第98話 作業開始

 現在夏休みだが、学校へと登校してきている俺。そして、先輩に絡まれてます。


 ――おかしいな。俺図書室の模様替えというか。片付け?のために呼ばれたはずなんだが。今の状況を説明すると。


 一応俺は並び替えるためなどに出ていた本を正しい場所へと戻したりしようとしているのだが。


「ねえねえ後輩くん。後輩くんは夏休みなのに、なんでわざわざすぐに飛んできたの?」

「飛んできては無いんですがね。まあ暇だったからと言いますか――」

「えー、実は先生と2人っきり希望とかだった?残念でしたー」

「いやいや、ちゃんと連絡来た際に他に人が居ることは知っていましたし。楚原先生と2人とか疲れる未来しかないというか――まあ最近の経験上なんですがね」


 そんな感じで、石見先輩と話していると――楚原先生も入って来て。


「あれー。松尾君が酷いなー。私と居ると疲れると。それはもう最近の松尾君ハーレムだからね」

「ハーレム!?」

「……」


 あー、楚原先生またなんか余計なスイッチというか。石見先輩が好きそうなワードを言ってしまう。


 あっ、そうそう現状の説明だったか。現在俺は普通に作業をしようとしているのだが。両サイドに見た目は違うが似たような小さなお方に挟まれている。共通点で言えば、女性ということと、あれか年上の方2人に挟まれています。という事か?とにかく挟まれている。だから、作業が進んでいないというやつだよ。

 俺は図書室の片付け。模様替えにやって来たはずなのだが。なかなか進まない。

 ちなみにチラッと先ほど聞いたのだが――石見先輩の作業内容は、イラスト。絵を描くのが担当らしい。石見先輩はそういうのが得意らしい。楚原先生曰く。たまたま初めの時?だったかな。はじめての委員会の時に先輩が言っていた事をうっすら覚えていて。とりあえず連絡してみたら、家が近いということと。岩見先輩も今日は予定なし。そして楚原先生がお昼付き。と言ったためすぐにやって来たとか。

 そうそう俺が来た時は、イラストなどを描いたりするのに必要なものを取りに職員室へと行って戻って来たところらしい。 


 って、石見先輩は本の紹介などを描くとか言っていた気がするのだが。全くしてない。あと楚原先生も何か作業があるとか言っていたが。ずっと俺の隣に居るんですが?

 先輩と話したりで全く作業が進んでいるようには見えない。これ、1日では絶対無理だな。と、いう状況だ。


 あー、そういえば思い出したくなかったが。今さっき楚原先生がまた新たなネタ。ワードを投下していたか。と俺が思い出したと同時に。


「何何?後輩くん見かけによらず。やりまくり?裏の顔があるの?」

「—―何を言いだすんですかね?」

「えっ、だってハーレムなんでしょ?周りに女の子たくさんなんでしょ?あっ、私も女の子だからね?入れても別にいいよ?」

「—―この先輩本当に何言ってるんだろう?」


 俺が呆れつつ先輩の相手をしていると。


「松尾君はね。かわいい女の子――3人かなー?」


 楚原先生がまた燃料投下をしてきた。


「うわー、ハーレム。選びたい放題?いや全員もう食った?」

「……」

「でもね。本命は――1人だよね?」

「誰誰?どんな子?大人しい子?それともぶっ飛んだ子?または――中二?」

「あー、でも最近はもう1人――?」


 楚原先生何発燃料投下するんだよ。である。仕事して!


