第464話 松尾家の秘密 ~タイム。タイムを要求します!~

「あっ。松尾君。ちょっとタイム。タイム!」


 長宮さん。石見先輩。新聞部が昨日発見した地下室へと探検に向かった後のこと。

 あちらは――しばらく放置だ。放置。何かあったら何かあったである。 

 居間を出てすぐ何やら盛り上がっている?ような声と。長宮さんによる。なんで六石が付いてきているのか!みたいな声が聞こえてきたが。今はスルーである。スルー……スルー……大丈夫かな?


 と、ということで……いろいろ心配はあるが。今はそのことは忘れて、俺は4人とは別行動。まずは自分の部屋へと向かっていると――俺の方へと唯一付いてきていた結崎が何故か急に俺の前に立ちはだかった。


「どうしたの?結崎」

「な。何でもないんだけど――ちょっとタイム」

「それは何かあるときの言い方では?」

「なんでも」


 今の俺はとりあえず自分の部屋に向かおうとしていたのだが。何故かそれを遮られている。


「――俺の部屋何かあった?」

「何もないはずだけど――ちょっと心配だから少し待ってて」

「うん?」

「散らかっているかもだし」

「――俺さっき入ったけど何かあったっけ?」


 ふと思い出す少し前のこと。

 確か普通に長宮さんが寝たふりをしていて――部屋は……って、そういえばちゃんと見なかったような?でもそこまで散らかっていたとかそんな記憶はないと思うが――。


「とにかく。その――私が確認してから――昨日―――だし」


 すると。何やらもごもごとつぶやく結崎。

 はっきりとは聞こえなかったのだが。何やら言いにくそうに――後半は恥ずかしそうにつぶやいていた。


「……?まあ待てと言うなら待つけど――」

「ありがとう。ちょっと見てくるから。開けないでよ?」

「……気になる言い方」

「だ・か・ら」

「はいはい」

「はいは、1回」

「はい」


 何が起こったのか――だったが。とりあえずここは結崎の言う通りにすることにした。

 まあここで結崎ともめてもなのでね。というか。あの結崎の反応的に――長宮さんと何かした。または――いや、まあ変なこと考えなくていいか。多分だが。結崎が何かしていたとかそういうことはないだろうし。

 ――ないよね?


「――じゃあ、俺はちょっと洗濯とあっ。風呂掃除でもしてるよ」

「わかった」


 俺が向きを変えて洗面所の方へと向かうと結崎が俺の部屋へと慌ただしく?入っていった。何をしに行ったのか大変気になるが――まあいいか。

 これ以上聞いても何も答えてくれる感じはなかったしな。

 ということで、俺は予定を変更。みんなが昨日使ったし。掃除する人が居ないため。風呂掃除などなど。洗面所近辺の掃除へと向かった。


 結崎と別れて洗面所へと向かった俺。

 洗面所内は――まあいつも通り。特に散らかった様子もなく。みんなちゃんと使った様子。というか。まあ散らかる要素はないか。

 この洗面所。風呂場には余計なものというか。何かたくさんものがあるとかそういうことはないからな。


 ということで俺はまず風呂場へと。そして久しぶりに風呂掃除を開始した。

 いや、普段からそれくらいしろよ。とか言われるかもしれないが。普段は最強のばあちゃんというか。家事はすべてしちゃうばあちゃんが居たのでね。大掃除くらいしか俺に回ってこない。または力仕事。少し前のことで言えば――というか。もうそこそこ前だな。駅までの草刈りとかね。というか、そのうちまたしないといけないんだろうな。寒くはなってくると草は枯れていくだろうが。枝とかそういうのは手入れしないとあとあと大変と毎回聞かされていたし。じいちゃんがいつ復帰するかわからないからな。

 とりあえずそんな余計なことを考えつつ。俺は久しぶりに風呂掃除を始めた。 

 ちなみにやりだすと楽しかった。

 いや、楽しいな。そこまで汚れとかがあるわけではないので、綺麗になった!という感じがないのだが。でも壁とか床を泡だらけにして掃除していくと――きれいになっているというか。とにかくやった感じがあり。そこそこ真面目に俺は風呂掃除をして――。


「よし。良い感じ」


 椅子とか桶も綺麗に並べというか。おいて――完璧に風呂掃除を終えたのだった。

 いや――たまにやったからか。なかなか楽しかったである。


 そして風呂場から出た俺は洗面所へ移動した。


「あっ。洗濯しないとか」


 そして、そういえばこれを先にした方がよかったのでは?などと思いつつ俺は洗濯かごを手に取った。

 今は自分で洗濯しないと誰もしてくれないのでね。

 ちなみにさすがにみんな洗濯物は持ち帰ってくれているらしく――らしく?


「うん?」


 すると洗濯かごを持った俺。何やら違和感を感じた。

 何かというと。少し量が多く見えたからだ。

 俺の分しかないのに――と、思いつつ少し漁ってみると――何やら俺の洗濯物の中にはあってはいけないというか。おかしいというか――これは。


「――誰の?」

 

 俺はかごの中に入っていたものを手取った。それは何かというと、かわいらしい……。


 ガチャ。


「――松尾君!まだ洗濯してないよね!?」


 するとそのタイミングで洗面所のドアが開いた。

 そして結崎が叫びつつ入って来て――ともにフリーズしたのだった。

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