第179話 浴衣美少女が多い2

 ガラッ。


「きゃあ!?」

「バレた!」


 この悲鳴。俺と六石ではないので。と、先に言っておく。


「わわわっ――落ちるー」

「きゃあ。先輩。掴まないでー」

「——えっ?」


 俺が思いつきで開けてみた押し入れ。中には石見先輩と長宮さんが。いやいやマジで居たよ。ガチで驚いたよ『ホント何してるんだよこの人たち』と俺が思っていると。まだ布団があるところにこの2人は入っていたため。多分俺が急にドアを開けたからだろう。バランスを崩し――石見先輩がまず落ちそうにななった。そして隣に居た長宮さんの身体を石見先輩が掴んだため。2人ともこちらへと降って来たのだった。

 ちなみに上の段にこの2人は居たので、落ちると地味に痛いだろう。ってことで、ちょうど目の前に立っていた俺。自然と手を出してしまっていて。長宮さんには2回目だな。とか思っていると。ちょっと予想以上の衝撃が身体に来たのだった。


 ――ドタン。グキッ。


「ビックリしたー」

「あっ、後輩くんが潰れてる」

「……」


 はい。石見先輩の言う通り潰れています。


「松尾。エスパーかよ。良かった。変なことしなくて」


 なんか俺の上で2人が言っているのと、あと離れたところで六石の声も。って、現在の俺2人の下敷き。2人を同時に支えれるわけもなく。見事に押し倒される形で2人に乗られていた。腕痛いって。特に石見先輩側。痛いっす。なんか変な付き方をしたのだろうか。って、違う。普通に石見先輩が落ちる瞬間に俺の右腕にしがみつくような形を取ったため。そのまま俺の右腕は床にたたきつけられたようだ。畳みなんだけど、叩きつけられたら痛いよ。それに石見先輩の重さ分の衝撃とともにだからね。だから普通にそこそこ痛みもある。

 あと長宮さんは長宮さんで普通に落ちそうになった瞬間俺に飛びつく形になったので、痛くないでしょうね。ほとんど俺の上に居るのでね。完全に馬乗り状態の長宮さん。俺の腹あたり。ちょっと胸近くが痛いのと――背中は痛い。叩きつけたのでね。って、六石も助けろよ。は、無理か。ちょっと離れていたからな。


 ガチャ。


 すると、ふと部屋のドアの開く音が聞こえてきた。


「いろは先輩、奈都。着替え取りに行っただけでなんで戻ってこな――えっ?」

「おお!奈都と先輩が松尾押し倒してる」

「スクープスクープ」


 こらこら、七和先輩。写真禁止。って、今普通にカメラが出てきたってことは風呂場にカメラ持っていっていたな。置いていきなさい。俺の変な予想当たりかけているじゃないか。って――こんなタイミングよくみんな戻って来るのか。マジか。


 部屋の入口でドアを開けた結崎はポカーンと固まっているし。蓮花寺さんは結崎の横からなんかニヤニヤしているし。七和先輩は――あとでカメラ確認です。


 その後の事を言うと。


 何があってこうなったのかはすぐにわかった。どうやら俺と六石が帰って来るホント数分前に女性陣は風呂へと向かい。その際に着替えの浴衣を持ち忘れたと石見先輩と長宮さんが部屋に一度戻り――という時に俺と六石がたまたま風呂から帰ってきたらしい。

 すると『あっ。こういう時って何かありそう』という石見先輩の考えに長宮さんも乗っかって、ちょっと様子見であとでドッキリー。と思っていたら、ドッキリをする前にドッキリさせられた。俺にバレたらしい。で、押し入れのドアが突然開いたためバランスを保てなくて落ちたと。

 一方。結崎と、蓮花寺さん、七和先輩は風呂場のところで待っていたが2人が遅かったので、様子を見に戻ってきたと。以上である。

 

 その後余計なことをしていた石見先輩と長宮さんは結崎に怒られまして、やっと女性陣は風呂に行きましたとさ。

 ちなみに部屋の真ん中に散らかっていた荷物は、俺の予想通りだったらしい。結崎がちょっと恥ずかしそうに教えてくれた。風呂に行く際。石見先輩や長宮さんが「まあいいか」と言っていたらしいが。改めて考えると――だったらしく。再度風呂に向かう際。俺と話した後だな。結崎がパパっと隅っこにどけてから、風呂へと向かったのだった。結崎――大変だな。相手をする人が多くて。でも風呂場ではとりあえず1人で頑張ってくれだな。俺、巻き込まれたらそれこそお巡りさんだし。他の人も多くないとは聞いているが居るが居るみたいなのでね。何かあってからではなので――風呂の時だけは結崎頑張ってくれである。


 ってか――右手痛いな……。

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