第103話 別のお手伝い

 石見先輩と飲み物休憩中。ってか俺が長宮さんたちと電話をしていたのでちょっと休憩時間が長くなっていたが。

 そろそろ戻ろうという時に職員室の方から楚原先生がやって来たのだった。


「今ね。荷物がちょっと届いたから――運ぶの手伝ってちょうだい」

「……マジか」

「後輩くんが長電話するから捕まるんだよ」

「いや、どっちにしろ図書室に居たら捕まっていたかと」

「あっ、確かに」


 それから俺と石見先輩は楚原先生とともに職員室へと向かったのだった。

 職員室のところには、なんか重そうな段ボールが。前にもこんな光景見たような――と俺が思っていると。同じものを見た石見先輩は――。


「後輩くん。実は私とってもか弱い子なの。こんな箱持ったら――二度と動けなくなっちゃう」


 なんか、急に最弱キャラを演じだした。


「……何を言ってるんだか。この先輩は」

「あっ。2人とも。ちょっとお願いね。まだこっちが片付いてなくて」

「……楚原先生は逃走を選択」

「私はか弱いの」

「石見先輩。急にかわいく言っても、既に石見先輩はパワフルって知ってますが」

「えー。でも本当にこんなの持ったら私家に帰れなくなるー。潰れちゃうって」

「……はぁー。ってか俺は運んできます。やらないと終わらないので」


 俺はそう言いながら箱を持つ。石見先輩でも持てなくはないだろうが――ちょっと大変か。と俺が思っていると。


「—―後輩くんにまかせて先輩がやらないのは――だね。うん。頑張る!」

「……何故かスイッチが入った」

 

 俺がそんなことをつぶやいていると、石見先輩。普通に持ちあげて、普通に運び出した。身体小さいのに――ホントパワフルだった。下手したら、俺より力あるんじゃない?というくらい。普通に元気だった。


 そんなこんなで俺と石見先輩は数回職員室と図書室を往復した。

 階段キツイだったな。って、片付け中なのにさらに片付けるものが増える図書室という。箱を図書室に運んだから――図書室の入り口付近箱の山というね。こりゃホント――終わりがなかなか見えないな。と思いつつ。

現在俺は石見見先輩とともに、もう箱は終わりかの確認のため職員室へと向かい。なんか別の事をしていて結局一度も荷物運びには参加してこなかった楚原先生に、もう箱はないことを確認したところである。


 重要な事なのでもう一度言っておこう。

 楚原先生は他の先生と何か話していたり――机で何かしていたため――不参加だった。全く運んでいない。以上である。


 でも本当に先生も忙しいのかもしれないので、深くは追及せずに職員室を出たのだった。職員室を出ると石見先輩が働いたー!というアピールなのか。ちょっと体操?をしつつ話しかけてきた。


「—―後輩くん。今日はもうお開きかな?」

「ですね。この荷物運びでもうすぐ下校時間ですし」

「じゃあ、図書室戻ろうかー。疲れた」

「ホントですよ」

「か弱い私をムキムキにしたいのか!だよね」

「先輩元からパワフル――」

「あー、もう私は歩けない。クタクター超クタクター。か弱いのー。歩けない!」

「いやいや今歩いてますよ?」


 俺は隣を歩きながら突然駄々をこねだした石見先輩に言うと。


「じゃあ、ここで駄々こねたら運んでくれる?ってもう駄々こねてるけど」

「お断りします。そのまま放置します」


 自ら駄々をこねていることを認めつつそんなことを言ってきたので気にせずに俺は歩いた。


「ひどーい。疲れてるのにー」

「先輩。駄々こねる元気があったら家に帰れると思います」

「この後輩くんはー。普通なら。私を運ぶってことは身体に触れるってことだから。男子なら喜んで来るのに――」

「運んでもらったことあるんですか?」

「ないない。そんなの嫌だもん。変な奴に変なところ触られそうだし。だから普通ならそんなこと言わないね」

「じゃあ今は何故――」

「後輩くんだからね」

「—―謎」


 そんなことを話しながら石見先輩と俺は図書室へと戻るため。廊下の角を曲がろうとした時だった。


「—―きゃあああ!」


 バッシャン!

 ――カン――カラン。


「「—―うん?」」


 何だろう――悲鳴と――何か。水?がこぼれるような音。さらに何かが転がる音?が曲がり角の先?から聞こえたので俺と石見先輩は顔を見合わせた後。ちょっと小走りで角を曲がってみると。


 そこには3人の人影があった。

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