第436話 松尾家の秘密 ~秘密の空間~
「あっ。ちょっと!ちょ!みんな!なんか見つけた!」
唐突にじいちゃんばあちゃん不在の松尾家の居間に響く石見先輩の声。って、あの先輩何をしてるのか。って、どこから声が聞こえた?
「石見先輩?どこにいます?」
多分台所?の方向と思いつつも。俺は姿の見えない石見先輩の声が聞こえた方に声をかけながら進む。
ちなみに俺の後ろでは『何々?』『いろは先輩。いつの間に――』などという声と共に、長宮さん結崎が付いてきている。
「後輩くんが裸エプロンとか言ってた部屋から前進からの曲がったところ」
「――余計な情報言わらないです。って――そこは普通に台所と言ってくれたらいいんですけど!」
まさかのまだ裸エプロンネタを引っ張る石見先輩。実は――着たいのか?って、余計なことは頭からさようならだ。
ということで、石見先輩は台所に居るみたいなので、俺は台所へと――俺たちはだな。俺たちは台所へと向かう――が。
台所へとやって来ても石見先輩の姿はなかった。
「あれ?石見先輩?」
「誰も居ないじゃん」
「でも声聞こえていたよね?」
台所は綺麗に片付けられている。
特に石見先輩が漁ったような痕跡はない。って、そもそも先ほど声のした石見先輩の姿がない。確か声は台所の方から聞こえていたはず――そして台所に石見先輩居ると言ってたのだが――などと俺が思いつつあたりを見ていると。
ガッコン。
「「「へっ!?」」」
急に物音が横からした。って――横は壁のはずなのだが――と、思いつつ音の方を見ると。
「やっほ!」
「はい!?」
「えっ、ちょ、いろは先輩何してるんですか!壁壊して」
急に壁が動いた――って、そんなこと起こるわけないだろ。と、言われるかもしれないが。いやいや、マジで動いた。まるで忍者の屋敷にあるような回転扉?隠し扉?なのかはわからないが人1人分が通れるくらいの大きさの隙間が――って、壁が回った!はい!?である。
ちなみに俺の後ろに居た結崎がかなり驚いた声を上げており。まあ壁――壊したからな。いや、そりゃバラバラとかそういうことではないんだが。今まで壁と思っていたところが。回ったというか。いきなり動いたらね。そりゃ驚くか。
あと長宮さんに関しては――『マジかー』とつぶやきながら石見先輩の方を見ていた。
「ちょ、ゆえちゃん壊してないよ。ちょっと何かないかなーって、触ってたら急に動いたんだよ。って、後輩くんこれすごいね。食糧庫?」
すると、石見先輩が興奮気味に俺たちの前へとやってきた。ちなみに石見先輩が手を離すと壁は元通りに勝手に閉じていった――いやいやどうなっているんだよ。って、完全に元通り。今は普通に壁になった。
「――俺の知らないことがどんどん出てくるんだが」
「松尾君知らなかったの?」
「全く」
結崎の問いに答える俺。これ本当。マジでこんな仕掛けあるとか知らなかったし。今現在めっちゃ驚いている。
「松尾君の家ほんと面白いねー」
「面白いで良いのか――って、マジで何がどうなってるんだ?」
長宮さんが俺の身体を叩きつつそんなことを言ってきた後。俺は石見先輩が出てきた壁の方へと近づいて――先ほど空間。人が通れる通路みたいなのが出来ていた壁を押してみると――。
ガコッ。
「――マジかよ」
思ったより簡単に壁は動いた。そして――覗き込んでみると。
「ちょ、後輩くん入ってよ」
「ちょ押すな」
「大丈夫大丈夫」
もしかすると入ると閉じ込められるのでは?と、余計なことを考えていた俺の背中を押してきたのは石見先輩。
まあ先ほど石見先輩は普通に中から出てきたからね。閉じ込められることはないと思ったが――って、石見先輩に押されたため俺は壁の中へ――って、これはどこにつながっている?と、思いつつ室内へと足を踏み入れると。
「おう。マジか」
「うわっ。何ここ?」
「これ――倉庫?」
多分倉庫といった結崎が正解だろう。
石見先輩が見つけた空間。秘密の空間?とでもいうのか。俺が今まで住んでいて知らなかった場所は8畳。10畳くらいはありそうな部屋?で、何があったかというと――食料だな。
常温保存できるものがたくさん。飲み物や調味料。あと乾物類――と、とにかく今目に見えるだけでかなりのものがあった。ちなみに室内には棚がいくつかあって、その上にいろいろ置かれている。
「あっ。これ漬物?ぬか床?」
「あっ、こっちにはクッキーとかお菓子もあるよ」
俺の後に入ってきた3人も各自でいろいろ見ている。ちなみに石見先輩はすでに見終えているのだろう。棚ではなく。壁を触っていた。って、他に部屋があるとでも思ってるのだろうか――って、マジでここなんだよ。知らなかったぞ?これが今まで松尾家でどこから出てきているかわからなかった食材の秘密になるのか?あれ?でもここにあるのは乾物類や調味料ばかりだから――生ものとかはないか。
と。俺が思った時だった。
ガコン。
「なんか開いた!?!?」
再度室内に石見先輩の声が響いたのだった。そして――石見先輩の前の壁――ではなく。壁と同じ柄のドアというのか。とりあえずまた壁が開いていて――今度はまさかの物が見えていた。
「――階段発見!」
本当に階段だ。それも――地下へと続く階段だった。
いやいやいやいやいや、松尾家どうなっているんだよ。俺の知らない事がいきなりいろいろ出すぎだろ。
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