第172話 水着美少女が多い5

「……松尾。これ無事に帰れるのか?」


 俺が荷物を置いて、隅っこで壁に持たれつつ。3人のやり取りを見ていると――六石が小声で話しかけてきた。


「……なんとも、まあ、とりあえず同じ部屋は確定みたいだから。気を付けるだけかと。下手な事すると死ぬ」

「なんか――楽園が消える消えていく――」


 どうやら六石の楽しみは瞬殺だったらしい。


「まあ仕方ないというか――蓮華寺さんは……マジでしてくるかもだからな」

「松尾……俺にハーレムは重い。いや、早すぎた。大人しく目立たないを選ぶ」

「残念だが。今ここに居る時点でもう手遅れだな。今日はこの部屋なんだし。そう簡単に帰れる雰囲気じゃないぞ?」

「……だよな。うん。パシリの未来。まあこうなったら――何とかして楽しむしか――か」

「楽しめればいいが――」


 六石と話していると、スキップ。足取り軽く石見先輩が俺達のところへとやってきた。何だろう――余計なことを言いそう。ご機嫌な雰囲気は怖いな。何も言いませんように。無理か。


「後輩くん。なんか楽しそうな話してなかった?あっ、後輩くんならー。思い出作りりに私が一肌脱いであげるかもよ?あっ、こっそり2人で抜け出しちゃう?きゃっ、楽しそう!」


 ほら。どうやらしっかりこちらの話を聞きながら来たらしい。良からぬことを考えながらやって来た様子だった。


「……石見先輩。今日もぶっ飛んでるなぁ――」

「いろは先輩。なんか変な事聞こえましたけど?」


 俺が呆れていると、蓮華寺さんや長宮さんと話していた結崎が、またすぐにこちらに反応し。蓮華寺さんたちのところから、石見先輩の確保に移動して来たのだった。 

 ってか。結崎。いきなり無理するなよ?なんか無駄に俺のために動いているというか――もしかして連絡が遅れたのまだ気にして――って。ちなみに俺の横では。


「あの先輩も――いい先輩だなー」


 六石がそんことを言っていたのだった。

 ちなみに六石よ。石見先輩全く六石の事は見てなかったと思うぞ?って、六石がつぶやいている間に、石見先輩は結崎に回収されていき。猫のようにつままれていた。 

 俺から少し離れたところで『変な事言わないように』ということを言われていたのだった。


「きゃー、ゆえちゃんに襲われるー」


 ちなみに石見先輩は全く大人しくなっていない。


「いろは先輩。あまり調子に乗らないでください。って、話を戻しますが。なんで一部屋なんですか。おかしいですよ?松尾君たちも居るんですよ?」

「えー、こういう時こそ弾けるんだよ。ゆえちゃん知らないの?」

「弾けなくていいです」

「ゆえちゃんも弾けたいくせにー」

「そ、そんなことないですから!」


 なんか……また言い合い?いつも通りのやりとりを結崎と石見先輩はしていたのだった。にしてもこの部屋にぎやかだな――と俺が思っていると。六石が再度話しかけてきた。


「なあなあ松尾。結崎と先輩の関係?なんか上下関係がおかしい気がするが――あれは普通?」

「通常運転。2人は仲良いからな。昔からだからあれでいい」

「——なるほどな」


 普段を知らない六石の問いに俺が答えると、今度は七和先輩が荷物を置いてこちらに向かって来た。ちなみに七和先輩は取材やらやらで参加したとか。

 って、取材ってなんだよ。ってか、石見先輩と仲良くなるの早すぎだよ。知り合ってすぐなのに、なんかこの先輩すごいわ。馴染んでいるというか……誰とでも関われるって感じだからな。コミュニケーションオバケとか言っていいかな?


「男の子2人がもう負け組みたいな雰囲気だね」

「七和先輩は楽しそうで、なによりです」

「スクープの香りしかしないからね」

「何となくわかっていたが――はぁ……」


 サングラスをいじりながら無駄にポーズを決めて話してくる七和先輩。すると俺ではなく。俺の隣に居た六石を見だした。


「おっ、うんうん」

「えっ?」


 急なことに六石が一歩下がる。


「なんかいい雰囲気だね。えっと――六――肋骨?」


 違う違う。と、心の中で俺が突っ込むと、六石本人が話しだした。


「——六石ですが?」

「そうそう。六石君だね。ってか――こうやってみると――逸材!」

「——えっ?」


 ホント突然。なんか七和先輩が六石を見ながら言い出したのだった。何をこの先輩も考えているのかわからん。


「……こっちはこっちでなんか始まったよ」


 俺がつぶやくと。って、俺のつぶやきは誰も反応してくれず。七和先輩がなぜか六石をターゲットにロックオンしていた。ちなみに六石は六石で……。


「松尾?逸材って……俺のことか?俺――まさかの磨けば輝く?」

「知らんよ」


 七和先輩の言葉ですぐに目を輝かせていた。いやいや、六石よコロコロ変わるな。今俺はやっと六石という人間をわかってきたよ。


「六石君。ちょっと私と仲良くなろ?雰囲気的に――細かい事とか好きでしょ?一つの事熱中するでしょ?」

「えっ?あー、はい。俺美術部で、なんか作るのは――ですね。黙々としてますね」

「おお、いいねいいね。ホント仲良くなろ?まず連絡先連絡先」


 すると七和先輩はすぐにポケットからスマホを取り出していた。七和先輩。人を見る目?というのか。やはりいろいろは人と話すからか。そういう勘は鋭いみたいだった。


「えっ?いや、えっ?マジっすか」

「うんうん、逸材。仲良くしようよ」


 そう言いながら七和先輩は、六石としっかり握手をする。

 あれ?ここは何か友情でも芽生えた?って――待て待て握手をされた六石……泣いてるよ。なんで?何があった?え?泣く?なんで?なんで?


「……松尾ー、俺来てよかったわ。いろいろ怖いこともあるみたいだが――この先輩最高」


 もう相手しきれん。


「……その先輩もなかなかだから――どうなっても知らんぞ」

「そうだ六石君。新聞部知ってる?」

「え?新聞部ですか?」


 頭の上にクエスチョンマークが浮かぶ六石。


「私と仲良くなったから。もれなく学校での私と2人っきりの空間にご招待するよ」

「えっ?」

「……はぁ……」


 いきなり勧誘がはじまった。ってか、七和先輩はじめから六石を勧誘してたのか。にしても七和先輩言い方言い方。って、六石は六石でさらに泣き崩れた。嬉しいのか。まあ七和先輩にこちらはまかせよう。多分六石は巻き込まれた。以上だ。俺は関わらない。まあ仲良くなるのは自由だからな。


 するとちょうどその時。石見先輩が『注目ー』と言ったのだった。

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