第433話 松尾家の秘密 ~キャンプ?~
ここはとある山の中。
暗くなり出した時間帯に荷物を持った2人が道なき道を進んでいた。
先にばらしておくと、道なき道を歩いているのは新聞部2人である。
◆
「七和先輩。真っ暗なんですけど。どこ行くんですかー」
「大丈夫大丈夫」
「――大丈夫なのか……これ」
七和先輩に言われるがまま付いてきた俺。
現在は――どこだろう?というところを歩いている。
ちなみに七和先輩からは『そうだ。キャンプ行こう!』と松尾たちと別れて数分後に言われて。いや、ほんと急遽言われた。
そしてそのまま俺は一度家に帰って、準備からの即再出発と、バタバタしつつ七和先輩とまた大学前駅近くで再合流したのだった。
そしてなんやかんやと七和先輩についてきたら、今山の中である。
『いいところあるんだよ。多分貸し切りだから』
電車で移動中七和先輩はそんなことを言っていたが。かなり心配にはなっていた。
なぜならはじめこそ。まともな舗装された道を電車を降りた後歩いていたのだが。気が付いたら舗装されていない道。さらにさらに、なんか崩れた道。そして昔は道路だったのだろうか?というような荒れ果てたところも通り――今は森の中である。
荷物を持っての移動はなかなか大変だ。
でも最近は七和先輩と動くことが多くなって、荷物持ちをしているからか。少しこういうのにも慣れてきた。
あと――頑張れば七和先輩から豪褒美あるし――。
「大丈夫大丈夫。私を信じなさい。ここは知っているところだから。この道なき道を進んでいくの冒険みたいで楽しいでしょ。そのうち心霊スポットみたいなトンネルもあると思うけど」
「いや――この山誰かの山とかだと勝手に入っていいのかと――」
「いいからいいから。ほらほらサバイバルキャンプ行くよ」
「――はい。って、ちょっと待ってください。今心霊スポットとか言いました?」
いやいやそんなところ行くとは聞いていないのだが?ちょっと足元を気にしていたから。七和先輩の話を半分聞いているだけ――みたいなことになっていたのだが。いや、ちゃんと聞いていてよかった。なんかあまり近寄るべきではないことを言ったからだ。
「まあまあ」
「いや、そういうところは――ちゃんとお払いというか。そういうアイテム必要では
?って、七和先輩そういう関係の記事は書いてなかったので、あまり興味ないのかと思ってましたが――興味あったんですね」
「まあねー。今は囮も居るから」
「――囮?」
「ま、もしもの時は助けてねー。六石君」
「そりゃ――って、ここ何か出るんですか?じゃなくて、囮は俺!?いやいや」
急に命の危険が――。
七和先輩の知っている心霊スポット。なんか本物というんか。マジでやばそうというか。そんなところ普通にキャンプ。ちょっとしたお出かけ気分の物しか持ってないときに行くところではないと思うのだが――って、キャンプと言いつつも。この山道はどうなのか――だが。
思っていたより足場は悪いし。暗くなってきて、今はスマホの明かりを頼りに歩いているが。これスマホの充電切れたらどうなるの?である。
七和先輩は何故か後のことを考えていない。目的地に着いたら。そこは何でもあるみたいなことを言っていたが。今の雰囲気からして、この先にキャンプ場があるとは思えないのだが――こういう時ってもしものことを考えておいてもいいのではないだろうか?
などと俺が思いつつ歩いていると。
「大丈夫だよ。そこまで強力とかの噂はないはずだし」
「はずって言うのが怖いんですけど!?」
「後。六石君。もっと身近に危険があるかもしれないよ?」
「――身近?」
「そう。例えば――熊?とか」
「いやいやいやいやいや、熊とは戦えないですよ!?!?ってか、熊出るんですか!?」
心霊スポットもいやだが。熊も遭遇はしたくない。って先ほどからマジか!?という情報ばかり出てくる。
山道へと入るまではそんな話一切なかったのに――。
「六石君なら大丈夫だよ」
「俺喧嘩とか弱いですからね!?じゃなくて熊!?心霊スポット?!どっちもやばくないですか?戻った方が――」
「もうすぐ目的地のはずだからね。ここから戻る方が危険かもよ?って、六石君。私が食べられてもいいの?助けてくれないのかな?」
なぜか俺の前を行く七和先輩の表情は見えないのだが――楽しんでいるような声が聞こえてくる。
俺――遊ばれている?実は熊も心霊スポットもない?
「それはって。さすがに熊とかいるところは危険って、鈴とか準備するべきだったんじゃないですか。ってか。突然なんでキャンプなんて思いついたんですか?昨日もした気がしますが――」
そうそう、昨日も松尾のところの畑でちょっとそんなことをした俺たち。あれはあれで――まあ楽しかったが。って、今の状況はちょっと違う。昨日はすぐ近くに松尾の家があったが――今はどう見ても森の中。山の中である。これ――かなり危険な状況か?
「そりゃ――文化祭も終わったからね。何か面白いことしないと。私たちの出番が無くなりそうで」
「いや、それ理由になってないです。ってそういえば、文化祭終わったばかりでしたね。いろいろあってすっかり忘れてました。って出番って何ですか!?」
「まあまあってか。六石君足元気を付けてね。横崖になっているみたいだし」
「マジですか!?」
俺が慌てて両サイドにスマホのライトを当てると――確かに左側――崖だった。いやいやマジかよ。暗いからわかりにくかったが。そこそこ急な斜面。崖だった。って、俺どこ行くんだよ!あと、七和先輩が唐突に謎な言葉を言っていたが。それはあまり触れることができなかった。
いや、だってこれマジで足を踏み外したらだからな。
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