第104話 ずぶ濡れ
石見先輩と職員室と図書館の往復を終了して、本日の活動は終了ということで、帰るために職員室から図書室へと移動している時の事だった。
俺と石見先輩が角を曲がろうとしたら――。
「—―きゃあああ!」
バッシャン!
――カン――カラン。
そんな悲鳴と音が聞こえてきたのだった。
俺と石見先輩が小走りで角を曲がると。少し先でら廊下に尻もちをついている――誰だろう?制服でもなく体操服でもない。私服の――女子?私服だな。何で学校内で?だった。そしてその横にも私服の女子ら、後はどこかの教室?のところから――男子?こちらは制服を着た生徒がいて。
そうそう、床にはバケツが転がっていた。ってよく見ると。なんか3人の居るところの床?光ってる?いや――濡れてっる?と俺が気が付いた時だった。
「最低!?何してくれんの!?もう!」
―めっちゃ知ってる声が聞こえてきたのだった。
後ろ姿だったからピンと来てなかったが。声で確認。わかった。今廊下で尻もちをついているのは長宮さんだった。
「うわー、奈都。濡れたね……エロい」
「最悪、ってかこれ――なに!?めっちゃ汚い水じゃん!なにこれ!?」
そしてもう1人もわかった。蓮花寺さんだ。尻もちをついている長宮さんから1歩2歩と離れていっていた。あっ、さらに離れた。ってか、変な感想が聞こえて気がするが――気のせいだろう。
って、2人はなんでここに居るの?と俺は思いつつ。とりあえず3人のところへと近づいた。
俺が動いたからか。石見先輩も『何事?』とつぶやきつつ付いてきた。
「男子!どうしてくれんの!?」
「いや、ご、ご、ごめん。急いでて――そのごめん」
長宮さんがめっちゃ怒っているのは離れていてもわかった。そして申し訳なさそうに……ガクガク震えている?のは――ってあれ?この男子生徒も見覚えある。と、俺は思いつつも3人に近づいて。
「どうしたの?ってか何があった?」
「—―えっ?」
「ってなんだこっりゃ……」
俺が声をかけると、すぐに反応したのは尻餅をついたままの長宮さんだった。って――俺と――後ろを付いてきていた石見先輩は慌てて急停止したのだった。
「うわぁー……」
「いやー、なにこれ?水――いや――泥水?」
現在長宮さんを中心に廊下が真っ黒な水で――濡れていた。ってか長宮さん。下半身ずぶ濡れ。そして、上着も――何だろう。何か濡れたところの色が変色していた。そして、先ほど聞こえた蓮花寺さんの謎な声というか。あれが少しわかってしまったのだった。服が身体に張り付いて――という状況だったのでなるべく見ないようにと俺が思っていると。
「松尾発見。って――松尾。私ここに近寄りたくないから、奈都を助けてあげて」
蓮花寺さんに関してはさらに現場から離れつつ。俺にそんなことを言ってきたが。
「いやいや――何がどうなったのこれ」
「びちょびちょー。もう最低」
長宮さんはそう言いながら男子生徒の方を見た――いや睨んだ。
ってその時に俺はわかった。というか確認できた。彼もクラスメイトだと。俺数回話したことあるし。
滑るとかではないが――なんか、濡れたくはなかったが。長宮さんを助けないとなんでね。
「長宮さん。立てる?」
「あー、何かお腹から下。めっちゃ気持ちわるいんだけどー。びちゃびちゃだし。重たいし。張り付くし」
そう言いながらも長宮さんは俺が手を差し出すと掴んでりって長宮さん手も床に付いていたんですね。黒いですよ。
って、それくらいはいいんだが。って炭ではないが。ホントなにこれ?だった。
とにかく触るものを全て黒くする液体らしく。ちょっと長宮さんに触れた俺の手も黒くなった。何か掃除でも彼はしてた?と俺は思いつつ。とりあえず長宮さんを引っ張り立たせるが。
ボタボタボタボタ……。
長宮さんがその場に立っただけで、大雨が廊下に降ったようになった。
