第435話 松尾家の秘密 ~どっちにする?~

 現在俺と七和先輩の前にはボロボロのトンネルというのか。いや、トンネルとしての役割はちゃんと残っているのだが。周辺の状況。道路状況からして、かなり前から使われておらず。トンネルの入り口上部からはツル?草?が垂れ下がっている状況だ。

 ちなみに出口は――少しトンネルが曲がっているみたいで、見えない。あと、そもそも真っ暗で先が見えない。どうやらこのあたり電気が来ていないらしい――って、明らかに嫌な雰囲気しかない。

 また、足元は一応舗装されている道路に出たのだが。ひび割れや。斜面の近くの道路には土砂崩れでもあったのか。少し大きめの石。岩が転がっている。って、そもそも使われてる気配がない。って、車が走るのは難しそうだ。


「うーん。ここは初めて。これはスクープ?」


 なお、今この何とも言えない状況の中。七和先輩ははじめこそ驚いた感じだったが。今は興味津々。といった感じでトンネルを見ている。


「いや、七和先輩。先輩が知らない場所なら――道を間違えたのでは?って、これマジで夜来るところでは――」

「あれ?六石君怖いの?」

「こ、怖くは――ないですけど」


 いや、怖いよ。でも何故か七和先輩が試すような雰囲気だったため少し強がってしまった俺だった。いや、マジでこれは怖い。


「なら大丈夫でしょ。私めっちゃ怖いから。六石先陣切って」

「おかしいだろ!?おかしいだろ――かしいだろ――いだろ――」


 するとトンネルの前で話していたからか。俺の声が響いた――って、何をこんなところで俺たちはしているのだろうか。


「――響いたね」


 七和先輩は楽しそうだが――いやいやこれはマジでやばい場所なのでは?と思う俺だった。


「ってか、七和先輩。迷ったらならとにかく来た方向。この道戻りましょうよ」


 俺は振り返りながらトンネルとは反対の道路を指さす。

 こちらも電柱があるにはあるが。街灯がついていないため薄暗い。というかもう暗い。でもこの先は道が曲がっていてはっきりとは見えないが。道は続いている感じに思えた。

 また道路はこちらも舗装されてはいるが――かなりボロボロで車は走れないだろうという状況だが。歩くなら山道よりは――という感じだったので、トンネルに向かうよりは良いだろうと思い俺はそんな提案を七和先輩にしてみたが――。 

 

「えー、ここまで来たらこの先に何があるか確認でしょ。ってか、目的地着いてないしね」

「いやいや、七和先輩迷子になってますよね?ここ知らない言いましたよね?下手したら俺たち遭難してますからね?」


 そう、俺たち現在地どこかわかっていない。スマホがあるから――と

思っていたが。ふと見てみると、圏外というトンネルの近く。山の中だからかもしれないが。まさかの圏外だった。


「大丈夫だよ。まあ多分ここ旧道だろうから」

「いや、多分で進むのは危ないですよ」

「でも六石君私たちどっちから来たかわかるの?」

「えっ?さっき――そこの山道から出てきたので――トンネルと反対に進むと公民館前の駅というかあのあたりの住宅地に出るのでは?」

「でも山の中歩いたからね。もしかしたら気が付かないうちに違う方向に進んでいたかもね」

「――」


 確かに。結構歩き回ったではないが。道なき道はまっすぐな道ではなかった気がする。なので――今となってはどちらから俺たちが来たのかはっきりしない状況だった。さらに暗くなり――目印となるようなものも何も見えない。というか。周りが全部木。そして道路。今立っているところが谷みたいになっているのか。周りの状況がほとんどわからない。

 いやいやこれ完全に遭難――などと俺が焦っていると。


「まあでも何とかなるよ」

「なんで七和先輩はそんなに余裕なんですか」

「嫌だなー。余裕だなんて。足がくがくだよ」


 七和先輩がそんなことを言うので、ちらりと七和先輩の足を見てみるが――わからん。


「――どうするんですか」

「まあ私の直感的には――多分前はさっきの山道を突き抜けたからここのトンネルは気が付かなかったと思うから。まあこのトンネル抜けてみようよ」

「いや――」


 七和先輩に言われて。トンネルを見るが――真っ暗である。もしかしたら行き止まりとかあるのでは?そうだよ。トンネルの前のこの今立っている道路も崩れたような跡があるので、もしかすると――その可能性もなくはない。


「お試しってことで」

「いやお試しなら――逆方向を――」


 俺はそう言いながら再度トンネルと違う方を指さす。まあこちらもどうなっているかわからないが。


「もう。仕方ないな。じゃ、ちょっとそっちも見てこようか。で、ダメならトンネルね」

「――大丈夫なのだろうか――」


 その後俺と七和先輩はトンネルとは逆に進んで――すぐにトンネルへと戻ってきたのだった。

 なぜかって?


「いやー、六石君。やっぱりこっちなんだよ」

「――まさかの道路が崩れているとは」


 トンネルから少し数十メートル歩いたら――綺麗に道路がふさがっていましたしたとさ。

 山を登れば――だったが。そこそこ急だったため。それはあきらめて――トンネルへと戻ったのだった。

 どうやら――トンネルへと入るしかないらしい。

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