第419話 松尾家の秘密 ~いろいろ決定後~

 結崎と長宮さんは――エレベーターホールでも行ったかな?

 少し前までにぎやかだった。じいちゃんの入院することになった病室内は今は静かだ。ばあちゃんが書類を書いている音がするのと。廊下から聞こえてくる機械の音などくらいだな。

 現在は松尾家が病室に3人である。

 

 改めていろいろ確認しておいた方がいいだろうか?もうしなくていいだろうか?現状どうなるの――。


「守や」

「はい?」


 静かになり一息。と俺が思った瞬間にばあちゃんから声をかけられた。


「そういうことだから。じいさんが退院するまで家お願いね」

「――」


 そういうことだから。ということでまとめられたあたり。ばあちゃんはすでに俺がいろいろ知っていると思っているみたいだが――残念。俺ほとんど何も知らない。知っていると言えば、ばあちゃんがホテル暮らしをしばらくしようとしていることくらいだ。

 けれど、わざわざばあちゃんにどういうこと?と確認するようんことではない。話を聞いていないにしても、なんとなく俺は知っている。わかっているのでね。 

 それに――この後のことを言うと。俺が『さて、ばあちゃんに確認をするべきか――』などと思っていると。じいちゃんの病室に看護師さんがご登場。

 再度説明――そしてばあちゃんが書類を書き終えていたため。その確認――からの今後のじいちゃんの予定。ってか、この後早速じいちゃんは再度検査をするらしく。もう少ししたら、他の看護師さんも来て、検査室に行くとか――。


 ってか、こんないきなりいろいろ決まるというか、入院になっちゃうんだなー。とか俺が思いながら。ばあちゃんの後ろで話を聞いていると。あっという間に時間が過ぎて行ったのだった。


 そして、気が付けば。俺とばあちゃんはじいちゃんに『無理しないように』『看護師さんたちに迷惑かけないように』『何かあったら連絡するように――』などなどと言い。じいちゃんとしばしの別れ――いや普通に会いに来れるけどさ。ちょっと家からは遠いが。

 あっ、でもたまたま今日が休みだっただけで、平日だと学校があって――で、なかなか来るのは難しいのか。ということは――明日。って、じいちゃんも遠いから毎日来ることはない。みたいなことを別れ際に行っていたので、明日はどうしようか――などと思いつつばあちゃんと病院のロビーまでやってきたところだ。

 ――あれ?俺――なんか忘れてないか?気のせい?

 

「じゃあ守。適当に家にはものがあるからね」


 すると、ばあちゃんがふと話しかけてきた。


「適当にものがある?」

「食べ物はそうは困らないはずだからね。それに結崎さんと長宮さんも居るからね」

「――」


(あっ、2人のこと忘れていた)


 ばあちゃんの話で、途中からどこかへ行った2人のことをすっかり忘れていた俺だったが。ここで思い出した。ちなみに――姿はない。どこに行ったのか。帰ったとは思わないが――。

 って、それはちょっとおいておき。本当に俺はしばらく1人暮らしらしい。まあ食事をどうするか――くらいであとは基本じいちゃんばあちゃんのところは戸締りしておけばいいだろう。とか考えていただけだが。

 ――うん?ちょっと待て、今ばあちゃんなんて言った?


「――えっとばあちゃん。結崎と長宮さんが居るとは?」


 そうそう、そこ。これ。何故に2人が居ることになっているのか。


「優しい子たちだね。守が1人だからって。休みは家に来てくれるみたいだし。学校の時も何かと気にしてくれるって言っていたよ」

「……」


 わかったわかった。俺の知らないところでいろいろ話が決まっていた様子だ。

 ということは。じいちゃんの病室に居た時に長宮さんが、結崎が何やらニヤニヤしていただっけ?妄想していただっけ?あれも正しいことだった可能性が高くなり。長宮さんがご機嫌。テンション高めだったのも。なんかこの事かな――と、いろいろ察した俺だった。

 これは後で2人を取り調べだ。


「――まあもう高校生だし。数日くらい1人で問題――」

「そうそう、2人に食べ物の場所とか教えてあるから聞いておいておくんだよ。あと、長宮さんにまたお礼しないとね。ホテルはこの病院から歩いて行けるところ見つけてくれたのよ」

「――すごく近くで」

「だから守や。何かあったら連絡するから。それまで家頼んだよ」

「――了解」


 ここでばあちゃんにいろいろ聞いたところで――と、判断した俺はそこで話を終了。そしてばあちゃんが今。ホテルは近いと言っていたので、もしもの時場所を知っておいた方がいいと判断した俺は、荷物持ちをするとばあちゃんに言い。ホテルの前までそのまま病院を後にした後は付いていったのだった。


 ちなみにホテルは、本当にばあちゃんの足でも少し歩いたら建物が見えてくるというなかなかの場所に――って、まあこの病院の近く。よくよく見るとスーパーとかいろいろあったので、都会。というか、山で生活をしているからか。大学前駅よりは建物とかが少なく。普通の人ならこの病院の周りは都会という感じではないだろうが。それでも病院の近くも都会。何でもあるじゃん。便利そう。と思ってしまう俺だった。

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