「おぉー、修羅場?修羅場?現状どうなってるの?見た目から全然そんな風に見えないんだけど。人は見かけによらないねー。うんうん。あっ大丈夫、別に私そう言うの気にしないからね。私が嫌いって思わない限り。後輩くんの話は聞いてあげるからね」

「……」


 ♪♪~


 俺の両サイドが――うるさい。この年上のお2人さんめっちゃうるさいです。作業が全く進みません。と俺が思っていると――校内放送がかかった。


「—―楚原先生。楚原先生。職員室までお願いします。楚原先生楚原先生。職員室までお願いします」


 俺の隣に居るお方1人がお呼び出しをくらっていた。


「あっ、忘れてた。2人ともごめんね。ちょっと職員室行ってくるから。こっちお願い」

「……」

「行ってらっしゃいでーす」


 楚原先生いろいろ言って退室しました。何もしてなくないか?であるが。もう居ないから何も言わない。って石見先輩と2人になりました。


「おお、後輩くんといきなり2人っきりだね」

「石見先輩。そろそろ本の紹介とか。イラストの作業を――」

「えー、じゃあ後輩くんのハーレム情報教えてくれたら作業するから。ってそうだ!」

「……はい?」

「いやいや後輩くん。ごめんね。肝心な事忘れてたよ」

「……肝心な事?」

「自己紹介だよ」


 ポンポン。


 石見先輩はそう言いながら俺の肩を叩いた。


 そういえば、何となくというか。楚原先生経由で俺の横に居る先輩が石見先輩。石見さんということは知っているんだが。ちゃんと自己紹介してないか。と俺も気が付いたのだった。


 ってかね。石見先輩と楚原先生がどんどん話すからであってですね。とかいろいろ言いたいことはあったが。やめておいた。

 俺が1人でそんなことを思っていると。


「はい。じゃ私から!私はね。2年の石見いわみいろは。最近のブームはねー。やっぱり絵を描くことだね。楽しいんだよ。あとねー。本も好きだよ?ラノベとかめっちゃハマってる。年齢制限かかるのもOK。あっ、これは公に言わない方がいい?でもまあ今は後輩くんしか居ないからいいよねー。あとー、まあ基本なんでも得意だから。勉強もスポーツも。あっ料理もね。まあ困ったことあったら私のところおいでよ。私の後輩くん知り合い第1号の特典としてなんでもみてあげようじゃないか!うんうん。私って優しい先輩。あっ。でも後輩くん私こう見えても未経験だから。もし何かあってのどういうルートでそんなことになるかはわからないけどー。一応言っておかないとね。そんなことが今後起きた場合は優しくしてね?」

「……」


 ………………うん?何か――めっちゃ楽しそうに俺の横で石見先輩が語った。語っていたが――なんか聞く必要のなかった情報が多々あったような?あったよな。後半とかほぼ。


「あれ?後輩くんがフリーズした?もしもーし」

「いや――なんか、いろいろ聞いたな――と。はい、一部は忘れておきます」

「えー、それは困るよ。さすがに初めてで激しくされたら私泣いちゃうよ?大泣き。訴えるよ?」


 バンバン。


 石見先輩は楽しそうにそんなことを言いながら、再度俺の背中をバシバシと叩いた。よし。理解した。石見先輩はテンション高め。そして、いろいろ余計なことも普通に話すが……万能な先輩。

 今のところデータとして頭の中に保存しておこう。何だろう。先輩――いろいろ残念――ではないんだけどね。ちょっとズレている?いや、何て言うんだろう。初タイプ?いや、結崎と比べると――あー、違う比べる人を間違った。結崎は真逆。というか。結崎も特殊な気がするが。結崎は今のところというか。昨日からハイパーポンコツぶり。というか。もしかしたら今も丸まっているかもしれないからな。そっとしておいてあげないと。


 あっ、そうだそうだ。長宮さんのレベルアップバージョンととらえたら……あー、でもここまで長宮さんぶっ飛んでないし。うん。難しいな。


「—―石見先輩」

「うん?」

「石見先輩。失礼な事をいきなりですが言っていいですかね?」

「おっ、チャレンジャー?いいねいいね。はじめからグイグイくる子好きだよ?」


 そう言いながら岩見先輩はニヤニヤと俺を見てきた。普通にしていたら――と思いつつ。


「石見先輩。ぶっ飛んだこと言ってないで仕事してください。今俺の知った情報だけだと。岩見先輩というお方は。仕事をせずに話してばかりで――と、評価最低ですよ?せっかくかわいい。ってのでも今の現状だとプラス評価にずっとならないですよ?」

