第411話 松尾家の秘密 ~到着?~

 長宮さんとの貸し切り状態でバス移動中の現在。

 今は渋滞も工事もなくバスは順調に走っている。そして俺が貸し切りとか言ったからか。ちょうど乗っていたバスがバス停に止まり。他のお客さんが乗ってきたところである。


「ってか。松尾君とゆえって似た者同士?」

「……はい?」


 すると、まだ長宮さんの謎な話――というのか。とりあえず長宮さんとの会話はまだ続いていたらしく。ふいに長宮さんが隣でそんなことをつぶやいたのだった。

 ってか、ちょっと待て。あの自主規制ポンコツ娘さんと俺が似た者同士?いやいや、ってかバスの中で自主規制の話はダメだな。過去を思い出すとうことは――自主自制。自主規制となる可能性がある。よし。これは忘れよう。でも――これは言っておきたいというか。なんだろう。結崎のポンコツと同じくくりにされるのは――複雑である。

 そういえば最近の結崎。俺がポンコツとかポンコツ娘?と想像すると、即反応するようになっていたが――まさか今のでは反応しないよな。ってか、結崎――来るのかな?向かっているところ?さすがにこのバスを抜くということはできないと思うので、まだ俺たちの後ろ。もしかするといろいろ準備?というのか片付け?でまだ自分の家。そもそも電車の本数が少ないからな。もしかすると、公民館前駅の近くから別のルートがあるかもだが。距離があると思うからな。まだ来ることはない。あっ。連絡した方がいいのだろうか?


「だって、今思うと境遇?っていうの?まあとにかく、松尾君は1人暮らしじゃないけどさ。でもどちらも両親が海外。そして――まあ一人暮らしじゃないと言っても、松尾君も1人暮らしに近いでしょ」


 俺がいろいろと考えている横で長宮さんが話を続けるって。勝手に進めないで。


「いや部屋があるだけ――あと、同じくくりにされるのは――」

「いやでも、松尾君もなんか――ね。同じ雰囲気。オーラあるような……」


 すると、俺の身体?とにかくこちらをくまなく見てくる長宮さん。って、変なオーラとか俺でしてないから。えっ?何か見えるの?


「何をしているのでしょうか?」

「なんか、証拠みたいなのあるかなーって」

「見ても何もないですから」

「まあ。とりあえず話を戻すと、松尾君とゆえはなんか似ていて、そうそう、松尾君もゆえを連れ込めると」

「あのですね。変なこと言わない。あと、急におかしな方向に話を持っていかない」

「あれ?まだ連れ込んでない?」

「長宮さん。お静かに」


 一応言っておくがここはバスの車内である。小声で話しているが――だ。変なことは話さないでいただきたい。


「小声で話してるけど?」

「……」


 すると、長宮さんも俺と同じことを考えていた様子。って――小声でもバスの車内で話す内容は考えてくださいだよ。ってか『バス。早く病院着かないかなー』だよ。とか俺が思っていると、俺たちが乗っているバスは信号で止まった。なんか。不運というのか。あまりスピーディーに進んでないというか。まあ電車と違ってバスだと道路状況で時間かかるから仕方ないか。


「松尾君がついに無視に入った?」

「――返事に困っていたですね」

「なるほどなるほど――連れ込んだか」

「長宮さん」

「ごめんごめん。邪魔しないから――多分」

「うん?」

「何?」

「いや――何か言ったような――?」

「言ってない言ってない。ってか、話戻すけど。松尾君はゆえのこと知らなかったの?」

「話戻さなくても――」

「まだ病院着いてないし」


 どうしても長宮さんはこの話をしたい様子だ。でもバスは――まだ病院に着かない。


「いや、でも長宮さん。個人情報」

「そこは松尾君が口を固く閉じる」

「だから」

「でも、あれ?もしかして私の方がもう2人のことをいろいろ知っている。知っちゃった説?」

「いや、知らぬというか。でも――確かに結崎とそういうことあまり話したことはないか――」


 理由というか。言い訳を心の中で言うと、いつも誰かが居る。結崎と2人って意外と少ないからだと思うが――まあ2人の時がなくはないので、話す時間がなかった――というのは噓になるが。でも実際かなりの確率で誰かいたと思うし。


「松尾君。会話は大切だよ?ちゃんとゆえと話さないと。そして私たちに秘密漏らしてよ」

「後半。最後の部分不要だったな」

「えー」

「えー、じゃなくてですね」

「でも松尾君とゆえはなんか似ているというか。いじりやすいというか」

「だから長宮さん。後半部分不要」

「まあまあ」

「まあまあってね」

「とりあえずそのうち。あっ私の誕生日会開催してくれるならそこで2人で話す時間作ってあげようか?」

「おかしな提案をしてこない」

「なんで?」

「なんで?って、なんで長宮さんの誕生日会――ってするの?」

「してくれないの?」

「はい?」

「うん」

「いや、うん。じゃなくて」


 唐突に何かぶっこんで来る長宮さんだった。


『次は――病院――病院です』


 すると、そのタイミングで病院のアナウンス。ということで、俺は慌ててボタンを押したのだった。


 ピンポン。

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