第154話 夜の電話
♪♪~
机の上に置いてあった俺のスマホが鳴っている。って、そういえばスマホ置きっぱなしだったが。石見先輩見てないよな?まあロックしてあるから大丈夫――いや、どこで見られているかわからないからな。などとちょっと不安になりつつスマホを取ろうとしたら先に横から手が伸びてきた。
「はいはーい。お電話かなー?」
「待て待て待て」
俺のスマホを石見先輩が持ったところで俺は石見先輩を捕まえた。石見先輩の腕を掴んで――って、石見先輩普通に画面を見ていて。
「あっ、ゆえちゃんだー。なになに?毎晩2人はお電話でもしてるの?」
そんなことを言いつつ通話ボタンは押さずに、って押せないのか。俺が石見先輩の手を掴んでいるから。
「あのですね」
「ってか。後輩くんやっぱり力あるね。掴まれたら私全く抜けれないよ。うんうん。大変。襲われちゃう」
なんでこの人こんなに楽しそうなのか。
「マジで勝手にいろいろいう先輩だな。って、石見先輩が人のスマホを勝手に確認しようとするからですよ。はい。スマホスマホ」
「えー、まあ渡してあげるけどー」
渡すと言いつつもまだニヤニヤと俺のスマホの画面を見つつの石見先輩。
「石見先輩。電話ですから」
「じゃ、ドッキリといこう」
「やめなさい」
「きゃっ」
「何もしてないのに悲鳴をあげない」
俺は何もしていない。まだ石見先輩の両手を掴んでいるだけである。
「えっ?今から後輩くんに私縛り上げられるんでしょ?」
「意味わかんない……って、電話電話。はい。石見先輩はお静かに」
「仕方ないなー。はーい」
「まあ無理だろうが……」
「ひどーい。後輩くんひどーい。静かにするくらい出来るからー」
「無理でしょ」
俺はそんなことをつぶやきながら、石見先輩からやっとスマホを回収する。幸いまだ電話は切れていない。無事にスマホを回収した俺は少しでも石見先輩から離れてから電話に出た。意味無いだろうがね。だって――石見先輩付いてきているし。
「——もしもし」
「あっ、松尾君?こんばんは。ごめん忙しかった?」
「いやぁーうん。大丈夫。ってか、どうした?なんかあった?」
「あっ、用事とかじゃなくて……ほら、暇で――話したくなったみたいな……てへっ」
「……」
マジで結崎は結崎でキャラ変わったってか。かわい過ぎませんかね?『てへっ』とか今までなかったよね?えぇ!?だよ。ってか返事できなかった。などと思っていると、おろおろ見たいな。心配するような声が聞こえて来て――。
「えっと……もしかして松尾君?迷惑——だった?」
「いやいや、全く。ちょっと驚いたというか。あっ、その――結崎」
「うん?なに?」
「揉める前に言っておくけど」
「……え?揉める?」
結崎の声が一瞬戻った?と思ったら今度は少し不安そうになった。って、コロコロ結崎が変わっているんですが。でもこれだけは早く言うべきだろということで。
「つい先程石見先輩に、家ってか部屋に乗り込まれたということをですね。伝えておいた方が後々問題にならないかと思いまして――」
俺はニヤニヤしている石見先輩を見つつ結崎に告げたのだった。これ大切。ここで隠そうものならあとで揉めること必須な気がしたのでね。
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