第101話 先輩と飲み物
図書室での作業を少し中断した俺と石見先輩は2人で自動販売機のあるところへと移動しているところだ。
いつの間にか夕方になっていたのだが。まだ運動部とかは活動をしているので、声がどこからか聞こえてきていた。
そういえば楚原先生はどこへ行ったんだろうか。あれ以来見ない気がするんだが――とか思っていると自動販売機の前へと到着した。
「—―どれにしようかな」
俺は自販機の前でそんなことをつぶやいていると。
「後輩くん。お金お金」
「マジっすか」
いきなり奢れという感じにお金お金と石見先輩に言われたんですが。と俺が思いつつ石見先輩を見ると――先輩は笑いながら。
「うそうそ。逆だよ。奢ってあげる。何がいい?」
石見先輩はポケットに小銭入れを持っていたらしくそれを取り出しつつ俺にそんなことを言ってきた。
「えっ、いや、大丈夫ですけど――」
「いいからいいから。大人しく飲みたいの言う。はい」
「えっと――じゃあ、一番上にある炭酸飲料で」
「—―おぅ、この後輩くん――私の身長ギリギリを攻めてきた。なかなかやる――とおぅ!くっ――あと……ちょっと!」
そう言いながら小銭を入れた石見先輩が結構頑張って背伸びをしつつ。ボタンを押そうとしている。ほんとギリギリという感じで頑張っていた。それを見た俺は――って先に言っておくが。俺は意地悪をしたわけではない。たまたま飲みたいな。と思ったのが一番上にあったというだけだ。
一番上なら石見先輩届かないだろう。とかいうことは微塵も考えてなかった。ほんとたまたまというか何も考えずに言った。である
「あっ、いや、先輩。そんなつもりは、自分で押しま――」
「大丈夫。ギリギリ届くから。このくらい余裕……余裕……」
「……」
――ピッ……ガタン。
無事に届きました。拍手です。心の中で拍手をしておきました。拍手。俺がそんなことを思っていると石見先輩が取り出し口から飲み物を取り俺に渡してくれた。
「—―ありがとうございます。石見先輩」
「いいのいいの。私は――どれにしようかなー」
続けて先輩が買おうとしていると。
ピピピピッ。
「「うん?」」
投入金額のところに数字が揃っていて―――あたり。と表示されていた。
「おお、初めて当たった!ってかこれいつもハズレしか出ないから当たらないって勝手に思ってた」
「俺も初めて見ました。あたりっていう表示を」
「ラッキー。じゃあ私は大人の女性を目指して――カフェオレ」
「—―カフェオレ?」
「うん?」
「いや、なんでもないです。そうですよね。カフェオレ飲んでいる人って――仕事できるかっこいい人ってイメージありますよね」
「でしょー」
――うん。適当に言ったけど、実際どうなんでしょうか?誰か教えてくれだ。俺—―わからん。でも石見先輩の機嫌を損ねなかったみたいだから。よしか。と、心の中で思っている俺だった。
そして飲み物を2人で飲んでいると、
「ってか、ホント午後はあっという間だったよ」
石見先輩がそんなことを言いだした。
「まあ確かに。午後はなんか早かったですね」
「うんうん。後輩くんと2人っきりだっただけなのに、早かったよねー。ほらあれあれ、何かみんなでワイワイしてるとあっという間だけどさー。今日は2人だったのにあっという間ってね。うん。不思議ー」
「ワイワイですか。確かに石見先輩。人気ありそうですから――いろいろなところから引っ張られてそうですね」
「そうなんだよ。人気者は困るんだよ。こっちはトイレ行きたいのに声かけてくるからさー。我慢大会始まっちゃうし」
「—―何も聞いてないんですが――まああの、我慢は身体によくないかと」
「だよねー。うんうん。決壊しちゃうって」
「……俺なんの話してるんでしたっけ?」
ほんとちゃんと確認してないとわからなくなってきた俺だった。いやマジで決壊ってなんの話からそんなことにー!?だよ。と俺が思っていると。
「私が人気過ぎて大変ってこと」
「—―ま、まあそうなのか」
「ってか、大変なんだよ?ホント。私さー。初めにも行ったと思うけど。未経験なわけ」
「—―」
「だからかさー。何かたまに告白を連日――それも――明らかに変な奴ってか。もうやる気満々オーラばかりでさ」
呆れた表情で石見先輩は言ってるのだが。俺と石見先輩は本当に何の話しているのだろう。パート2……と思いつつ。
「それは何というか――」
「守るのも大変だぜ!」
「—―石見先輩って――――あっ、いやなんでもないです。はい。ないっす」
余計なことは言わないでおこう。と俺が思ったすぐ後に。
「なるほどなるほど。無駄に話さない方がかわいいと。照れるなー。後輩くん」
勝手に何か言っていた。まあ似たようなことはちょっと思っていたが。
「……先輩1人でもずっと笑ってそうですね。ってか1人でも話し続けそうですね」
「いやいやそんなことないよ。誰かと居ないとね。それも居て楽しい人としかならないよー。うんうん。ってか、後輩くんってさ。先生が言っていた気がするけど。ほぼ毎日放課後は1人で図書室の担当してるんだって?遊んでる?」
「えっと、いや、遊んでると言えば――はい。ですが」
最近振り回されてるからね。ホントいろいろ。予想してなかった生活しているよ。と、俺が思いつつ答えると。
「ほんとかな?遊びも大切だよ?後輩くん。真面目過ぎるのも爆発するからね。ドカーンだよ」
「—―先輩は本当に爆発させたんですもんね」
「はははー。ボン!だよ。ボン!ちょっと黒い煙がボン。キノコみたいにボンってしたからね。いやー、あれは焦った焦った。思い出すとホント私よく生きてたよって」
「……まあ、先輩に怪我がなくてよかったです。と言っておきます」
「私反射神経もいいからね。さっと避けたからね。ボン!っていう時には避けていたから」
「それ他に被害者が居たのでは?」
「—―—―あはは」
「うわー……」
石見先輩、過去にいろいろやらかしてます。はい。これは――犠牲者多数?などと俺が石見先輩の話を聞きつつそんなことを思っていると。
「でもでも、後輩くん。遊ばないとだよ?そうだ。今度私が遊びを教えてあげよう!」
「お断りした方が俺――安全ですかね?」
「よし、そうだ。後輩くんスマホ出して。連絡先交換しよう!」
石見先輩。俺の声など聞いてもない。スルーされたのだった。
「えっ?話が勝手に進んでいる……?」
「この学校では初の後輩だからね。もう聞かれたらなんでもサービスで答えちゃうからね」
「……個人情報が危機—―でもまあ――断れそうな雰囲気はないし――いいか。うん」
「はいはい。後輩くんスマホ。出す。スマホ。出す」
「—―不安しかない」
そんなこんなで、かなりの不安があったが――俺は石見先輩と連絡先交換をしたのだった。何か俺のスマホの連絡先――女子率高くない?それも――いろいろと人気がある方というか。目立つ方の。そんなことを思いつつスマホで石見先輩とちゃんと交換出来たか。確認しようとしたら。
♪♪~
そのタイミングで俺のスマホが鳴ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます