第12話 ボードゲーム



「レイモンド様、おはようございます!」


「おはよー、アメリア、毎日ご苦労さま」


「フフッ! それがお仕事ですから!」


いつものように、アメリアが俺の部屋の窓を開けて、空気の入れ替えをしながら、朝の挨拶をする!



「最近は天気が良くて、本当に心地いい風が吹くね」


「そうですね、でももう2週間も経てば、冷えてきますからね、今だけの楽しみですよ」


「確かにね」



ーーーーー


「レイ、今日は何をするんだい?」


アメリアに促され、ダイニングへ向かい朝食をとっている


「娯楽になるボートゲームを作るよ」


「娯楽? 料理みたいに何か考えついたのかい?」


「うん、町に行って思ったけど、ここ娯楽が全然無いでしょ? 俺は三男だからね、稼いでおいて損は無いし、ジュードにも売り込むつもり」


「あらあら、レイは商人になりたいの?」


「ん?違うよ? 俺は働きたくなから、発明でもして後は売上の一部をもらって生活するの」


前世でせっせこ働いてたんだ、今世は楽して生きるにきまってる! 手段もあるし



「まったくこの子ったら、」


「まぁ、まだ先のことだから、今はそれでいいんじゃないかい?」


食後のティータイムを終え、ライル父さんと、カトレア姉さん、ニール兄さんは、剣の稽古をしに庭へ向かった



「じゃあやりますか、」


「レイったら、おじさん臭いわよ?」


俺が呟きながら席を立つと、ソファーに深く腰を下ろして、気の抜けた格好をしながら母さんが言ってきた



「今日は頭も体力も使うからね、」


「まぁ、小さいうちに色々やるのはいい事だわ!頑張りなさいね?」


「はーい」



ーーーーー


俺は裏庭に移動してきた


何から作るか


「チェスは難そうだな、まずはオセロからか」


ちなみにオセロとリバーシの違いは、スタートの時に盤の中心に4枚置いたとこからのやつが『オセロ』


『リバーシ』は、とくにルールはないらしい


「どっちかって言うと俺が今から作るのはリバーシになるのか? ま、どっちでもいいか 」



俺は異次元ポケットから町で買った木材を取り出す!


リバーシは簡単だ!まず大きめの正方形を風魔法で切り出して、8×8のマス目をナイフで掘る!


次はコマの方、丸く切り出すのはムズいな、 角材をサイコキネシスで回転させながら切り出す!


「少しいびつだけど試作だし、コルトンに頑張ってもらおう」


後は、コマの片方にインクを塗って


「はい完成! こっちは楽だからいいんだ、」



将棋もだいたい同じように作っていくのだが、将棋はコマを置く時の音が響くように色々考えられてると聞いたことがあるような、


「まぁ、今は気にせず作る」


コマの角度とかちょっとむずかったけど、何とか形になった、


最後はチェス! なんだけど、 無理だよね、 ナイトとか作れる気しないんだけど


チェスのために色々考えるが、平のコマにモチーフを掘るしか思い浮かばない。



ーーーー


「レイラ母さん!」


「あら?もうゲームは作り終わったの?」


「いや、今途中だけど聞きたいことがあってさ、王の紋様をコマに掘ったりするのって犯罪だったりする?」


そう、これを聞いておかないと、この国は本物の王権制だからな、領外にも売り込むつもりだし、不敬罪とかで死刑にもなりかねない


「レイはいったいどんなゲームをつってるのかしら、まぁそれなら、家紋を使ったりしなければ大丈夫よ! でもまず最初に私たちに見せてね?」


「ほーい!じゃ作ってくるね!」


ーーー


盤は、もう作ってあるので、後はコマを作るだけだ


俺は紙にコマのモチーフとなる絵を書く


チェスは6種類のコマがある、


キング、クイーン、ビジョップ、ルーク、ナイト、ポーン


それぞれに


王、王妃、教会の司祭、戦車、騎士、兵士


という意味があるのだが、司祭と戦車がこの世界に存在するのか分からないので、意味を変えることにした


キング(王) クイーン(王妃) ビジョップ⇒ウィザード(魔法師) ルーク⇒ ジェネラル(将軍) ナイト(騎士) ポーン(兵士)


の6種類のモチーフを考えたあとは、コマに絵柄を掘っていく


ーーーーーー


…3時間後…


「レイモンド様、お昼のお時間です」


「うん、 ついさっき何とか完成したよ」


昼食の時間になり、アメリアが呼びに来てくれた



ダイニングに来ると、姉さんが、「レイ、いつものお願い!」とだけ言ってくる


稽古の日は、昼食の前にシャワーを浴びるのだが、何年か前に兄さんと姉さんが、髪を濡らしたまま食事をしていたのが気になって、火と風の魔法で2人の髪を乾かしたのが気に入ったらしい、今では毎回の習慣になっている


何も言わずに2人の髪を乾かしていると、母さんが声をかけてくる。


「レイ、ゲームは作り終えたのかしら?」


母さんは、穏やかな雰囲気を持ち、しっかりした人なのだが、楽しいことが大好きなので、新しいゲームが朝からずっと気になっているのだろう!


「うん、何とかできたよ」


「本当かい?僕、実はちょっと楽しみにしてたんだよ!」


ニール兄さんが積極的なのは珍しいかも、


「なら食後にみんなでやろうか」


「「「はーい!」」」



父さんが「ではお願いね!」と言うと、控えていたメイドたちが動き出し、食事をテーブルまで運んでくれる


ちなみに今日の昼食は、サンドウィッチだ、これはただ挟むだけなので、ディランに教えておいた


エルフェントベアーは熊なのに草食なので、ミミーは野菜の盛り合わせを食べる


昼食を食べ終わると、全員が期待した顔で俺を見てくる


父さんも実は楽しみだったらしい。



「これがリバーシで、こっちは将棋、でこれがチェス」


俺は各々の遊び方を一通り説明する、兄さんと姉さんがリバーシ、母さんと父さんはチェスをするみたいだ



「アンタよくこんなの思いついたわね!」


「まぁねー、でも全部頭使わないと勝てないよー?姉さん大丈夫?」


「ふん!それくらい大丈夫よ!全部勝つわ!」


俺が姉さんを煽っていると、母さんが俺に親指を立ててグッドのポーズをする


姉さんは勉強嫌いなので、少しでも頭を使うこのゲームを作った俺に「良くやった!」と言いたいらしい


いつもなら撫でてくるのだが、今日は目の前のゲームが楽しみで、グッドポーズだけみたいだ


各々が楽しそうにゲームをする


「レイ、これは面白いよ!良く作ってくれたね!」


「ええ、ライルの言うとうりだわ! ふふっ、今日は私の負けだけど次はそうわいかないわよ?ライル!」


「ニール!夕食を食べたらもう1回やるわよ!」


「え?散々やったじゃないか姉さん、まだやるの?」


「あたしが勝つまでやるのよ!」


「そんな子供みたいな、」


皆思い思いに楽しんでくれたようだ、これはかなり売れそうだね


ちなみに姉さんは、考え無しにコマを置き、頭脳派の兄さんにあっさりと負ける、


兄さんも姉さんに花を持たせて上げればいいのに、意外と負けず嫌いらしい


そんな家族の意外な一面を知れたんだ、作ってよかっただろう。

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