第398話 2人だけの部屋。男ver

 文化祭の後に何を家出しているのだろうか――と、思いつつ。今は六石回収してからのことを少し触れておこうか。


 ◆


「早く解いてくれ!社会的に終わる!松尾!ダッシュ。超ダッシュ。長宮容赦なしだろ。俺の扱いおかしいから。七和先輩も笑ってるだけだし」


 まずうるさかった。

 もちろんうるさかったのは六石だ。

 じいちゃんばあちゃんの家の方の室内でぐるぐる巻き。ロープで拘束されていた。まあ屋外に放置されていなかっただけましだと思うが――。

 とにかく俺がじいちゃんばあちゃんの方へと結崎とともにその他の方々を押しながら行くと――芋虫が居たのだった。

 ――芋虫はおかしいか?単にロープで――って、六石の姿はまあいいか。

 でだ。女性陣に関しては結崎を犠牲――ではないが。丸投げして。

 俺が六石を引っ張って出て行くとき。めっちゃ結崎が3人に絡まれていたが――あっ3人というのは長宮さん。石見先輩。七和先輩である。いやー、改めて考えると凄いメンバーを1人で相手をしている結崎――明日の朝。正確には日付がすでに変わっているから、今日朝だが――結崎が寝不足またはげっそりしているような予感がするよ。

 とまあ女性陣は結崎に任せまして――今のところ誰かじいちゃんばあちゃんの家から出てくる様子というのはないのでね。下手に触れない方が無難だろう。


「松尾ー。マジで早く!」


 ってか、真横に居るやつがうるさい。から現在へ。

 今の俺はぐるぐる巻きだった六石のロープを解いたところだ。

 ちなみに夜中に六石が何故叫んでいるか。近所迷惑なことをしているかというと――。


「トイレ!」


 である。自分で叫んでくれたよ。って、うるさい。近くで叫ぶな。


「――夜中に騒ぐなよ」

「マジでトイレ!トイレ!」

「はぁ――って、六石。もう解けているが――」

「――マジか」


 叫んでいる六石だったが。しっかり結ばれていて、暴れる。動き回ることはなかったので。後ろで縛られていた結び目を解くと六石は自由の身――だったが。どうやら長時間縛られていたから。解けたことに気が付かなかったのか?とりあえず。なんかいろいろ騒いでいる六石に俺が解けていることを言うと。


 ガチャ――バタン。


 俺の部屋のドアが勢いよく開けられて閉められたのだった。

 いやいや六石ドア壊す気か。今じいちゃんぶっ倒れているから壊されたら修理できない――って、まあいいか。すでに六石はトイレへとかけて行ったため俺は余計なことは考えるのをやめて、床に残ったロープを軽く縛りなおして、片付けたのだった。ってか、長宮さんか誰が結んだかは知らないが――自力では解けないようにしっかりと結ばれていた。いや――今松尾家に居る人怖い人多いね。何かしたら逃げれないよ。

 そうそう、ちなみにだが先ほど俺がじいちゃんばあちゃんの家の方へと行ったとき。ばあちゃんはまだ起きていた。じいちゃんは――不明である。

 ばあちゃんは特にこちらの騒いでいるのは問題ないのか。微笑ましい?というのだろうか。なんか見守る?といった表情でちらっと俺たちを見ていたのだった。いや、ばあちゃんうるさいとか。寝ろ。とか言ってもらってよかったのだが――もしかしてああいう感じでにぎやかなのが好きなのだろうか?そりゃ普段だと――俺一人だからね。にぎやかになることはないか。そして今日は――新聞部が賑やかだったからね。そりゃいつも以上に。だから――ばあちゃんも楽しんでいた?いや、変なことを考えるのはやめておこうか。

 またみんなを呼びなさい。とかそんなことになったら――俺が疲れる。いや、俺と結崎が疲れて倒れるからな


「いやー、セーフ」


 すると、すっきりした表情で六石が戻ってきた。


「それは何より」

「ってか、松尾」

「うん?」

「七和先輩からこれ預かったんだが――」


 俺の部屋へと戻ってきた六石はすぐにポケットから小さな箱?らしきものを見せてきた。


「――いつ預かったんだよ。縛られていたのに」

「さっき松尾が俺を引っ張っているときに」

「――あの先輩マジで忍者かよ。どんな技術あるんだよ」


 俺全く気が付かなかった。いつの間に七和先輩六石にこんなもの――って、そもそもこの小さな箱何?

 俺が六石の持ってるものを観察するが――わからん。


「で、六石これ何?」


 ということで六石に聞いてみると――。


「なんか、男部屋用のカメラだって」

「……」


 なぜにこいつはそれをサラッと受け取る――いや、強制的に受け取ったのか。って、それをサラッというのは――なんというか。って、なんだよ男部屋ようのカメラって。


「七和先輩曰く――」


 すると、六石がスマホを確認――って、連絡も来ているのかよ。


「男と男の秘密の行動を――」

「はいはい。わかったわかった。あの先輩がろくなことを考えていないのはよくわかった。六石ちょっと貸してくれ」

「えっ?これをか?ってか、俺どうやって使うか知らないんだよな」

「使おうとするな。まあ使えないようにするが――」


 特に渋ることなく。六石が小さな箱。カメラ?を渡してくれたので、俺は一応再度確認――すると箱には小さな穴が――って、マジでカメラじゃん。

 ということで――ガチャっとドアを開けて……。


「そーーーーれっと」

「おい待て!」


 とりあえず闇の中へと放り投げておいた。

 すると六石がすぐに回収――へは行かなかったが。俺が放り投げると同時に六石のスマホに着信?があったみたいで六石が電話にって、このタイミングということは――。


「もしもし七和先輩?」


 七和先輩からだった。ってか、すごいタイミング――とか思っていると。


「えっ?いや今松尾に放り投げられて――えっ、見つけないと別れる?いやいやちょ。あー、七和先輩?」

「――」


 六石が焦りだして――ドタンバタン。である。また激しくドアを開けて外へと出て行った。いやいや夜中に騒がしいね。俺寝るよ?寝るからね?

 ということで、そのあと俺は横になりましたとさ――って、横になると同時に結崎から連絡があり。


『七和先輩が隠しカメラ仕掛けていたから、外に放り投げたら七和先輩出て行っちゃったんだけど――ほっておいていいよね?』


 と、いうご連絡あがあったので『カギ閉めて寝ていいと思うよ』と返事をしてやっと眠りについた俺だった。 

 いや、疲れていたから寝るまでは早かったな。もう次気が付いたら朝だったよ。

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