第88話 another story ~DIY~
これはまだ自宅の庭にあった小屋がわしの趣味部屋だった時の話じゃ。
趣味部屋とか言っておるが。その頃のわしは趣味部屋という言葉は使っておらんだな。趣味部屋と言ったのは――守が部屋を初めて見てだったかの。
なんかの。それからわしの部屋ではなくなったが――あそこを趣味部屋と言うようになったんじゃ。ってこのことは別にいいかの。
これは守がここへ。わしとばあさんのところへと来る前の話じゃ。だからわしは――はて、その時はなんとこの小屋を呼んで折ったか……うーん。うん。何じゃったか……そのまま言っていたはずじゃが――あっ。小屋か。そうじゃ小屋だ。
それじゃあの。ちょっと過去に戻るかの。
◆
「守がここで住む?」
それは突然の事じゃったな。
いつものようにばあさんと普通に朝食を取っていたら――じゃ。
何か詳しくは知らんが。昨日わしがそこらへん。家の周りじゃな。とにかくいろいろと外で作業をしている時にどうやら守がここへと来た。
いや、訂正じゃな。
守はまだ小学生になったかなってないくらいじゃったから。1人で来ることはまだないな。だから――誰が来たんじゃ?うん。まあいいか。わしは見ておらんからな。考えるだけ無駄じゃ。答えを知らんからな。
でもまあとりあえずまあ守の母親かの。あいつは――だからの。まあ苦労をかけておる。って何の話じゃった?
そうじゃそうじゃ。守がこんな暮らしにくいところに住む?じゃったな。
それからじゃ。朝食を取りつつばあさんから話を聞いていると――まあ、わしの居ないところでいろいろ決めたらしいわ。まあそれはいい。ばあさんにまかせてあるからな。
でだ。簡単に言うと。
そのうち守がここに住んで、ここから学校に通うと。ほう。そりゃ大変じゃの。ってことで。守も大変じゃろうが。わしらの生活に何か変かあるかの?とばあさんに聞いてみると。
「守の部屋がないじゃないですか!」
そんなことを言われた。
――そうじゃの。言われて気が付いた。
この家は、まあ部屋は多いが――どの部屋もなんか物置になりつつあるからの。
買い物が不便だから。いろいろ多めに買ったり。予備を買える時に買ったりで――まあ部屋はあるにはあるが。片付けんと守が使えんか。と、わしが思っていると。
「じいさんの小屋を守にあげたらいいじゃないですか?」
「……小屋をか?」
ばあさんはそんなことを言ってきた。
小屋というのは家の庭にある――まあ小屋じゃ。うん。小屋じゃ。でもなかなかいいところじゃぞ?そこそこ広さがあっての――わしの物置き場になっておる。
自慢じゃないがの。もちろん家にもわしの部屋はあるんじゃが。物が全部置けんくての。それにばあさんに勝手に捨てられることもあるからの。若い頃にトンカントンカン作ったんじゃよ。わしが。そうわしがその小屋をの。
まあちょっとの、そういう経験が昔あっての作るのは得意なんじゃ。ってその小屋を守にか。確かにばあさんの言う通り。それはいいかもしれんの。守は男の子じゃからの。1人になれる場所がそのうち必要になるじゃろうし。うんうん。と、そんなことを思いつつわしが頷いていると。
「じゃあ、じいさん。守が来る前に綺麗にしておいてあげてくださいよ」
「—―うん?」
うん。わし何か言ったかの?いろいろ考えていただけなんじゃが。何かをばあさんに読み取られたのか。勝手に決まったの。まあいいかの。
とりあえずこの日から久しぶりにわしの作業が始まったんじゃ。
あれじゃ。何て言うんだっけの。最近テレビで何か作ることを――あれじゃ……あー。なんじゃったかの?誰か教えてくれんか?あれじゃあれ。アルファベット言うんじゃったか――あれだ。そうじゃそうじゃ!DIYじゃな。
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