第413話 松尾家の秘密 ~結果~

 じいちゃん、ばあちゃんが先に向かった病院に着くと。そこにはなぜか結崎が先着していました。

 という現状。

 いやマジでなんで俺たちの後ろに居るはずの結崎が先に居るか――って、答えはシンプルだった。


「なんでって。普通に大学前からタクシーで来たから」

「「……」」


 結崎に回答に、俺と長宮さんは顔を見合わせた。多分同じことを考えている。そして――。


「「タクシー並んでいたよね?」」


 ハモりながら結崎に確認をすると――。


「ちょっと並んでいたけど、すぐに順番来たよ?」

「「――」」


 らしい。どうやら俺と長宮さんタイミングが悪かったらしい。あの後タクシーが何台かやってきたのだろう。


「マジか」

「えっ?じゃあ松尾君たちが居るときは――タクシーいなかったの?」

「です。それでバスの方が早そうでバスで今来たところ」

「うんうん。これはほんと。まあバスも渋滞とかで遅かったし。って、ゆえいつ着いたの?」

「5分くらい前?」


 どうやらそこまで差は――って、あるか。電車が1時間に1本レベルのところで、結崎は後の電車になったはずなのに。ほとんど同じ時間に居るんだからな。俺と長宮さんかなり時間がかかったらしい。


「でもまあ、松尾君とゆえの秘密たくさん話せたからいいか」


 すると、悪ガキの顔をした長宮さんがそんなことを――そしてもちろん結崎が反応する。


「ちょ、松尾君。奈都に何話したの」

「だから長宮さん勝手なことを――」

「えっ?話したじゃん。にひひ」

「はぁ――って、じいちゃんのところ行こう」

「松尾君。ほんとに後で会議。取り調べ」


 この2人と話していると。なので俺が歩き出すと後ろでにぎやかな2人――って、もうすぐ院内ですからお静かに――とか俺が思っていると。すぐに結崎が隣に再度来て小声で話しかけてきた。


「松尾君のおじいちゃん整形外科のところって」

「もしかして結崎もうばあちゃんと会ってる?」

「ちょうど私が来たときにここに居たから」


 俺が聞くと結崎が1階にロビー?を指さしつつ言った。

 ちなみに院内はそこそこ人が居るので――結崎よくすぐに見つけれたな。でもある。


「たまたまね。入口近くに座っていたから」

「なるほど」

「で、2階?だったかな。そこに行くときに。おばあちゃんから松尾君がまだって聞いて、外に様子を見に行ったら――」

「俺たちが来たと」

「そういうこと」

「なるほど、って――2階ってことはとりあえず階段で行けばいいか」

「エレベーターホールはこの先にあるみたい」

「ならとりあえずそっちにか」


 結崎の話を聞いた俺は階段を探して――そこからじいちゃんばあちゃん探して整形外科の階へと向かったのだった。


「ちなみにゆえ。松尾君のおじいちゃんどんな感じだったの?」

「あっ。確かに。結崎会ったんだよね?」


 院内を移動中。結崎と長宮さんは、特に言い合うとか。ふざけるとかなく静かに話しつつ付いてきていた。


「えっ、あっ、うん。変わらず――ってか、痛がっていた?かな。あっ、ちなみに車いす移動中」

「まあ歩けは――しないか」

「おばあちゃん曰く。タクシーの人がすぐに車いす持ってきてくれたから、移動は楽々だったって」

「それは良かった」

「ってか。そういえばなんで松尾君と奈都。おじいちゃんたちと一緒じゃなかったの?」

「それは車いすを駅に返しに――とかがあったので」

「あっ。そういうこと」

「タクシー乗り場と離れていたからね」


 結崎たちと話しつつ院内を歩くと、整形外科と書かれたところに到着した。

 整形外科の待合は、結構多くの人が待っていた。そしてその中に――じいちゃんばあちゃんも発見。どうやら順番待ち中らしい。

 とりあえず俺は声をかけに行く。ちなみに結崎と長宮さんは人が多かったので、邪魔になってもということで、『離れたところで待っている』と声をかけていた。


「じいちゃんばあちゃん。ごめんタクシー捕まらなくて、バスで来たら時間かかって」

「あっ、守。結崎さん会ったかい?」

「そこに居る」


 俺は後ろを軽く見つつ言う。 


「探しに行ってもらったからね。って、バスは時間かかるからね」

「そうなんだ。知らなくて」

「すごく遠回りする路線があるからね」

「――」


 おっと、路線によってルートが違うのか。って、もしかして俺と長宮さん一番時間がかかりそうな路線乗った?ってそれは――今は良いか。


「に、にしてもここすごい人」

「病院なんてこんなもんだよ。じいさんが余計な怪我するから」

「ははは」

 

 すると車いすで――固まっているというか、たぶん少しでも楽な姿勢?をとっているのだろう。じいちゃんも反応した。今の様子からすると――もしかすると、安静に――とかで終わりそう。とか思う俺だったが――。


 この数十分後。


「守や。じいさん手術だって」

「……わっと?」


 診察室で俺は驚くこととなったのだった。えっ?手術?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る