第438話 松尾家の秘密 ~雫?~
ダダダッ……。
「ちょちょちょ。七和待ってください!」
「真っ暗ー」
真っ暗のトンネル内。
現在何が起こっているかというと――七和先輩ダッシュ。そして、俺も引っ張られるようにトンネル内を走っている――って、マジ暗い。ぼんやりしか前が見えない。あと七和先輩にめっちゃ引っ張られているため足がもつれそう――って、出口!出口見えたじゃん!意外と短い。
ということで、急に暗闇の中で始まったレースは……ゴール!
「――はぁ……はぁ……はぁ……」
「いやー、スリルあったね!」
そして、トンネルから無事に出ると。俺は急に走ったから息切れ。
七和先輩は――先ほど騒いでいたはずなのに。何故かケロっとしている――って、ふと七和先輩の方を見ると。七和先輩サングラスが無くなっていた。どうやらさすがに外した様子――。
「――あっ!勢いでどこかにサングラス投げちゃった!」
「……」
外してなかった。投げたらしい――って、俺なんか忘れてないか?
「まあサングラスは予備あるしいいか。暗くて超見にくかったから」
「なら初めから外すべきだったのでは――」
ほんとそれ。何故に七和先輩――サングラスを外さなかったか。普通にサングラスしていないときの七和先輩も美人なのだが。
「まあまあでもまさか六石君が意地悪をしてくるとは」
「意地悪?」
すると、先ほどの悲鳴?バタバタ騒動は嘘だったかのように、七和先輩が何故か楽しそうに俺の肩を軽く叩いてくる。
意地悪ってなんだ?などと俺が思っていると――。
「私の背中に手突っ込んだでしょ」
「――はい?」
「――えっ?」
「……」
「……」
七和先輩が不思議なこと。謎なことを言ってきて俺が固まり。俺の反応に七和先輩も固まったのだった。
「ちょちょ、六石君。怖がらそうとしても無駄無駄」
「えっ、いや――全く心当たりが――」
「いや、だって、トンネル内でいきなり私の背中。服の中に手入れてきたじゃん。ひんやりしてびっくりしたんだから」
七和先輩は何を言っているのだろうか?全くわからない。
ちなみに俺は七和先輩が騒ぐ前というのか。トンネル内で何か冷たい――そうだそうだ。七和先輩が騒ぐ前に俺は首のあたりに何か冷たい感触があったんだった。
「ってか、トンネル内でなんか首に当たったんですけど、冷たい――水?」
俺は七和先輩が何を言っているかはわからないかったが。とりあえず首筋を触ってみると――濡れていた。
「――なんだこれ――って、水?」
外に出たとはいえくらいため、手が濡れたことしかわからないが――どうやら天井部分から水?が雫となって落ちてきたのがたまたま当たったらしい。
「水――?って、それより。六石君。怖がらそうと服の中にいきなり手を入れるのは反則じゃないかな?そんなに触りたかったの?」
俺が首筋の違和感が何かを考えていると。七和先輩が再度俺に確認してきた。けれど俺は全くわからない事である。
「いや、だから俺はないも」
「まあまあ、怒らないからさあさあ」
「いや、マジで」
「――本当に?」
「ええ」
「じゃあ――さっきのは?」
ちらりと七和先輩が視線を俺から先ほど抜けてきたトンネルへと向ける。
ちなみにだが。誰かいるとかそんなことはなく。真っ暗なトンネルである。そして静かだ。風の音なども何も今はないため。俺たちが話すことをやめればシーンとしている。
「――七和先輩やっぱりここヤバいのでは――」
「だねー」
すると、笑顔で俺の方を見てくる七和先輩――って。
「だねー!じゃね!」
「おお、六石君の声が響くー」
確かに少しトンネルに俺の声が響いたがそんなことを言っている場合ではない。
「響くー。じゃなくて離れましょう。ここ絶対やばいですよ。七和先輩何か憑りつかれたとかあるかもしれないじゃないですか。早く離れましょう」
「六石君に乗り移れー乗り移れー」
すると、七和先輩が何やらなぞな動きを始めた。しっしっと動物にするような仕草というのか自分の身体から俺の方へ――って。
「やめてください!」
「ってことで、とりあえず六石君に屋外で身体触られたことにしておけばいいね」
「いろいろよくないですよ。って離れましょう」
「いいの?」
「いいですよ。こんなところ夜に居る場所じゃないですから」
余計なことを七和先輩が言っているが。今はそれは触れなくていいだろう。誰かに聞かれていることもこんなところではないだろうし。
ということで、俺は七和先輩の腕を引いて歩き出した。
どこにこの道。ボロボロでなんかがけ崩れ起きそうなところだが。とりあえず道があるので俺は七和先輩の手を引いて進んだ。
なぜ戻らないかって?
トンネルをもう一度進む馬鹿はいないよ。明らかに怖いし。
ちなみになんやかんやと七和先輩と大騒ぎ?をしていろいろあったあと道は一応続いていた。
どこにだったが。とりあえず進んだ。すると――少し進むと。離れているが明かりが見えるような……もしかしてこの先がキャンプ地?と、思いつつ歩いていると。
「おっ、無事抜けたみたいだね」
七和先輩がいつも通りの感じに戻り。というか騒いだ時以外は七和先輩普通だったか。
とにかく七和先輩がそんなことを言い。気が付けば俺の前を歩き。俺が七和先輩に付いていくことに。
すると、どこからか電車の走る音が聞こえてきた。どうやら――まだ山奥ではなかったらしいが――音が聞こえるだけではね。山で単に響いているだけってこともあるし。あまり安心できないまま。七和先輩に付いていく俺だった。
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