第440話 松尾家の秘密 ~貴重品?~

 ガッタン!


 この音は何か。別に説明する必要はない気がする。


「あっ。ちょ、いろは先輩!」


 脳内で『あの先輩またろくでもない事を考えて。俺たちがいろいろ地下室を見ているときにこっそり階段上ってドア閉めやがったよ』そんなことを俺が思っていると。結崎が階段を上りバンバンと閉じられたドアを叩きだした。


「――ちょっといろは先輩。何してるんですか!」

「えっ。監禁?」

「そんなことしなくていいですから!」


 再度となるが俺も結崎と同じことを脳内で突っ込んでいた。

 ってか、本当に何をしているのか。思いつくことがガキなのだろうか――いや、今までの行動もガキか。

 にしても――鍵ってあったか?確か普通に石見先輩がドアを見つけて――って感じだったはずだから。鍵はないよな。ってことで、多分階段の上で行われていることに俺は参加しなくてもいいだろう。結崎が何とかするだろう。そもそも鍵が閉めれないんだからすぐい開くだ――。


「開けれるもんなら開けてみるんだねーゆえちゃん」

「ほんともう。引いたら開くでしょ――って。取っ手がない!?」

「にひひーさっき確認済みーどうやらこの扉。中から開けるってことは考えてないのかな?ってことで、後輩くんたち監禁!」

「しなくていいですから!って、開けなさい!」

「嫌だよー」

「子供か!」

「ゆえちゃんはポンコツー」

「あーもう」


 ……あれ?

 意外と結崎苦戦中?ってか、取っ手がないとか今聞こえたが――この部屋やっぱり中から開けるとかそういうの不要だから作らなかった?いやでも何かの拍子でドアが閉まったら中から開けないとだから。取っ手がないというのは考えられないが――いや、待てよ。もしこの地下室。手作りと考えるとどうだろうか?作ったのはじいちゃん――でももしかするとかなり前からあって、ばあちゃんと2人で作っていた?とかまたは誰か協力者が昔は居たと考えると――素人の手抜き工事ではないが。マジで付け忘れとかある?って、別にドアは気にしなくていいなそのうち開けれるだろうし。石見先輩が外に居るんだから何とかすればそのうち開けてくれるだろう。

 それにドアが閉まっていることより俺はもうもう一つ気になっていることがある。


「ちょっと松尾君?聞いてる?金庫だよ金庫」


 そう、長宮さんが見つけた方のことである。


 金庫?だったが。こんなところだからこそあるか。とか思いつつ地下室の部屋の隅っこにしゃがんでいる長宮さんのところへと近寄り。後ろから覗き込んでみると――。


「ほら。これ見てよ」

「――金庫――みたいな感じだね」

「でしょ。鍵穴と――ダイヤルあるし」


 マジで金庫みたいなものがあった。少し棚に隠れたり。部屋の隅に置かれていた折りたたまれたダンボールに少し隠れていたみたいだが――長宮さんには見つかったらしい。


 大きさはそこまで大きくない。縦横20センチくらいの長方形で真ん中左寄りにダイヤル。そして右側に鍵穴がある。そして鍵穴の横にはちょっとしたでっぱり。多分持ち手?と思われるものがある。

 そしてこれ、壁に埋め込まれている。地面には接してないが。しゃがまないと正面から金庫を見れないというか。隠してあるのだろうか?って、すでに見つかっているが。


「これは――遊び心で作った?」

「えー、でも隠してあったからこれ何か入っているんじゃない?」


 長宮さんが横にどけている折りたたまれたダンボールを指さしつつ言う。

 いささかダンボールだけでは心もとない気もするが――でもさりげなくというのだろうか?隠すならこれくらいの方がいいのだろうか?

 俺的にはなんか遊び心。せっかくだし作ってみようで作った感じがある気がするのだが――。


「まあ何かは入っていると思うけど――開かないでしょ。って、開けちゃダメな気がするし」

「松尾君ダイヤルの番号とか知らないの?」

「あのですね。長宮さん。俺この部屋も知らなかった」

「あっ。そうか。でも何かいい伝えられている番号とか?」

「ないね。って、こんなところに何を隠しておくのか――」

「金塊?」

「それはない」


 ないない。そんなのあったらびっくりだよ。それにまあ山だからないのだろうが。地下室に金庫ってなんか水とか入ったらそれこそ浸水――とかになるから。そういうものって入れるのか?入れなくないか?っか。金庫って普通どこにあるものなの?などと俺が思いつつ。長宮さんと共に金庫を眺めていると――。


「石見先輩!開・け・る!」

「いやー。ゆえちゃんが何でもいうこと聞いてくれるなら開けてあげるけど?にひひー」

「もう!」

「ってか、後輩くんの声が聞こえないね?」

「はぁー。もう、いろは先輩自由にどうぞ」

「あー、ゆえちゃん監禁されたからって、後輩くんとイチャイチャする気だー」

「――はぁ……」


 階段上まだにぎやか――って、あっちはあっちで何をしているのか。 

 ってか、石見先輩。今俺の隣に居る長宮さんが『あれれ?私の存在忘れられてる?』などとっていたが――地下室には3人いますよ。である。

 すると、結崎の盛大なため息――からの。俺がちらりと金庫の方から階段を見ると同じタイミングで呆れた表情をした結崎が再度地下室へと降りてきた。

 そしてそのまま俺と長宮さんの方へとやって来て『いろは先輩はほっておこう。って金庫だっけ?』などと言いながら。俺たちが見ていた金庫を覗き込んだのだった。

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