第4話 ピザ


「はぁ、酷い目にあった。」


あの後、ライル父さんとレイラ母さん、ミアとドネリーが書室に入ってきて、絶好の機会だと思い、自慢げにハイハイを披露してしまったのだ。


「あら、もうハイハイができるの?すごいわ!」

「本当だね!すごいよレイ!」


2人はよほど嬉しいのか、メイドたちも居るなかお互いの頬にキスをしあっていた。


「もしかしたら妹か弟ができるのは、相当くないかもしれない。」


そんなことを思いながらも

気持だけは、ふんぞり返ってドヤ顔を決めていた!


さすがに赤ちゃんだ、最速ハイハイでここまで来た上に、つかまり立ちもしたおかげかさすがに疲れた、


「トスッ」


数ヶ月ぶりに体を存分に動かし、今は座りながら全身の脱力感を堪能していた


「目的も達成出来たし、部屋に戻ってぐっすり寝たい」


そう思っていると。


「レイっ、もう1回もう1回!!」


我が子の成長に心踊った両親が、ハイハイの再開を要求してくる。


疲れたので嫌だったが、満面の笑みで嬉しそうにしているこの両親に心配をかけたと思うと、罪悪感でハイハイをしない訳にはいかなかった。


俺は再びハイハイしようとするが、体に力が入らない、


だが、微笑みかける両親のためにここでしないと言う選択肢はなかった


俺はさっきの魔法書の内容を思い出し、ハイハイを決行する


「ん?魔力?」

「ほんとね、これってレイからよね?」


「あぉ、レイからなんだけど、まだ生後半年くらいだよ?」

「でも、魔法の適性が強い子は赤ちゃんの時から魔力を発するって、聞いたことがあるわ」


「レイの将来は有名な魔法使いかな?」

「あら、ライルみたいな高ランク冒険者かもしれないわ?w」


魔法書には、

『魔力を体に循環させることで、身体能力の底上げができる』

と書いてあった


母さんのお腹の中にいた時からは循環させている俺にとっては朝飯前だ


微力だが、ハイハイができる程度の魔力を流したが


両親には魔力を感知されてしまった。


そしてその両親は、俺の将来について、冗談交じりに話していた。


「仲睦まじい夫婦だなぁ~」


幸せな気持ちになりながら休んでいたら、


『ガッチャン!!』


カトレア姉さんとニール兄さんが騒ぎを聞きつけて入ってきた、


ここからが地獄の始まりだった




ーーーーーー


数日後


「ウォーターボール」


俺は、覚えた詠唱を使って、基本五属性の魔法を試していた


今は、水の初級魔法『ウォーターボール』を発動している


魔法について少しわかったことなのだが、魔法は1度発動できると、次の発動はスムーズに発動できる


魔法に関わらずだが、0から1にするのはかなり難しく

、1から2にするのと比べると雲泥の差だ


今は5属性の初級魔法を、魔法名だけの詠唱で発動できるようになっている


「あの作戦をやったかいがあったと言うものだ」


ライトの魔法も、発動できた時は嬉しかったが、手から火が出たり水が出たりと、


物理的現象を引き起こせるのは滅茶苦茶楽しい!


「あの神様には感謝しきりだな」




ーーーーー


4年後。



「レイモンド様、朝ごはんの時間です、起きてください」


アメリアが俺を起こしに部屋に入ってくる


「おはようアメリア!」

「おはようございます、もう皆さんはお集まりですよ」


俺は体を起こし、アメリアが開けた窓の外を見ながらぼーっとする


「今日も心地いい天気だね」

「ええ、ですがそろそろ寒さが増してくる時期ですよ」


なんて言いながらのそのそと1階のダイニングへ行くと、いつもの事のように家族全員が座ってお茶を飲んでいた。


俺は毎日欠かさず、魔力を使い切るまで魔法を使っているのだが


魔力が枯渇すると、異様に体がだるくなるのだ


4年も続けているからだるさにはなれたが、睡魔には慣れることが出来ず、暇さえあれば寝てばかり


昔はことある事に母さんに注意されていたが、治る気配がなく諦めたらしい。


「「「レイ、おはよう!」」」

「ちょっと!お腹すいたんだから早くしてよ!」


「おはよう!カトレア姉さんは、朝から体を動かしすぎなんだよ、もう少し落ち着いてもいいんじゃないの?」



「いでっ!、何 すんのさ」

「レイが、自分の寝坊を棚に上げて、軽口ばかり叩くからよ」


いつもどうりの光景に、俺と姉さん以外のみんなが微笑んでいた


「じゃあ、お願いするよ!」

「畏まりました。」


父さんが合図を出すと、メイドの3人が一斉に動きだし慣れた手つきで机に料理の乗ったお皿を並べていく


朝食は、焼きたてのパンに焼いたベーコンと目玉焼き、ブイヨンベースの卵スープとレタス、玉ねぎ、トマトのサラダだ


うちは料理人が全食作る、まさに貴族って感じなのだが、調味料が少ないせいか美味しいけど何か物足りない感がある。


朝食が終わりみんながお茶を飲みながらリビングでくつろいでいる中、俺は厨房に来ていた


「ん?坊ちゃん、何か用かい?」

「うん、試したい料理があるんだけど厨房使っていい?」


「ん~、わかった、気になるから料理を試すのはいいが、作業は私がやるわ、坊ちゃんは指示してちょうだい」

「はーい」


この人は、うちの料理人のディラン


港町の漁師の家に生まれたからか豪胆な性格だが、優しい人だ


ディランなんて名前だが女性で、どうやらライル父さんとレイラ母さんの昔からの知り合いらしい


「言われたものは準備できたよ!」

「はーい」


「じゃあまず小麦粉、塩、イーストをボウルに入れてお湯を加えながらなめらかになるまで捏ねて!」

「おうよ!」


さすが料理人、慣れた手つきですぐにこね終えた。


「そしたら生地を寝かす間にトマトソースをつくて、ベーコンも細かくしておいて」

「はいよ!」


ディランが、料理しているのを見ていると、これもあっという間に終わった


「後は、生地を適当な大きさに分けて、めん棒で丸く平にしてトマトソースを塗った上にベーコン、マッシュルーム、チーズを乗せて適当に刻んだバジルをふりかけて釜で焼くだけだよ」


「へー、簡単だね、これはなんて言う料理なんだい?」


「ピザっていうんだよ、って言ってもピザ生地の上に具材を乗っけて焼くだけの料理だから、上の具材次第でいろいろバリエーションを増やせると思うよ?」


「ほぉ、それは面白そうだね!いろいろと試し外がありそうだ」


この後、ピザが焼き上がるまで2人で上に乗せる具材談議をしたて、ディランができたピザにかぶりつき、我が家の食卓に新たにピザが、採用された!

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