第105話 クラスメイトと掃除
長宮さん蓮花寺さんが着替えに行った後の事。
俺はというと、まだ廊下に居た。理由は掃除だ。
ずぶ濡れ状態の廊下掃除が残っていたのでね。俺が手伝う必要は――と言われると何だが。そのままスルーということもできなかったのでね。
ってか、長宮さん達が彼の事をちゃんとクラスメイトと気が付いたかはだがね。
とりあえずびちょびちょの廊下を何とかするために、近くの流しからバケツと掃除に使われているであろう……大変黒い。汚い雑巾。まあ雑巾はいろいろなところを掃除するためだから――雑巾としては、汚れているのは嬉しい事かもしれないが。なんかね。触りにくいというか。
でも、俺は普通に雑巾を数枚確保して廊下へと戻り。びちょびちょの床の上に雑巾を置いて、廊下に転がっていたバケツと俺が持ってきたバケツへと水を戻すことにした。
俺が片付けをしていると。
「えっと――松尾。なんか悪い」
俺と同じく雑巾で廊下を掃除している六石が話しかけてきた。
「いや、大丈夫。ってか――長宮さんあれで機嫌が直ると良いけど」
「—―高額請求させられそう……」
「まあ、うん。それは――なんともかと」
「万単位で請求してきそうだわ。やらかした」
「長宮さんもそこまでは――ってまあ私服だったからあれが――うん。お気に入りとかだとか」
俺は言い雑巾に水を吸わせてバケツへと戻していると。
「ってか。松尾は――なんか部活?休みに学校居るって――ってそういえば――長宮。蓮花寺はなんで私服で居たんだ?」
「そういや何であの2人私服だったのか。まあ玄関に先生が居るとかはないだろうから――普通にこの学校なら入れるか。ちなみに俺は委員会で――って、石見先輩どこ行った?」
石見先輩先ほどタオルを取りに行ってくれたり。なかなか早い行動をしていたのだが――今は姿が見えなかった。あれだ。廊下に男子が2人。掃除中という光景だけだ。掃除は逃げたか?
「委員会か。大変だな」
「六石は?」
「部活。俺。美術部だから。作品作りに」
「あー、ってか。前にオリエンテーションだっけ?六石すごいの作ってたよな」
「……あー、あれは思いつきというか。なんかやりだしたら――で、って松尾もなんか――だったじゃないか?」
「あー、まあ俺も思いつきというか。うん。なんとなくというかだな。ってか。美術部は――六石1人?」
そういえば騒ぎを起こしている割に誰も他に居ないな。と、俺が思いつつ聞くと。
「今日はな。俺が1人で続きしていただけで、基本自由参加だからな」
「なるほど」
その後も俺達はそんなことを言いながら、廊下掃除を続けた。
バケツ一杯分の水が広がったからか。または――長宮さんがちょっと動いたからか。地味に濡れている範囲は広がっていたので掃除は時間がかかった。暑い中頑張った。というやつだよ。
そんなこんなで、廊下が綺麗になった頃だった。ってか。水拭きをしたような感じだから。水がこぼれたところだけ廊下が綺麗というな。
「後輩くん後輩くん」
後ろから石見先輩の声が聞こえてきた。終わった頃に登場というやつだな。やはり逃げていたか。
「石見先輩。どこ行ってたんですか」
「えっ?保健室の先生にありがとーって」
「……ちゃんと仕事していたか」
逃げたとか思ってごめんなさいと。俺が頭の中で思っていると。
「あー、まさか後輩くん私が掃除は嫌で逃げていたと思ったなー。怒ったー。怒ったぞー」
パンパン。
石見先輩は楽しそうにそんなことを言いつつ。俺の肩を叩いていた。別に痛いとかはなく。普通にじゃれるというのか。そんな感じで叩いてきた。
廊下で、俺と石見先輩がそんなことをしていると。
「——あれ?松尾ってさ――てっきり結—―」
「松尾君。松尾君」
六石が何かを言いかけたが。それと同時に体操服姿に変わった長宮さんがこちらへと戻って来た。ご機嫌は――多分大丈夫そうだった。
「いやー、松尾君助かったよー」
そう言いながら俺の横へとやって来た長宮さん。そしてちょっと小声で――。
「あっ、えっと――松尾君。お隣……誰さん?私にタオル持ってきてくれた子」
そんなことを聞いてきたので。
「同じ図書委員の石見先輩です」
俺が石見先輩の紹介をすると。
「—―先輩――先輩だったー!ってタオルありがとうございました」
長宮さんがぺこりと、石見先輩に頭を下げたのだった。
「いいよいいよー。災難だったねー。私、岩見いろは。2年生だよ。よろしく、えっと――」
「長宮奈都です」
「蓮花寺です。お願いします」
「—―さらっと蓮花寺さんも居たよ」
「長宮さん、蓮花寺さんね。うちの後輩くんがお世話になってるみたいだね」
長宮さんの後ろから普通に会話に参加してきている蓮花寺さんが居たのだった。って。
「石見先輩。なんかおかしなことを言いださないでください」
「えー、いいじゃんいいじゃん。楽しそうだし」
そう言いながら俺の肩を揺らしてくる石見先輩。誰かこの人を止めて。そのうち酔いそう。
「—―松尾君は既に乗り換えたか」
長宮さんが意味深なことをつぶやき。お隣ではニヤニヤと蓮花寺さんが。
「その可能性ありだね」
そんなことをつぶやいていた。この2人――何を考えているのだろうか。と、俺が思っていると、さらにお話は続いて。
「うんうん。これは――面白そう。さらにポンコツ姿見れるかも」
「うん。面白い。ナイス松尾だね」
「ってか。松尾君に仲のいい先輩がいたとは、これはスクープ」
しばし俺の前でこそこそ長宮さん蓮花寺さんが話すということが続いた。すると俺の横で肩をつかみ続けていた岩見先輩も話し出した。
「後輩くん後輩くん。どっちが彼女?どっちも?」
「石見先輩、マジで適当な事ばかり言わないでください。収拾がつかなくなりますから」
「えー違うの?私的には――両方?」
「なんで、その選択肢が採用されるんですか」
ホント誰か何とかして。という状態に廊下がなりつつあったのだった。ほら、六石がフリーズしているよ。という状況だった。
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