第11話 広がり


俺たちは、町で唯一の料理を出す酒場に来ていた!


「いらっしゃい! あら?ニール様とレイモンド様じゃないかい!どうぞどうぞ!」


やっぱりみんな知ってるんだな、まぁ、挨拶も面倒だしいいか


「お昼を食べに来たんです、おすすめはなんですか?」


「ここ最近はピザが人気で人気で、色んな具のピザを開発してるんです!」


うんうん、いい感じに広まってるな!


「そういえばピザはレイモンド様の発明だったわね!おかげさまで最近は儲かってるよ!」


「いえいえ、俺が思いつかないトッピングを誰かが考えつくのを楽しみにしてるよ!」


「あ、ジュードがこの前きて、ぜひ王都で広めるって言ってたよ、いいのかい?」


「それなら屋敷に来た時に聞いたよ、別に隠すことでもないから許可しといた」


行商人のジュードは、メルヴィス領に来ると、領主であるうちの屋敷に、最初と最後に挨拶をしに来る


「レイ、レシピなんて普通は秘匿するものじゃないのかい?」


「兄さん、あんな簡単な料理、見ただけで作り方なんか想像できちゃうよ! それならピザ発祥の地として宣伝してもらった方が、家のため、領のためになるってもんさ」


まぁ、恩恵が出てくるのは何年もしてからだから、その時は兄さんも、本腰入れて家の仕事をしてるだろう! 頑張れ兄さん!




ーーーーーー


「レイモンド様、新しい料理はなんかないのかい?」


「お母さん、ディランさんからピザ教えてもらったのつい最近じゃない!そんなすぐに思いつかないでしょ! あ、私はこのマールの娘のシドリーです!」


「まあ、あるんだけどね!でも、うちで色々試してからじゃないとだめかな。 それよりおばさん、まだ稼ぐきなの?」


ピザで儲けてるって言ってなかった?



「稼げる時に稼ぐ! 何があるかなんてわかんないからね!違うかい?」


「いや、その通りだね!」


「ま、教えてくれるなら今は、待っとくよ!」


「まぁ、気長に待っててよ!」



世界が変われど、女性のしたたかさはどこも同じみたいだな! 気づいたら言いくるめられてる




ーーーーーー


俺たちは腹を満たした後も、町を散策して、帰る時間になり、今は屋敷への帰り道。



畑とかじっくり見たりしたかったんだけど、これからはいつでも、空間魔法で来れるからいいか



「レイ、町は楽しかったかい?」


「うん、ここはいい町だね!みんないい笑顔だったよ!」


「そーね!そうなるようにライルが頑張ってるのよ?」


母さんの言うとうりだ、冒険者だった父さんたちにとって、領地の運営なんて慣れないものだったに決まってる。


なのに、街の人達が皆父さんと母さんに感謝してた


俺の両親は思ってたよりもすごい人たちだったな



「それは本当にすごいね!」



「レイはまちで何か買ったの?」


カトレア姉さんが聞いてくる


「うん、娯楽の玩具作りって稼ぎたいから、木材を買ったし、雑貨屋で凄いソースを買えたよ! また新しい料理ができそうだよ!」


「本当に?やったぁ!帰ったらすぐに作りなさいよ!


「そうね、ピザも美味しかったし、そうしてもらいましょう!」



「え、今日はもう疲れてるんだけど」


はぁ、俺はこの世界では絶対働かんぞ! そーゆーのは好きな時にやるから楽しいんだ!


「そんなんでどーすんのよ!男でしょ!」


「4歳のね! 」


姉さんなんか、そこらの男より体力あるんだから、一緒にしないで欲しいよ、



「レイ、女性にそんなことを言ってはダメよ、声に出てたわ、」


えっ?まずい、つい声に出してしまった…


「レーイー… 何が男女よっ!!」


「そんなこと言ってないよ!」


「待ちなさーいっ!」


「くそー! 兄さん、さっきの借りをここで返してー!」


「レイ、世の中には超えちゃいけないラインがあるんだよ、それが今だ!」


「クソーーーーーーー! 助けなければよかったァーーーーーーーー!」



「悪いのはアンタの軽口でしょうが!待ちなさい!」



頭にコブを作りながらも、俺たちは楽しく屋敷に戻るのだった!




ーーーーーー

『翌日』



「よし、それでいいよ!後は、茹でるだけ!」


「へー、坊ちゃん、よくこんなの思いつきますね!」


まぁ、俺が考えたんじゃないんだけどね!



町に行った日は、「レイも初めてで疲れてるんだから、」とライル父さんの一声で、何とか料理せずに済んだものの、結局翌日にさせられていた。


なので、ピザと同じように汎用性が高く、この領地に大量に出回っている小麦粉をつかった、パスタ麺を作っている


と言っても、『小麦粉』『オリーブオイル』『塩』『卵』を混ぜて、切って茹でるだけの超簡単料理なんだけど


「ほれ、麺はこんくらいでいいのか?」


「うん! 後は、トマトのミートソースを乗っければ完成だよ!」


「よし、これで完成だね、早速試食するか!」


「うん、早くしないと匂いを嗅ぎつけた猛獣に取られそうだし」


「ハッハッハ!確かにそりゃ言えてるね!」



「「頂きます!」」


俺たちは、試作のスパゲティを頬張る!



「これはいいよ坊ちゃん!つるんと喉を通っていくから、夏の食欲がない時なんかでも、これなら全然食べれるよ!」


「上出来だね! それに今回は平麺だけど、もっと細くしてもいいし、色々試せるよ!」


「なるほどね、これならピザみたいに、乗っける具材を変えるだけでもいけるし、具材に合わせた麺の形とかも研究する価値があるね!」


向こうには色んな形のパスタがあったよね、あとはディランに頑張ってもらうしかないな!



「坊ちゃんには、またいいものを教えてもらったな! いったいどうやって思いついてるんだい?」


「どうなんだろうね、何となくかな」

(大嘘だけど!w)



「まぁ、また何か思いついたらいつでも来なよ!」


「うん!」



料理の方は、順調に普及できそうだな!


今後も少しずつ増やしていけば、現代の味を知ってる俺でも、満足出来る料理がたくさん出てくるだろう!



「ディランのあの張り切りようだと、当分は食事に飽きることはないと思うし、次は玩具作りだな!」

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