第86話 another story ~お隣さんの話~

 昔から目立つことは好きだ。

 あと、楽しいことをするのも好きだ。

 気になったらなんでも試したくなるのが私だ。


 時にはら黒板消しをドアにセットして、先生にど叱られたりした過去もクラスのみんなは爆笑してくれたんだけどなー。


 またある時は理科の実験中に――ちょっとわかっていて……うん。ちょこっとしてみたら。爆発もしたかなー。うん。めっちゃ怒られたー。


 後は――運動会や音楽会でも目立ったなー。うん。楽しかったよ。みんな笑ってくれたし。


 楽しいのっていいじゃん。

 あと。動くのも楽しい!


 そんなある日の事だった。


 私はお父さんお母さんに隣に住んでいる子と仲良くしてあげるように言われた。


 お隣に住んでいたのは女の子。年は私より下だった。1つだけね。


 いつもボソボソって感じの子だけど、たまに見せる笑顔がとってもかわいい子。恥ずかしがっているところもなかなか。うん。かわいい。

 そんな子に私がいろいろ教えると、私のことを尊敬の眼差しで?かな。うん。すごい。って毎回言ってくれる良い子。


 私はただ自分が知っていることをやっていた。教えていただけなんだけど、彼女。ゆえちゃんには別の世界でも見ているかのような感じに見えたのかもしれない。私が話すこと一つ一つにすごく興味ありげだったからね。


 私もゆえちゃんと過ごす時間はすぐに楽しい時間になり。今日は何をやろうか。と、考えるのが毎日楽しかった。


 そんな日々がしばらく続いたんだけど、しばらくして、私が中学生になると学年が違うから。小学校と中学校だからね。一時期会う時間が減っちゃったけど、1年後にはゆえちゃんも中学生になってまた楽しい時間が……となるはずだったんだけど――。


 私は中学2年になって少しした頃……。


「お前。ホント男みたいだな。男男」

「実は本当に男?行動が男みたいだもんな」

「男子トイレ普通に入ってきそうだよなー」


 ちょっとからかわれた。というか。いや、多分彼らはいつもの会話の一部だったのだと思う。悪気はなく。でも多分私が目立ちすぎたのか。


 それから何故か一時期一部の男子グループから毎日ちゃちゃを私は入れられるようになった。


 確かに他の子から見たら、私は基本今までは髪も短めばかり。そして動き回るのも好きだったので、なんか行動もお淑やか。とか。大人しい。というのからはかけ離れていたし。それに男子と居ることも多く。別に下ネタとかそういうのも普通にだったので。多分、みんなそれが遊びの一部だったのだと思う。

 私もはじめは笑って過ごしていた。

 ちなみに、あまり言いたくはないが。私の身体も……あまり成長してないんだよね――。うん。この身体の馬鹿野郎!


 年下のゆえちゃんにも、えっと……小6くらいでいろいろ抜かれてたし。

 って、まあ何が原因かはわからなかったけど、一時期からかわれる。ちゃちゃを入れられることがあり。しばらくは先ほども言ったように笑って私も過ごしていたが――なんか周りの雰囲気。男子ではなく。女子のグループからも変な感じに見られだしてしまい私は体調を崩したのだった。


 ただ今までに経験したことない感じだったから疲れただけ。

 そうだ。元気になったらゆえちゃんと遊んで気分転換すればいい。

 今はゆえちゃんまだ中学に入ったばかりで、バタバタしているみたいだし。などど思いつつも。

 私の体調はしばらく悪かった。


 ――そんな時だった。たまたまお父さんが急に転勤になった。そして私は引っ越すことになった。なってしまった。


 ほんとはゆえちゃんに、ちゃんとサヨナラを言いたかったが。この時一番弱っていた私は、今の自分を見せるのが恥ずかしかった。ゆえちゃんの前ではお姉さんでいたかったから。だからお母さんたちに上手に伝えておいてもらうことにした。お父さんお母さんは優しく頷いてくれたなー。うん。

 ちなみに私のお父さんお母さん。昔から私がとんでもないことをしても、笑って話を聞いてくれるような優しい親です。うん。さすがに爆発させたときは怒られたっけ?うん。でもすぐに笑っていたかな。


 って余計なことは置いておいて。

 ほんとはこの時にスマホがあればゆえちゃんと連絡先を――ということになったのだけど。あいにく私のところは高校生になったら。ということだったからまだスマホを持ってなかった。それにゆえちゃんも持っていなかったと思うしね。


 だから連絡先も交換できなかったから、もうゆえちゃんには会えないよなー。それに自分で挨拶もしないで居なくなっちゃった人の事。ゆえちゃんがどう思うかなーとかとか。そのときはいろいろ思っていたなぁー。あの時はマイナスな事ばかり考えていた私だった。


 そして、ホントに私はゆえちゃんにちゃんと話すことなく。その時住んでいた土地を離れたのだった。

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