第152話 夜の訪問者

 石見先輩襲来――という現実はいらない。と思いつつも。すでにドア1枚挟んだ向こうに居るのはわかっているので、なんで居るの?先輩の家ここじゃないんですけど……。などなどいろいろなことを俺は思いつつも――諦めて部屋のドアを開けると。


「やっほー」


 俺が部屋のドアを開けるとラフな服装?うーん。なんかかわいくだらけているキャラクターのちょっと大きめ?のTシャツにズボンというシンプルっちゃシンプルな組み合わせ?とりあえず、部屋着で来ました!みたいな組み合わせの石見先輩がマジで立っていたのだった。

 もちろん偽物ではなく本物が良い笑顔で立っていたのだった。

 ちなみに片手にはキャリーケース。もう片方にはビニール袋を持って登場だった。 

 そうそう現在の時間は20時37分だ。遅くはない時間だが――田舎では遅い時間である。静かな時間だよ。えっ?お前のところいつも静かじゃないかって?まあそうか。静かだな。


「……石見先輩何してるんですか?」


 再度確認。


「夏休みじゃん。暇じゃん。遊びに来た。ってさっき言ったじゃん。後輩くん暑いと記憶力ヤバい?」

「昨日もここに居ましたよね――?」

「昨日は後輩くんたちと親睦を深めに――だね。そしてなんと今日は2人っきりだよ!先輩がはるばるやってきたんだよ。喜べ後輩くんだよ!」

「えっと――最終電車はまだありますから帰ります?」

「えー、後輩くんのおばあちゃんはゆっくりしてってー。って言ってたのになー」

「何が起こってる!?」


 まさかのばあちゃんたちには挨拶済みの可能性。余計なことを言ってないといいんだが。


「さっきね。またお邪魔するんだからで、コンビニで買ってきたお菓子渡してきた」

「——物に負けたか。そして喜んで通したか」

「そうそう。で、持っていきなさい。ってことで、キンキンに冷えてる飲み物おばあちゃんにもらったよ。はい。後輩くん」


 石見先輩はそんなことを言いながら手に持っていた袋を見せてきた。袋にはちゃんと飲み物が入っていた。って、ビニール袋はそこでもらったんですね。なるほど。って、納得できないというか。なんでこんなことになっているのだろうか。


「ってことで、図書室の片付け終わりお疲れ様お泊まり会開催!いぇーい」


 誰かこのアホなテンションの先輩何とかしてくれ。無理だと思うけど。


「……」


 石見先輩が俺の前でいろいろ言っているが。その間何も言えない俺だった。この先輩ヤバイ。俺じゃ止めれん。何考えてるかわからんからな。ついていけてなかったらしい。


「ってか、後輩くん入場させてー」

「拒否したい」

「拒否することを拒否します」

「はいはい――もう入れるしかないみたいなんで」

「そういうことー」


 俺が道を開けると石見先輩が入場した。とりあえず俺は冷気がこれ以上逃げないようにドアを閉めたのだった。室内は快適なのでね。それも壊すとか――なので。

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