「……」


 先輩が目をぱちぱちしながらこちらを見ている。

 いや、さすがにいきなり評価最低。というのはどうかと思ったが。実際石見先輩。何でも得意みたいな事言いつつも。作業は全く何もしないで、ホント話しているだけですからね。それもなかなかぶっ飛んだことをいれながら。

 でもまあそれだけだと、なので一応かわいいという。情報もプラスしておいたが。って、何だろう?石見先輩さすがにいきなりだから怒った?と俺が思っていると。


「—―私ってかわいいの?後輩くん?」

「……そこだけくいついたかー」


 もう俺ガックリである。この先輩強いわ。である。そこだけなの?


「ねえねえ自己紹介まだの後輩くん私ってかわいいに入る子なの?」


 再度石見先輩が聞いてきた。結構真面目なトーンで。


「すみません。自己紹介忘れてました。ってことで松尾守。1年生です。部活は入ってなく。放課後図書室によく居ます。というくらいで。あと、俺の勝手な感想ですが――って、そこではなく違うところに食らいついてほしかったのですが。第1印象が大切と言いますか。石見先輩の場合、話さずに立っているだけなら――印象はめっちゃいいかと。普通にかわいいので」


 俺は何を言っているんだ?と思っていると。


「おぉー、ぞわぞわー」

「……えっ?」

「後輩くんに私いきなり狙われた?まさかー。いや普段みんな一緒に騒ぐけどさ。私のことかわいいって言ってくる男子居ないよ?あー、中学の時はちょっと居たかもだけどー。でもはっきり言われたことって――って、女子にはねー。かわいい生き物とかここ最近はずっと言われるけど。って、そうだ後輩くんどう思う?かわいい生き物だよ?女の子として見られてないよね?私。はじめの頃こそちょっと嬉しかったけどさ。よくよく考えたらだよ。やっぱりみんなみたいに胸もないし。チビだし。このスタイルじゃダメだよねー」


 石見先輩はそんなこと言いながら笑っていた。って、石見先輩って話し出すとよく話すな。と思いつつ。それと同時に俺の認識がおかしいのだろうか?


「いや……そのまだ石見先輩の事ほとんど知りませんが――普通に美少女。はい。ってこの学校レベル高い子多いですね。ホント」

「—―後輩くん……大丈夫?」


 ガチトーンで心配されたよ。俺。


「……何で俺心配されているんでしょうか?」

「だって私の事かわいい。とか美少女とか?マジで大丈夫?病院付き添おうか?えっと――こういう時は眼科?いや――精神科?後輩くん何かショックな事あったの?大丈夫?私なんかがかわいいとか美少女に見えるとか。どんな酷い状況を経験してきたの?もっとかわいい子って居るよ?ちゃんとまわり見てあげて?」

「—―俺的には石見先輩の方が大丈夫?なんですが」

「いやいや。えっ?」

「えっ?はこっちなんですが」


 俺の周りに来る人は――おかしな人が多いのかな?


「2人ともごめんねーって?うん?何この甘い空気?もしかして――松尾君さらにハーレム拡大!?」


 楚原先生が帰還したのだった。またややこしい時に。


「……また勝手なことを言う人が増えた――いや戻ってきたか」

「先生。後輩くんが――」

「石見先輩。変な事言わないで。っておかしいの先輩もだから」

「ちょ、なになに何があったの?詳しく聞きたいわ!」


 ここで一度整理しておこう。

 図書室のお片付け。模様替えの作業進捗状況は――多分1%未満である。

 なのに、もう時間はお昼という。俺がらここに、図書室に来てから。石見先輩と話していただけじゃん。あっ訂正。楚原先生と。石見先輩と話していただけじゃん。


 ダメな3人が居るだけで全く終わりの見えない図書室だった。

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