第155話 夜の電話2
「つい先程石見先輩に、家ってか部屋に乗り込まれたということをですね。伝えておいた方が後々問題にならないかと思いまして――」
「……え?」
俺の報告に驚く結崎――って、驚くわな。ちなみに俺の報告で石見先輩もちょっと驚いた表情をしていて。
「あれー、後輩くんバラしちゃうのー?ビックリー」
「説明大事ですからね」
「本当にいろは先輩の声が……」
石見先輩と話していると声が結崎にも聞こえたらしく。再度驚いたような声が聞こえてきた。
「マジで石見先輩居る。泊まるとか言って突然来た。こちらからの報告は以上です」
「——」
「後輩くん。そんなはっきりゆえちゃんにちゃんと伝えちゃったら私今度ボコボコにされちゃうよー。ゆえちゃん怖いんだからー。その場合助けてよ?」
「ボコボコにされてもいいのでは?」
むしろされて反省してください。反省?は変?凝りてくださいというか。後輩に迷惑かけないで下さいというか。俺の1人の時間返して?
「酷い。後輩くんが酷いよー。ゆえちゃん」
「結崎に助け求めるんかい……」
そもそも隠して後からバレた方が厄介なんですよ。と、俺が思っていると。って、結崎?無言なんだけど――大丈夫か?
「結崎?もしもーし」
「——あっ、うん。ごめん。ちょっと驚いただげ。ちょっと」
「——めっちゃ動揺してません?って何もないからな?」
「あ、うん。それは大丈夫って――」
「ゆえちゃん。後輩くんに連れ込まれちゃった」
結崎と話していると、石見先輩が俺のスマホを引っ張りながらそんなことをスマホに向かって言う。って、マジで誰か石見先輩止めて。
「石見先輩。お黙り」
「えー。後輩くんがやっぱり怖いよー」
めっちゃ笑顔でそんなことを言われてもですね。
「えっと……松尾君大丈夫?いろいろと……」
「超大変なんだけど……どうしたらいいかな?」
「あっ、えっと――本当なら引き取りに行きたいけど時間的に……難しいかも」
もう遅い時間だしな。
「あー、それは大丈夫大丈夫。うん。結崎は結崎でちゃんと休んでほしい。あと――夜にあまり1人で出歩かないように」
そっちの方が心配である。今の結崎――普通にかわいいし。
「あっ——うん。わかった」
「ちょっと2人で話さないでー。私も混ぜてー」
すると、再度石見先輩が俺の肩に手を置きつつ絡んでくる。ホント相手が大変である。
「石見先輩くっつかない」
「くっついてるの!?」
「そう。密着ー」
驚く結崎の声が石見先輩にも聞こえたらしく。さらに燃料投下とでも言うのか。石見先輩は結崎にわざと聞こえるように大きな声でそんなことを言ったのだった。マジで困った人だよ。ちなみに本当に密着。しがみついてきているのだが――振り落としていいかな?でもさすがにそれは出来ない俺だった。
「石見先輩。無理に電話に入ってこない、結崎。石見先輩は気にしなくていいから」
「あ……うん」
「後輩くん。後輩くん。私もゆえちゃんと話す。これ普通にお願い。雑談したい」
「はぁ、次から次へと――結崎。聞こえたと思うけど、先輩に代わっていい?」
「あ、うん。大丈夫。私からもいろいろ言いたいから」
「——あ、そうっすか」
何だろうな。バトルとは――ならないと思うが。変な揉め事起こすなよ?などなど俺が思っていると。それからスマホは石見先輩の元へ、とりあえず俺は結崎に石見先輩の相手を頼んだのだった。
なんかスマホを受け取った石見先輩がベッドへと移動して、コソコソ、ニヤニヤしながら話していたのが気になるが。でも結崎も何か言いかえしていると――いや、石見先輩の態度的に結崎負けている気がすが。どうなっているのか俺にはわからなかった。
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