第396話 2人だけの部屋

「ということで、結崎は1人。向こうから追い出されたと」

「ま、まあ」


 現在は、結崎だけが俺の部屋に居る状況。

 ちなみにかなり遊んでいた?暴れていた?というか、皆さんずっと元気だったため。すでに時間はかなり遅め――いや、本当に時間は結構過ぎていた。何気に日付も変わっている。

 あと、俺の部屋――なんか部屋の隅にはみんなが居た残骸があるのだが――まあいいか。もう寝るだけ。結崎も特に気にしていないみたいだし。散らかっているではないのでね。それにもう――なんか疲れたから寝たい。


 ってか、先に言っておきたいが。こういう時って男女で分けるべきでは?


 とか俺がそんなことをふと思った時だった。


「――えへへ」

「……にやけておる」

「い、いいじゃん――別になんかわかんないけど、2人だし――それにバレていたみたいだし」

「隠せていると思っていた結崎がすごいよ」

「ってか、松尾君もひどい。うん」


 ベッドに腰かけていた俺の隣に結崎も腰かけていたのだが。その結崎がふと俺にもたれてきた。まああれだ、甘えてきた。である。ってか、少し前までバレていたことで散々いじられて混乱していたと思うが――もういいのだろうか?ってか、変に混乱で疲れて倒れられてもだからな。


「あっ、そうそう、結崎」


 ということで、俺は先に言っておくことにした。


「うん?何?」


 甘えた状態のまま結崎がこちらを見る――って、なかなかドキッとする姿。上目遣い――って、落ち着けいつも通りが無難。それに――みんなが寝ているとは限らない。


「――いや、ぶっ倒れる前には早めにご連絡を」

「ちょ、なんでそうなるかなー。もう大丈夫――のはずだし」

「言い切れないところがまた」

「いや、でも――うん。こういうのは大丈夫と――」

「こういうの?」

「――い、いいから」


 すると軽く背中をバシバシと結崎に叩かれた。あれ?俺はいろいろと振り回されている結崎の心配をしたのだが――こういうのは不要?うん。仲良し同士の場合は問題ないということか?でも――前はいろいろ自主規制にこういうのでなってなかったか?もうなくなった?


「そ、それより――」


 すると、結崎が再度強めにもたれつつ声をかけてくる。


「それより?」

「――寝ないの?」


 少し小さな声でそんなことをぼそりとつぶやいた。


「あっ、眠かったと」

「――何か違う」

「うん?」

「いや――うんん。何でも、ちょっと疲れたし――寝ようよ」


 そういうと結崎は今度はベッドの方を軽くたたく。早く横になれと言っているみたいだ。


「ってか――他を気にしなくていいものか」


 結崎に言われるがまま――というか。俺も眠い――ではないが。いろいろ疲れたので、横にはなりたい――だったため。つぶやきながら横になると密着するように結崎も寝転んだ――って、めっちゃ甘えてくるな。良い香りがします――じゃなくて。


「結崎いつも通りポンコツ?」

「ちょ!?松尾君?」


 すると目が覚めたように結崎が身体を起こして抗議――?してきた。いやでもね。この状況――みんなも忘れてないよね?って、俺は誰に言ってるのかか。疲れてるのかなー。


「どうしたの?」

「どうしたの?じゃなくていきなりポンコツはひどいと思うんだけどー。って、そもそも今日の松尾君。いや――最近の松尾君私の扱いが酷いと思う。子供みたいな扱い――してる気がする。保護者じゃあるまいし」

「――半分あってない?」


 バシッ。


 ちょっと失言。でも――結崎もわかっていたというか。

 俺結崎の保護者――ではないが。それに近い感じに、周りからは見られていなくもなかったような――と、思っていたので。そんなことを言ったらやはり。叩かれたが。痛くはなかった。が、結崎のほほが膨らんでいる。


「やっぱり松尾君も私いじってる。怒る。怒るよ?」

「楽しんでいるように見えるんだけど――」

「そ、そんなことない。ってか、松尾君も奈都や澪が知ってるのずっと知ってたんだよね?」

「ええ。かなり前から。口止めというか、あの2人は敵に回せない――」

「むー、なんでバレた――」

「いやいやいや」


 だから。何度でも言うが結崎は何故にバレていないと思った。もうびっくりというか――ほんとポンコツ娘レベルが上がっている。


「――あっ、松尾君。今またポンコツとか思ったでしょ」

「なんでそれはわかるのか」

「思ったんだー!もう」


 その後再度俺は結崎に絡まれたので――俺の部屋はまだ少しにぎやか?騒がしかったのだった。ってか、俺が頭の中で思うポンコツへの反応速度を他にも使ってほしいのだが――。


「また思ったでしょ!」

「だからなんでわかるのか」


 マジでそのセンサーを他にも使って!である。


「松尾君はもっと反省しないとだめ」


 すると結崎が再度俺の腕を掴んで――って。元気だな結崎まだまだ。


「ちょ、寝るんじゃ――って結局結崎はこのままでいいのか?一緒に――寝るで」

「――い、いいに決まってる。うん」

「仕組まれていてもか」


 今結崎がこの部屋に居るのは他のお方々が結崎をこちらに押し込んだからである。

 でも普通ならみんなはお隣の建物に居る。だから見られる可能性があるからとか。まあ新聞部が居るから間違いなく何かしてそうだから――くっついたりしていたらネタにされるでしょ。などと俺が思っていると。


「そりゃ――仕組まれてても。まあ松尾君と2人だし。さすがにみんなもう寝ると――」

「いやいやいや」


 あれだ結崎甘い。

 ということで、俺は結崎の方を見て、シー。というポーズをして。結崎がきょとん。としたところで、まあ――空振りに終わるかな?とか思いつつ。音を立てず。そっとドアの前にそして――。


 ガチャ。


 と、ドアを開けるとそこには誰も居ませんでした。

 さすがに考えすぎ。みんなもう暴れて疲れて寝ているよな――とかになるとよかったのだが。


 ドン。


「あべしっ」

「へっ?」


 ドアを開けた瞬間ぶつかる音――からの……。


「えっ――いろは先輩?って――な。なんで!」

「なんで松尾ドア開けちゃうかな」

「ってか松尾君気が付いてた?」

「いやいや、私がこんなに警戒していたのに――」

「後輩くん。まず謝ってよーおでこがー」

「……マジかよ」


 いやー。ここまで予想通りにならなくても。みんな――そろそろ寝て?

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