長宮さんの主に――スカートが――大変この黒い?水を含んだみたいで、ボタボタ水が落ちる。って、これ下手に長宮さんを動かすと、廊下が全てえらいことになる。という状況だった。
「マジ最悪――これどうすんの。ってかこれマジで何?」
長宮さんが俺の手を握ったまま固まっている男子生徒を再度睨んだ。
「いや――えっと――その……筆洗った――というか。まあ汚れた――水」
「最悪。ってか。何か服色変わってるし」
確かに。スカートは濃い色だったのかあまりわからないが。上着。上の服は白い部分がグレー?ってかなんか染まっていた。
すると長宮さんから適度な距離を取って避けていた蓮花寺さんが話しかけて来た。
「奈都。とりあえず脱いだらいいんじゃない?」
ってら現状では無茶なことを言ったので。
「知らない男子が居るところで脱げるか!」
そんな返事をしていたが、いやいや長宮さんよ、ここに居るのほとんどクラスメイト。と俺が言おうとしたとき。あれ?今の返事だと、知っている人だと、にならないか?と思ったが。そんなことよりこの足元の最悪な状況。びちょびちょな状況を何とかしないとなので――と思っていると。
パタパタ――。
後ろから足音がしてきて、俺が長宮さんの手を持ったまま振り向くと。
「これ使って。保健室でたくさん借りてきたから」
「—―えっ?あー、すみません……えっと――ありがとうございます?」
いつの間にか石見先輩がタオルをもらいに行ってくれていたみたいで、長宮さんはびっくりしつつも、お礼を言いつつタオルを受け取り。とりあえず濡れたところを拭いていた。って――長宮さん手、握ったままなんですが――と俺が思っていると。
「後輩くん後輩くん」
「はい?」
石見先輩が俺に話しかけてきた。
「とりあえず――その水の上から出た方がよくない?滑ってこけたら――だよ」
「—―ですね。長宮さん。この上から離れよう」
「あっ。だねー」
そんなこんなでやっと濡れた廊下の上から俺たちは離れたが。長宮さんが――ヤバイ。これは普通に電車に乗って帰れるような状況ではなかった。なのである程度拭いて水がしたたり落ちなくなった後長宮さんは。
「マジでどうすんの?弁償してって今すぐ!冷たい。気持ち悪い!マジどうしてくれんの!?ってかあんたどこの誰!?」
今は話している相手をクラスメイトと長宮さんが気が付いているかは――だが。
ちなみに蓮花寺さんは。
「奈都ー。別にそれで帰ってもいいんじゃない?目立つだけだから。風邪ひくかもだけどー」
そんなことを言いながら笑ってみていた、って俺的にはなんで2人が学校に?なのだが、その時俺は思いだした。そういえば俺……朝体操服をカバンに入れなかったっけ?そうだよ入れたよ。ということを思い出したのだった。
「あっ。長宮さん」
「何松尾君。今私こいつ締め上げて弁償してもらわないと帰れないから忙しんだけど」
「—―いや、俺――今……お金――マジでごめん」
「……」
俺が話しかけると――激オコの長宮さんを見たのだった。
そして長宮さんに睨まれていた六石は――さらに小さくなり。ぶつぶつ言っていた。うん。これは怖いな。と俺は思いつつ。
「いや、その――長宮さん。俺――図書室に体操服上下あるから――とりあえず体操服でよければ――貸すよ?うん、あまり濡れたままは――身体によくないと思うし」
俺が恐る恐る再度声をかけてみると――。
「えっ――マジ?松尾君着替えあるの?」
「体操服ね」
「さすが松尾君!貸して――すぐ貸して!すぐ着替えたい!」
長宮さんの表情が変わりました。良かったー。その後俺は図書室へと着替えを取りに行きまして、体操服を持って戻って来て――長宮さんに渡したのだった。
それから長宮さん蓮花寺さんは着替えるからとトイレの方へと向かって行った。
ってことで、ここに残された俺がすることと言えば。
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