第415話 松尾家の秘密 ~話し合い~

「この病院の近くのホテルに松尾君とこのおばちゃんは泊まったらどうかな?このあたりならホテルあるでしょ?」


 じいちゃんまさかの骨折により入院手術となった現在。

 さて、じいちゃんのお世話――というのか。とりあえず今後どうしましょうか?となったところで、長宮さんがそんな発言した。


「――なるほど。わざわざ家から持ってくるような物はないみたいだしね。下着くらいならまとめて最初に持ってきておけばいいわね」

「そうそう。で、ちょくちょく病室に様子を見に来る――って感じですよ」

「たまには町の生活もいいわね」

「――」


 そして――以外にもばあちゃんが食いついた。

 今は長宮さんと共に頷いている。というか2人で話が進んでいないか?


 ちなみに、今この場にじいちゃんはいない。

 すでにじいちゃんは――看護師さん?たちによって運ばれているはず。

 なんか俺たちがこの説明を受ける部屋に向かうときに悲鳴に近いものが少し聞こえて気がするが――ここは整形外科。いろいろ怪我した人がいるだろうから。悲鳴は聞こえても――不思議ではないだろう。多分。

 

 そしてもう少し今の状況を話しておくと。

 先ほど看護師さん?説明担当の方?が慣れた感じに今後の予定を話してくれた。

 じいちゃんは今日から入院そして――予定通りなら来週手術。そしてリハビリのち――帰宅となるらしい。様子を見てらしいが。予定では1か月弱とのこと。

 そこそこの期間じいちゃん不在となる。

 そしてじいちゃんが入院中ばあちゃんは様子見のためにこの病院にちょくちょくと来ることになる。

 そうそう、今の病院は入院セット?みたいなものが借りれるらしく。家から持ってくるものはほとんどなく。必要なものも病院内のコンビニですべて揃うとか。なかなか便利だ。

 そして、そんな中。ばあちゃんがあの山奥からここまではなかなか大変みたいなことを言ったら――長宮さんが先ほどの提案をしたのである。

 

「今のホテルってどんなのかしらね?もう何十年と使ったことないから」

「結構変わってますよ」


 未だに長宮さんと何やらばあちゃんは話している――って、なんだろう。今のばあちゃんの姿。じいちゃんが骨折して大変。心配というよりも――長宮さんの提案したホテル暮らしが楽しそう。楽しみといった感じに見えるって、なんでここでばあちゃんと長宮さんが意気投合?みたいなことになっているのか。

 そうそう、説明をしてくれた看護師さんはすでに退出済みなので――いつまでこの部屋で話していていいのかはわからないが。でもすぐ出て行けという雰囲気ではないので――俺は変に声をかけなくていいかな?って、ばあちゃん。看護師さんに書類書いてと言われた忘れてない?忘れてるよね?

 じいちゃんは今病室へと移動しているみたいなので、そこで書いてもらっても――とか言っていたが。この部屋は机などもあるので今書けるところ買いてもいいのでは?


「でも。予約なんてしたことないからね。どうやってするのか――」

「そこは任せてください!あっ。あと連泊だと安くなるかもなので――ちょっと待っててください。調べます」

「ありがとうね。またじいさんが退院したらお礼するからね」

「いえいえ」

「――」


 ……ダメだ。完全にばあちゃんはホテル暮らしをしようとしている。

 そして

 それを提案した長宮さんはなぜかルンルン?でスマホを操作している。あれ?病院内って今スマホいいんだっけ?どうなんだろう?ちょっとわからないが――ってか、なんかどんどん勝手に話が進んでませんかね。


「――ねえねえ松尾君?」


 すると、長宮さんと共に俺とばあちゃんに付いてきて、部屋の隅で話を聞いてそのまま立っていた結崎が俺に小声で話しかけていた。


「うん?何結崎?」

「いや、奈都と松尾君のおばあちゃんがなんか――どんどん話進めているけど。いいの?」

「さあ――って、家はどうするのか。とかそもそも今その話をする前にすることあるのでは?とかとかいろいろ思ってはいるんだけど――」


 結崎と話しながら再度ばあちゃんと長宮さんの方を見ると――。


「おばあちゃん何か希望ありますか?」

「なんでもいいよ。いろいろあってもわからないからね」

「じゃ、シンプルなところで――安くて。病院に近いところ――」

「悪いね」

「いえいえ、こういうの好きですから」


 まだ盛り上がっているというか。もうすでにほとんど決まってないか?


「なぜか全く心配されていないじいちゃんだった」

「いいのかな……」


 俺がつぶやくと結崎が呆れ気味につぶやいた。


 そのあとのことを言うと、長宮さんとばあちゃんはどんどん2人で話を進めていき――って、そこで看護師さんにこの場所を空けてほしいと声をかけられたため、俺たちは退出。そして――。


「守や。じいさんのことちょっと頼むね。家に帰って必要なもの持ってくるから」

「……あ、うん」

「じゃ松尾君。また後で。おばあちゃんのことは任せて」

「――長宮さんもなんか――どうも」

「いいのいいの」


 ばあちゃんと長宮さんは一度家に帰り荷物を取りに行くらしい。じいちゃんの荷物だよな?ばあちゃんのホテル生活の準備じゃないよな?そんなにばあちゃんは急いでホテル暮らし始めなくていいぞ?


「――松尾君。私――奈都とおばあちゃんについて行こうか?なんか――心配だし」

「それはすごく助かる」

「じゃ、また後で」

「ありがとう結崎」

「うん」


 そして結崎が様子見――というか。ばあちゃんと長宮さんの方を見てくれると言い出してくれてため。俺は結崎にお願いして。俺は1人で病棟。じいちゃんのところへと向かったのだった。


 いやいや、これ――何?なんか様子がおかしいような気がするのだが――。

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