第90話 another story ~母親~
とある日の昼過ぎ。
1人の女性が大学前駅から『これは本当に走るのだろうか』と初めてここに来たときは思ったっけ?と過去を思い出しつつ。小さな電車に乗り込んだ。
車内は私しかいなかった。
発車時間まで少しあったのでこれから乗って来るのかと思っていたが。結局発車時間になっても私1人だった。運転手さんと私だけで電車は動きだした。
そうそう、初めてあの人に連れてきてもらった時は、この電車脱線するんじゃない?ってあの人に聞いたっけ。と、ちょっと懐かしいことを思いつつ。窓の外を眺める。
大学前駅のあたりは、昔より発展した気がする。建物も増えた気がする。
そして次の高校前駅も前より。って、そういえばこの区間だけは時間によってはすごい人って聞いたような。ということを思い出しつつ。そのまま私は電車に乗り続ける。
そして電車が進んでいくと、閑静な住宅地。と言ったらいいのだろうか。そのような場所の駅に電車は止まり。その駅を出発し少し走り出すと電車はトンネルの中へ。トンネルを抜けたら――ここは異世界?と、思ってしまうような緑しかない駅へと電車は到着した。
線路はこの先へは続いておらず。むしろ線路上に木が生えている。どんなところってやっぱり初めてではないけど思ってしまう。
ここ何もないんだけど、大丈夫かな?と思ってしまうが。あの人のおじいちゃんおばあちゃんはここに住んでいるのでね。それに……頼るところはここしかなかった。
これから息子を預けるおじいちゃんおばあちゃんの家へと私は進みだしたのだった。
そうそう、何故か電車の運転手さんが何か珍しそう?な顔をしていたのは、なんだったのだろうか?と、そんなことを思いつつ。緑のトンネルというのか。何か両サイドから動物が出てきてもおかしくないような道を進んでいくと。普通に家が建っていた。
そういえばこの家しかないのかと思っていたけど、遠くには鉄塔とかがあり。なにかの建物?みたいなものが見えるので、ここを通る人は他にもいるのだろうか?などと思っていると家の敷地内へと私は入った。
◆
ここがあの人の実家である。さすがに駅からずっと上り坂だったので息が上がった。
私は少し家の前で休憩。息を整えてから、中へと入って行った。
私がここに来たのはホント数回しかない。でも、全く変わっていないと思う。昔懐かしい感じがあふれている場所だった。やっぱりあの人がここがいいという理由が少しわかった気がする。
ここなら守も私たちと居るより楽しく過ごせそうと。
私がそんなことを思いつつ室内を見ていると、事前に連絡してあったので、あばあちゃんがすぐにあの時と同じようの優しい雰囲気で私を出迎えてくれた。
そういえばおじいちゃんは?と思っていると。おばあちゃん曰く。外にぶらっと行っているからほっておいていい。と、でもいいのかな。だったけど。結構大切な話に来たんだけど。って、でもおじいちゃんは来なくて、結局それからおばあちゃんに話しを聞いてもらい。あの人も事前に連絡してくれていたみたいだから、私が思っていたよりあっさりと物事は決まっていったのだった。
にしても、本当におばあちゃんにしか話さなかったけど――いいのかな?だったが。帰り際。ちゃんと上手におじいちゃんにも話しておく。と、おばあちゃんが言ってくれたので、それを信じることにして、準備が出来たら守とともにまた来ることを伝え。私は帰ることになったのだが。
その時におばあちゃんに『ちょっと待っていておくれ』と言われ大量に。ホント大量にお土産をもらい私——帰りがとっても大変だった。荷物が行きのどうだろう?4倍くらいになったから。ホント大変だったよ。おばあちゃん。
ちなみに、先の話をしておくと。
守を連れて来た帰りは、それ以上のお土産があってホント大変だった。あの人は喜んでいたけど、離れる前に懐かしい味をたくさん食べれるし。持っていける。と、でもね。私の腕が太くなるからね?筋トレなんて予定になかったんだけど。だった。
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