第399話 寝不足はお決まり
翌朝。
俺が目を覚ますとすでに何やら外が賑やかだった。
ガチャ。
「松尾君起きてる?」
そして、『みんな朝から元気だな――』などと、思いつつ。俺が目を覚まし身体を起こすと。ほぼ同時に部屋のドアが開けられ。長宮さんが顔をのぞかせた――ってか、普通に入ってくるのね。まあいいが――できればノックとかさ。着替えをしている可能性とか――考えなかったのだろうか?まあ思いっきり寝ていたからそういうことはなかったが。
にしても長宮さんは長宮さんで、あれからよく寝れたのか――今日も元気そうだ。ちなみにまだ着替えはしていないらしく。昨日の夜のままの姿である。
ちなみに俺はまだ眠い。って、今何時だ?あれ?意外と――普通に朝。いや、昼とかそんなことを思っていたが。普通に朝の8時――あれ?皆さん早起きですか?何故に?昨日日付が変わるまで騒いでいたはずなのに――って、とりあえず長宮さんに返事をしないとな。
「――今起きました」
背伸びをしつつ立ち上がる俺。すると長宮さんが室内へと入ってきた。
「みたいだね。めっちゃ寝起きじゃん」
そして――なぜか観察される俺。あの――いろいろやめて?というか。あれだ寝起きだから。
「――誰かさんたちが夜中まで騒いでくれまして」
「それはそれは、誰だろうねー」
「はぁ――」
あなた方でしょうが。と心の中で言っておいて。とか思っていると。
「ってか、ゆえがヘルプって言ってるけど。どうする?」
「へっ?」
結崎がヘルプ?朝から?などと俺が少し考えていると長宮さんが隣まで移動してきた。
「まあ、いつものことだよ。一晩中ゆえ石見先輩にいじられてたから。にひひっ」
「――結崎はお疲れと」
「倒れちゃうかもね。ちなみに私も眠い」
「――そのようには見えないんですが」
むしろ元気そうに俺には見えている。目の下にクマがあるとかもないし。いつも通りに長宮さんは見える――って、そういえば今更だが。俺って1人で寝ていたっけ?寝ていたんだったか?まあ一人しかいないんだから――そういうことか。
「今横になったら寝る自信あるかもー」
「ちょちょ」
するとなぜか長宮さんはそのまま先ほどまで俺が寝ていたベッドへと倒れて行った。
「あっ、松尾君の香り」
「嗅がない。って、なんか恥ずかしいから寝ないようにって、長宮さんもいやでしょうが。男子が寝ていたところに――は」
「松尾君ならいいでしょ?ってか、松尾君六石は?」
すると寝ころんだまま長宮さんが六石の確認――って、そうだよ。六石どこ行ったんだろうな?一応俺の部屋で布団――とかの予定って、そういえば六石を連れてきてそのあと布団を準備したのだが。その前に六石が何やら不審なものを持っていて、それを俺が投げ飛ばしてから――どうなったんだろうか?
「行方不明?」
とりあえず俺がわかることを言うと――。
「じゃあ七和先輩と一緒なのかな?」
「――七和先輩もいないの?」
「昨日の夜にね。ゆえがカメラぶっ飛ばして。それ探しに行ったっきり――なんだよね」
「――つまり新聞部2人が行方不明――隠し撮りをしている可能性大」
「あっ。確かに。でも私たちが居た方は――気配とかなかったけど――」
「いや、六石は――だけど、七和先輩は隠れるの得意だろうし」
「あー、確かに。って、じゃあ今この瞬間も危ない?」
「まあ。長宮さんが俺のベッドで寝転んでいるという証拠が――の可能性はあるかと」
「ふーん。まあいいか」
「いいのかよ」
なぜかそのあとも俺のベッドに転がる長宮さんって、普通に寝転んでいるというか。布団を抱き枕のように抱いてって。
「ちょ、長宮さん。マジで――なんか恥ずかしいのでベッドから降りる」
俺はそう言いながらくつろぐ長宮さんの腕を掴む。
「えー、いいじゃん。眠いんだもん」
「なら早く家に帰ることをお勧めします」
「歩く元気ないなー」
「だらけてるよ」
「だって文化祭の翌日だよ?だらけようよ」
「いや、それこそ自分の家で――」
「ここ落ち着くし。ご飯出てくるし」
「――ホテルか旅館なのかここは――って、長宮さんとりあえず。はい起きる」
「――てへっ」
「てへっじゃなく――わっ」
すると。いたずらっこ?みたいな顔をした長宮さん。なぜか俺が引っ張ろうとしていたのに長宮さん側も俺を引っ張って来て――って、急なことで俺体制を崩し――。
――ぼふっ。
「――おお、これなかなかドキドキ」
「ちょ、長宮さん」
見事に長宮さんをベッドに押し倒した光景になりまし――。
「松尾君ー。奈都来てな――何してるの」
すると、開けっ放しだったドアのところから結崎が顔を出した。
「あっ」
「おお、ゆえいいタイミング。松尾君に押し倒された」
「ちょっと待て。あと、結崎説明を――」
「――」
あー、なんか嫌な予感というか。長宮さんにやられたというか。
俺の部屋の前で朝から結崎がジーっとこちらを見て固まったのだった。
どうなる俺。っか長宮さん離して。なんでしっかり掴んでるの。普通こういう時はすぐに離れるのでは?
「あー、もう朝からなんなんだよ」
「松尾君大胆ー」
「長宮さん黙る」
「はーい」
「――松尾君と奈都は早く離れる」
「あっ。はい」
「奈都」
「おお、怖い怖い」
とりあえず――結崎に今の説明を早くしようかな。今のところまだ話を聞いてくれそうだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます