第471話 松尾家の秘密 ~落下……?~
「――ここどこ」
周りの木々を見つつつぶやく私。
ちなみに手には私の物ではないカメラを持っている。
「いやー、どこだろうね。って――私のカメラ――」
すると、少しだけ低姿勢で私に声をかけてくる影が――。
って、これは七和先輩なのだけど。
「動いたら石でつぶします」
今近寄られるとここまでの苦労が水の泡になるため。私は近づかれた分離れて。ちょうどいいところに落ちていた石をカメラを持っていない手で拾った。
いい感じに角が鋭利に尖っている。これなら刺せるかもしれない。良い石見つけた。
「やめてー!私の身体の一部が――それ以外なら受け渡すからー。それだけはー。それが壊れたら私は生きている意味が――それはやめてー!」
すると、絶叫?ではないが。まるでミュージカル?悲劇のヒロイン?でも演じているかのように七和先輩がオーバーリアクションを取った。何故か地面に座り込んでいる。あと嘘泣きもしているように――見える。涙は流していない。
はっきり言っておくけど、私が先輩に何かしたということはない。
むしろ私が恥ずかしくて泣きたかったくらいだ。あと、私が写真消せ!と叫び続けていたというか――もういいや。物は何とか手に入れた。そして、これを得るためにかなり疲れたから無駄なことは考えないように――って、そんなことじゃなくて、今ちょっと真面目にやばい状態でもあるので、そちらを真剣に考えないといけないだろう。
まあその前に先輩がうるさそうなので――
「演技しているのがバレバレなので叩き割ります」
私はカメラに向かって石を――。
「タイムタイムタイムタイム!!」
すると、七和先輩が大慌てで土下座を開始した。
地面に頭を――付けていない。ギリギリ付けていない。なので多分……足と手が汚れるくらいだろう。って、これも演技な気がする――。
「はぁ――ってか、ここどこ」
「さあ?」
呆れながら私がつぶやくと、地面に座ったまま七和先輩が顔を上げた。
現状報告をしておくと。
今私と七和先輩は超森の中と言えばいいのだろうか?どこを見ても木。四方八方が木。どっちから来たっけ?というような状況だった。
本当に周りを見ても同じような光景で、立ち止まってから馬鹿なことというか。アホなやり取りというのか。七和先輩と話していたことで、本当にどちらからやって来たかすらわからない状況だ。
でも七和先輩ならこういうときでも何か持っていてわかるのでは?と、ちょっとだけ私が思うこともあったが――見た感じ七和先輩は手ぶら。ちなみに私も手ぶら。カメラを追いかけてきただけだから。ということで、今私たちはカメラと身しかないというか。とにかくカメラ以外何も持っていない状態で森の中に居る。
「七和先輩実はわかるんじゃないですか?」
「全く!」
再度確認してみると、キリっと返事をしてくれたが――ダメだ演技なのか本当なのかがわからない。
ということで――。
「嘘を言っているのならとりあえず邪魔なのでカメラとはさようならしてください」
私は再度カメラに向かって鋭利に尖っている石を落とし――。
「タイム!!スーパータイム!」
べちゃーと、今度はまじめに?土下座――いや、単に前につぶれただけのような気がするけど――とりあえず七和先輩が再度土下座?をした。
「――何か話すことありますか?」
「場所がわからないのはホント」
「――」
「ほんとだからー!だから私の身体だけは助けて――!」
「……これカメラなんですけど」
間違いなく私の目の前にあるのはカメラである。
人の身体の一部ではないはず――って、必死すぎてちょっと怖い。
これはカメラのはず。そりゃ安いものではないと思うけど……あっ、やっぱり演技か。
「それは私の一部なの!スクープとネタが!まだパソコンに保存してないから!!」
「……つまり壊せばいいと」
「そうなるのはおかしいでしょう!?」
「いや、個人情報何とかです」
「大丈夫!松尾君脅すネタにしか使わないから」
なるほど。
やはり今私が手にしている。得たカメラはろくなことに使われないということか――。
さすがに壊すのは簡単には――だけど、この中の物がもし流出すると――だから、こういう時は勢いよくだよね。
「――さようなら」
私はそう呟き石を真下に振り落とす――。
「待って!!特ダネが!!」
七和先輩が叫んでいたがそれは知らない――。
「あっ、居た」
「「うん!?」」
すると、不意に後ろの茂みから声がした。ちなみに知った声だったが――私は声がしたため手を止めていた。なので――。
「六石君ナイス!」
ガサガサっと、近くで音がしたと思った時には、見事に七和先輩が私の目の前からの――カメラを持って離れられた。
いやいや忍者なの?めっちゃ動きが早かったんだけど?ってか、動き出したところがわからなかった。って、せっかく苦労したのに!もう!なんでこのタイミング――って、もしかして2人で連絡をコソコソ取り合ってタイミングを――。
「――ほんとなんで今出てくるの!」
結果として私は声をかけてきた人の方を見つつ。ちょっと文句を言ったのだった。いや、普通に文句を言ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます