第463話 松尾家の秘密 ~帰れ帰れ――無理か~
じいちゃんばあちゃん不在の松尾家。
めっちゃにぎやかである。
本当ににぎやかである。
明日は学校あるのだが――マジで帰らないの?この人たち。である。
◆
「みんなはいつ帰るのか――」
「松尾君一人なんだしここは協力するべきでしょ」
「だね。1人は大変だから。こういう時は頼ってほしいよ」
「そうそう、みんなの方が楽しいし!」
「これは――スクープ取り放題。昨日の夜は――やらかしたー」
「――松尾のところに居ると朝からしっかり朝食が出てくるからすごいわ――って、これ結崎長宮のおかげか……」
「……」
長宮さん。あんた楽しんでるだろ?遊びに来ている感覚だろ?俺の心配とかそういうのではないのわかっているぞ?すでに顔がニコニコだし。多分どうしたら楽しく過ごせるか。というか。面白いことを考えることしかしていない気がする。
結崎よ。そりゃ1人は大変だが――結崎も1人暮らし。いや、結崎の場合はガチで心配してくれている。俺の生活レベルの低さを知ってのことか。
ここで結崎のことを言うのは――か。でもなんか……結崎も長宮さんと話している時の雰囲気がね。2人とも同じというか。なんかにらみ合ってる?ではないが。変な感じ。単に俺の心配だけではない気がするんだよね。
次。石見先輩。
あんたは確実に遊びに来ているガキである。
そして新聞部2人。
六石に関しては言いなりというか。言いなりだな。っか、朝食に関しての感謝はマジで結崎にだな。長宮さんも手伝っていたみたいだが。ほぼほぼ結崎だったし。
七和先輩に関しては――何も隠していないというか。マジで昨日寝てくれてよかった。起きなくてよかった。今めっちゃ悔しがってるからな。食事の後土下座のようになんというか。後悔?しているオーラがやばいからな。
まあそもそも人の家に乗り込んできて何をしているかだがな。マジで変なもの仕掛けていないか調べないといけないからな。余計な仕事を増やすなである。
そんなこんなで現在居間にて会話中の俺たち。
場の空気的には――和やかというのか。みんなくつろいでいる感じがある。というかよくよく見ると。結崎以外だらけていると言ってもいいかもしれない。
石見先輩なんてうつぶせで寝転んでいるし。まるで自分の部屋に居るような感じだ。
そして誰も俺の帰らないのか?に対しての帰るという人が居ない謎さ。
ちなみに今日は病院の方には行く予定はない。
少し前にばあちゃんより連絡があり。今日は休日で病院も何もないらしく。また必要なものもないので、家でのんびりしていろ的な連絡を受けている。
まあその連絡をみんなが知ってるため今の状況になってしまった気もするが――。
あと、どうもばあちゃんも1人の生活を楽しんでいる様子だった。
少しだがホテルの快適さを語っていた。もしかすると――しばらく帰って来ないかも?いや、それはないか。とりあえずはじいちゃんが落ちつくまでだろうと思う。
というか。じいちゃん放置されないか少し心配だが――まあばあちゃん近くに居るからな。さすがにばあちゃんくらいは様子を見に行くかと思う――思うが――わからん。
というか。じいちゃんはじいちゃんで動けないがなんか病院を楽しんでいる気もするのは何だろうか――?気のせいだとは思うのだがね。
「よし。じゃ今からは松尾君ところの地下室調査しよう!」
「おお。それはいいネタ」
「ちょ奈都――勝手に」
「楽しそうじゃん。何出てくるかさ」
「お宝お宝ー。後輩ちゃんサングラスちゃん出動するよ!」
「いろは先輩――あと、七和先輩も――松尾君良いの?」
「……えっ?」
俺が現状を呆れながらいろいろと考えていると。ふいに結崎が肩を突っつきながら声をかけてきた。そういえば今何か長宮さんと七和先輩が話していたような――そしてそれに乗っかったような石見先輩の声も――と、思いつつ結崎の方を見た時には……。
「レッツゴー」
「スマホ持っていけば明かりは良いよね」
「ほらほら、2人とも行くよ」
「あっ。カメラカメラ。六石君動く」
「えっ。あっ――はい」
なんか4人が立ち上がり移動を開始していた。
「……」
「松尾君?大丈夫?」
完全に反応できなかったというか。自分の世界に入りすぎたらしく。長宮さんたち4人の行動を止める。声をかけることすらできなかった俺だったが――まあもういいやという感じだった。
ちなみに結崎は心配そうに俺を覗きこんでいるような状況だ。
「うん。なんかもうあきらめた」
なので俺はとりあえず結崎に返事をしつつ立ち上がる。
「えっ――あきらめたって」
「だから――みんなの相手をしないという選択をする」
「ちょ、松尾君いいの?ってか――松尾君が遠いところを見ている気がする……」
結崎。正解。
いや、だって、これ以上相手をしていたら疲れることしかないだろうし。ならまあ自由にさせた方が楽かな?と、思いましてね。散らかしたり壊したら弁償してもらうだけである。ということで俺はというと――。
「よし。部屋の掃除や。庭の掃除じいちゃんの代わりにするか」
「――松尾君が完全にみんなをいないものとしてる――」
結崎再度正解である。
ちなみに俺も移動を開始すると結崎は少し戸惑った表情のち。でも何か思うことがあったのか。笑顔になって俺へと付いてきたのだった。
――なんか結崎も変なこと考えたか?
とりあえず松尾家の居間から誰もいなくなったのだった。
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