第400話 ふざけました?からの――

「で、松尾君。奈都押し倒して何してたの?」


 長宮さんのおふざけに巻き込まれて数分後。俺は結崎に取り調べを受けていた。まあ正座とかにはなっていないが――でも壁際まで押されている。


「だから違います」

「そうなんだよ。ゆえが松尾君呼んでるーって、こと伝えに来たら松尾君が大胆でー」


 俺と結崎が話していると。なぜか楽しそうに長宮さんも会話に入ってくるが――。


「「長宮さん(奈都)黙る」」

「――ほんと息ぴったり」


 ややこしくなるので黙ってもらおうと声をかけると――結崎とハモった。って、朝から何してるんだよ。


「とにかく。長宮さんがふざけただけです」

「――ほんと?」

「ほんと」

「――まあそうだとは思うけど。って、奈都。松尾君に近寄りすぎ」


 よし。何とか結崎からは解放――とか思ったが。そこで長宮さんが挙手をした。


「はいはい。異議申し立て!先に腕掴んだのは松尾君です」

「――そうなの?」

「違うでしょ――あっ俺か」


 そして、『何をまた言い出す長宮さん』と、思った俺だったが。よくよく思い出すとベッドに寝転んでいた長宮さんを立たせようと腕を掴んだのは俺が先だった。


「松尾君?」

「ちょちょ、結崎話を聞いて。長宮さんがベッドに寝転んで動かなくなったからで」

「寝転んだ?」

「――てへっ?」


 結崎が長宮さんの方を見る。するとにやにやとしている長宮さん――って、この2人何をしているのか。


「奈都!もう」


 とりあえず長宮さんに遊ばれていた?ことを理解したのか。結崎が長宮さんの両肩を持って揺らしだした。


「わっわっ。って、ゆえをいじるのが楽しすぎてね。って、松尾君もそこまで嫌がってないよ?」

「――松尾君はっきり拒否してよ」

 

 また結崎の視線が俺に――って。


「いや、拒否したというか。どけようとしたというか」

「松尾君優しいから」

「――松尾君。もうバレてるんだから。はっきりしてよ。もう」

「とっくの昔からゆえたちはバレてたけどねー」

「結崎。とりあえず。着替えたい。ってか、みんな着替えようよ」

 

 そうそう、俺たち全員夜のままである。


「あっ」

「そういえば――」


 すると女性陣2人気が付いてなかった。忘れていたみたいだった大丈夫かよ。ってか、そういえば――新聞部2人は知らないが。石見先輩はどうした?寝てる?これだけ騒いでいて来ないのも気になるな――などと俺が思っていると。


 ♪~


 俺のスマホに着信――って、ばあちゃんから朝ごはんのお知らせだったので、そのあと俺の部屋から結崎と長宮さんが出て行き――俺は着替えて、じいちゃんばあちゃんの家へと行くと――。


「あっ、後輩くんお寝坊さん?」

「松尾君。夜ハッスルしすぎた?」

「zzz」


 先ほどまで姿が見えなかった3人がすでに朝ごはんを食べていた。


「――あんたらはなんでもう普通にご飯食べているのか――って、七和先輩。六石が座ったまま寝ているのは何でしょうか?」


 そうそう、1人座って寝ている奴が居た。どういう状況だよ。


「あっ。ほんとだちょっと畑でのサバイバルで疲れたのかな?」

「――新聞部何してるんだよ」

「いやー、昨日の夜中に誰かさんたちがカメラ投げ捨てちゃうから探すの大変で。そのまま松尾君ところの畑でサバイバル野宿してた」


 卵焼きを食べながら昨晩のことを話してくれた七和先輩――って、いやいやいや、マジで新聞部何をしているのか。っか畑に居たのかよ。それ寝れないだろ。大丈夫なのかよとか俺が思ってると――。


「まあ私はテントの中で休ませてもらったんだけど。その間六石君には野生動物が襲って来た時のために見張りの練習してもらったから」

「――新聞部はどこを目指している?」

「ある日突然異世界に飛ばされても生きていけるようにだね」

「――」

 

 朝から新聞部はわけわからんことを言ってたので――俺はこれ以上触れないことにした。


「あっ、いろは先輩いないと思ったらもう食べてる」


 するとそこに結崎と長宮さんも着替えてやってきた。

 そしてほぼ同時に台所からばあちゃんも登場して――俺たちに朝から大変リッチなご飯を――って、そういえばじいちゃんは?と、俺が思いつつ空席のじいちゃんの席を見ていると。


「そうそう、守や。じいさん動けないって言っててね。あとで病院行ってくるよ」

「「えっ!?」」


 ばあちゃんがいつも通りというのか。普通に料理を置きつつそんなことを言ってきて、俺と結崎が反応したのだった――って、動けないって、なんか普通にみんな朝ごはん食べてるけどそれいいのか?ここ救急車とか来れないところですが?えっ?と俺が思っていると。結崎の方が先にばあちゃんに聞き返していた。


「あ、あの、それ大丈夫なんですか?先に病院――」

「大丈夫大丈夫。死ぬようなことはないだろうからね。動けないだけで、朝ごはんもちゃんと食べてるから」

「えっと――」


 そして結崎は困ったような表情でこちらを見てきたが――いや、なんというか。ばあちゃんがそういうのなら――先にご飯を食べ終えた方がいいのかな?多分食べないと動かないだろうし――。


 ということで、そのあと俺たちはじいちゃん不在の中で朝ごはん――ちなみに六石に関しては七和先輩が起こして食べさせていた。いや、マジで新聞部何してるんだよだったが――それよりりじいちゃんの方が心配だな。


 ご飯を食べるとじいちゃんの様子を――って、部屋に行くと確かにじいちゃんは腰を抑えて痛そうにはしていたが。起き上がってはいた。そして俺に気が付くと普通に話しかけてきたが――。


「おお、守か。いや、大丈夫大丈――いだだだだっ」

「……」


 大丈夫とは言っているがあれは大丈夫なのか?大丈夫じゃないよな?

 そんなこんなでそのあとはさすがに石見先輩たちもふざけるとかそういうことは――ってか石見先輩たちが先にご飯を食べ始めていたのは。この後じいちゃんを病院へというミッションを行うためだったというね。いや、ミッションを行うというか。さすがに帰らないとと、なっていたみたいだ。でもばあちゃんが朝ごはんの準備をしていたからそれはちゃんと食べて――と、いう状況だったらしい。ってか、なんだろう。いつもふざけたことしかしていないから。全く気が付かなかった。なんか3人さんごめんんさいである。

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