第16話 フローズンジュース



夕飯の時間になり、カトレア姉さんとトーリーがダイニングに来る


「姉さん、大丈夫? 」


「ええ、大丈夫よ!」


「そんなすぐに治らんだろ、飯食ってまたすぐ寝とけよ! 明日から身体強化の訓練を中心にするぞ! 今日みたいに中途半端に使うと危ないからな」


「はーい、」



「それにしても、母さんに俺の事頼まれた数時間後に魔力切れで寝込むなんてね」


「うるさいわねぇ」


俺がいつもの調子で姉さんを煽ると、そう小さく呟き黙り込んでしまった、


どうやら今回のことは相当反省しているらしい。


なんか、罪悪感すごいんだけど。。


そんな状況を察したアメリアが救いの手を差し伸べてくれる。


「カトレア様、レイモンド様、ほんとによろしいのですか?」


「3人だけってのもなんか寂しいしいいわよ!」


「俺もー!」



今日、と言うより父さん達が帰ってくるまでは特別に、1人残ったメイドのアメリアと、料理長のディランも一緒に食事をとる


普通の貴族家では、こんなこと絶対にしない。


例えば、ものを取ってもらった時にもお礼は言わない、

これは貴族家では当たり前であり


それがメイドや執事の仕事なのだから、当たり前のことをしただけ、という事なのだ。


うちは父さんも母さんも冒険者からの成り上がり貴族で、そう言う貴族らしいしきたりに慣れていないため、使用人との距離が近いのだ


まぁ俺もその方が良いけど



「じゃあ食べましょうか」


この中で1番立場が上の姉さんがそう言うと、皆が夕食を食べ始める


そこからは、アメリアの子供時代の話を聞いたり、ディランが育った街の話を聞いたりと、楽しくワイワイと皆で談笑しながら食事を楽しんだ!



食後の一息の時間に、先程作ったデボンのフローズンをみんなに出した


「はい、これがさっき出来たばっかの新作!」


「おっまじか!ラッキーだな!」


「やった!レイの新作ね?」



ピザやパスタの例があるから、みんな期待しまくっている、 いつもは冷静で真面目なアメリアでさえ小さくガッツポーズをしていた。


アメリアが、皆の前に置き、俺がすすめると、皆が一斉に飲む!


「冷たくてサッパリしてますね!」


「こりゃいいな! 暑い日に是非とも飲みたいもんだ!」



どうやらフローズンは好評のようだ!


「まぁね、魔力切れでだるい時に冷たいもの飲むとスッキリするんだよ、! ッア!」


「美味しいは、ありがとうレイ、」


「ん?姉さんなんか言った?」


「別になんでもないわよ!」



カトレア姉さんがなんか言うのと同時に、俺は自分のコップを倒してしまい、なんて言ったか分からなかったが、 カトレア姉さんの顔がさっきよりも赤くなってる気がする



そんなに辛いのかな、弱ってる姉さんなんて珍しいな


姉さんは黙り、俺は頭に?マーク、そんな俺たちを見て大人3人は優しい顔で微笑んでいた。



ーーーーー


俺は、寝る前の日課である、魔力を使い切るまでの魔法特訓を終え、ベットに寝っ転がっていた



「姉さんも今日は辛そうだったけど、トーリーが明日から身体強化の特訓って言ってたしこのダルさにもすぐに慣れそうだな」



そんなことを思いながら、深い眠りについていく。




ーーーーーー


父さん達がいってから週間がたった


「そこ! 足に魔力を流しすぎだ! 踏み込みが強すぎて体のバランスが崩れてるぞ!」


「はい!」



あれから毎日、トーリーが姉さんの身体強化の猛特訓をしている


俺の方はと言うと、


「先生!こんな感じですか?」


「お?できてるじゃん! じゃあその感覚を忘れないうちに、数を増やしてみて!」


「そ、それはちょっとむり。。」



トーリーのパーティーメンバーの魔法士の2人に魔力操作のコツを教えていた


2人とも水魔法の適正があったので、とりあえず水の操作からやらせている


特訓内容は簡単、某忍者漫画の語尾が「ってばよ!」の主人公の代表的な技をモチーフに、1本の長細い水を高速回転させながら、ソフトボール大の大きさに留める訓練だ


エブリンは何とか1つの玉を、数分安定させれるまでになっていたが、お姉さんキャラのブルックは、なかなかソフトボール大に収縮出来ないでいた


と言っても、これは慣れるしかないので教えることも出来ないんだけど、



そんなふたりを横目に、俺は火、水、風 3つの魔法で

同じように回転させ、ソフトボールではなく、ゴルフボールくらいの大きさにしたものを何個も出して周りに漂わせている


「私なんて全然小さく出来ないのに、4歳でなんでそんな事出来るんですか!」


それはブルックの魂からの叫びだった。


「要は慣れだよ慣れ! 魔法の圧縮は、草を丸めて作った玉を思いっ切り握り潰すイメージをするといいよ」



そんなこんなで各々練習していると、1匹の馬が家の門の前で止まり、馬から降りた青年がこちらに向かって話しかけてくる


「すいません、ライル・メルヴィス男爵さまから、伝令を持ってまいりました!」



どうやら、父さんから急ぎの伝令らしい


「はい、メルヴィス家三男のレイモンドです、伝令、確かに受け取りました!」


俺がそう言って手紙を受け取ると、青年は安堵しながら馬に乗り、来た道を戻って行った、



すぐに手紙を確認すると、ちょっと面倒なことが書かれていた


内容は


第3王女の誕生祭で仲良くなった、うちと同じ騎士家の貴族 (武功により貴族位を賜った家) と、話をしていた所、収穫祭を見てみたいという事になり、王都から直接、メルヴィス領に来るのらしい、


それに伴い、屋敷の部屋や食事のセッティングと、町長達、町の重役と話し合い、収穫祭では多少見栄をはって欲しいとの事



しかも来る人たちのメンツが異常だ、


来るのは2家


南方の要である 海と隣国にに面した

『オルレイン辺境伯家』


騎士家筆頭の大貴族

『アイデルフ公爵家』


という、なんともヤバい家が来るらしい



何をどうすればそんなことになるのかと読んでみると、どうやら、アイデルフ公爵家の2女クララ嬢が、ニール兄さんを気に入ったらしい。。まじかよ、



問題もなくここまで来てたのに、まさかの王都から問題を持ち込まれるとは。



突然の伝令により、レイは準備のために忙しなく動きまわる。

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