一気に疲れた。。


町長以外のものは、早速準備のための会議をしに行った。


ーーーーーーーーーーーー


「それにしても、両方レイモンド様が広めた物を使うことになるとは。」


「おや?確かにそうですな」


「さすがはメルヴィス家のお子様、将来が楽しみですな!」



俺の知らないところで、俺の株は上がるのだった

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