第397話 2人だけの部屋?

「おでこがー」


 現在俺の目の前ではおでこを抑えている先輩が1人――って、もちろん石見先輩である。ちょっと事故にあったというか――でもあれは自業自得ともいえるような。でも俺も少しは悪いのか?いやでもさ、言い訳みたいになるが、もとはと言えば――。


「石見先輩。とりあえずドアを急に開けたのはすみません。ですが――そんなところに居たのも――かと。あと何をしているのか」


 そうそう。盗み聞きか盗み見かは知らないが。何かしていた方にも問題ありだろう。


「だってだって、ゆえちゃん押し込んだら絶対後輩くんとハッスルすると思ったから。そりゃ見に来るでしょ」

「――なんだよ。ハッスルって――って、いいですいいです」


 そして、急に石見先輩が意味不明なことを言い出した。

 いや、なんとなくわかっちゃう自分もいるが――こういう時は下手に触れずである。触れると絶対いじられるというか。調子に乗せるのでね。


「それはね――」

「はいはい。言わなくていいですから。ってか、みんな寝ないの?あと七和先輩。その赤いランプが見える機械――消せ」


 勝手に話を続けようとする石見先輩の相手をしつつ。俺はもう一人一歩下がって何かしているもう一人の先輩にも声をかける。暗いから目立たないと思ったのかランプは見えていますから。むしろ目立っているレベルだ。ちょっと強めに言ってもいいだろう。


「じゃ、音声だけでも」


 しかし、ここで隠そうともしないのが。新聞部――って、マジでなんなんだよもう。


「じゃ、じゃなくて、とっとと切る」

「えー」

「えー、じゃない」

「まあまあ」

「まあまあでもない。隠し撮りしない。いや、堂々と撮らない」


 七和先輩を止めるのに相当な時間がかかりそうなので、とりあえず状況整理をしておくと。

 唐突に俺が『まさかね』などと思いつつ。ドアを開けてみると――俺の部屋の前にはみんなが勢ぞろいしていたのだった。

 ――いやいや、夜中に何をマジでしているのだろうか。そりゃこの場所。松尾家なら夜中にぞろぞろしていても他の人に迷惑はないだろうが――じいちゃんばあちゃんは気にせず寝ているだろうし。って、じいちゃんどうなったのだろうか?とりあえず明日の朝確認かな?今は――何も言ってないところをみると。大丈夫だろうし。


「ってか、松尾君松尾君」


 俺がいろいろ呆れつつ状況整理をしていると。今度は長宮さんが声をかけてきた。そういえば長宮さんもちゃんといましたね。って、そういえば女性陣は帰ったお方を覗いて、残ったメンバーが全員この場に居るが――男性。六石の姿がないな。とか思いつつ。とりあえず長宮さんの方を見て返事をする。


「なんでしょうか?」

「いや、ゆえ追い出したんだけどさ。よくよく考えたら六石が近くに居るとか。身の危険しか考えられなくて――2人の邪魔しないから。私もここで寝ていい?」

「あっ、後輩ちゃんが乱入。修羅場を作ろうと――って、後輩くん私も間近で見たいからいい?修羅場混ぜてー」

「勝手にいろいろ言わないでくれ――って、まず六石の姿がないんだけど――」

「動かないようにまだ縛ってるけど?」

「――」


 六石の現状に関しては長宮さんがさらりと教えてくれた。

 六石お疲れ様である。何かまだ大変な状況みたいだが――頑張れである。ずっと縛られているような気もするが――。


「まあ六石は――いいか。で石見先輩。意味わからないこと言ってないでとっとと寝てきてください」

「きゃっ、ゆえちゃんゆえちゃん。後輩くんが先に寝てろだってー私も何かされちゃうのかな?」

「いや、ちょっと待て」


 すると、なぜかきゃっきゃっと騒ぐ石見先輩――って、もういいよ。マジで普通に大人しく休んでくれよ。


「いろは先輩――もう、ほんとに……馬鹿なこと言ってないで戻ってください。ってか、戻りましょう」


 俺が呆れていると、結崎も呆れつつ石見先輩のところへと移動――って、結崎はじめは驚いていたが。もう慣れたのかな?普通に動き。石見先輩を――捕まえた。正確に言うと摘まんだ。


「きゃ、きゃ、って、あれ?後輩くんに捕まった。と、思ったらゆえちゃんに捕まった?」

「いろは先輩――ほんとにもう寝てください。ってことで――えっと、松尾君連れて行くね」


 呆れながら結崎が俺の方を見ていう。どうやら結崎も今の状況からして、もう先ほどみたいな甘えるはできないと判断した様子だ。

 または――邪魔者を消す?って、それはないな。さすがにポンコツ結崎も損んことは――。


「――うん?松尾君今なんか言った?」

「全く」

「そう?なんか――また失礼なこと言われたような――」


 いやいや、なんで結崎俺のポンコツ発言だけそんなに敏感なんだろうか。


「――それより結崎」

「あっ、話変えたってことは――またポンコツとか思ってたでしょ」

「「「ポンコツじゃん」」」

「ひゃい!?」


すると、結崎のつぶやきに女性陣全員が反応――ってあんたら口裏合わせでもした?完璧にハモったよ。って――結崎がわかりやすすぎるんだよな。


「あはは」

「ちょ、ちょ、みんな揃って――」

「まあ結崎。できたら七和先輩と、長宮さんも一緒に」

「あからさまに松尾君が――って、まあ今はいいとして。わかった。でもさすがに一度では――無理かな」

「まあ、そうか――って、長宮さん。七和先輩もとりあえずもう休みたいので、女性陣はじいちゃんばあちゃんの家。男性陣はここで」


 そうそう、これをはじめからしていればよかったんだよ。男子は男子。女子は女子と分けることができたのだから。なのになんで俺の部屋に結崎――という組み合わせになったのか――って、そりゃいじられていたからか。

 とにかくだ。これ以上騒いでいてもなので行動開始してもらわねば。


「はい、移動移動」


 俺はそう言いみんなをじいちゃんばあちゃんの方へと――だったが。


「えー、私ここで良いよ?」

「奈都」

「おお、妻がキレた」


 そう簡単に動かない女性陣――ほんともう。夜中に何をしているのか。


「長宮さんも元気なことで……」


 俺がつぶやくとササっと長宮さんが俺の隣に移動して小声で話しかけてきた。


「それほどでも――ってか、松尾君。ゆえとどこまで本当はした?」

「あのですね」

「奈都」


 まあ寄って来て小声でも、近くに結崎が居るのですぐに長宮さんは結崎に睨まれたのだった。

 そのあとなんやかんやと周りが――というか、結崎以外のお方が言っていたが。俺と結崎でじいちゃんばあちゃんの家の方へ――。

 そして俺は皆さんを送り届けた――押した?帰りに六石を回収して部屋へと戻ったのだった。

 いや、もうそろそろ寝ようよ。ってか、文化祭の後ということみんなもう忘れているよね?

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