第79話 2人も居る

 夏休み初日から賑やかになっている俺の部屋。


 現在は結崎と長宮さんが俺の部屋に居る。というか居座っているだな。こんな夏休みは予想してなかったな。

 あれから2人はちゃっかり昼ご飯も食べて……あっ。今は既に食べ終えている。

 ばあちゃんがね。あの後結崎の登場にも気が付いたもので、料理を頑張ったんだよ。ちょっと挨拶をしているな。と思っていたらいつの間にか消えて。

 次に登場したのはお昼ご飯完成のご連絡だったんでね。行動は早かったよ。ばあちゃんにもびっくりというやつだよ。毎度毎度というか、結崎とかが居ると、いや、今では長宮さんが居ると超頑張るんでね。


 とまあそんなことがあったが。今は俺の部屋に居る。

 外は暑いからな。先ほどせっかくお昼ご飯に素麺を食べて涼しくなったところなので、食べ終えた後はそのまま涼しくなっていた俺の部屋へと3人で移動となった。

 ちなみに2人がそれぞれの家に帰ってないのは『真昼間には動きたくなーい。どうせ夏休みなんだから良いでしょ?』やらを長宮さんが言ったのでね。それに結崎もセットになったという感じだ。


 にしても、ホント昔から居るかのような。利用しているかのような感じで、人の部屋でくつろいでいる2人だった。とくに長宮さんダラダラで、何度も結崎が指導というか。だらしないやらやら言っていたが。変化なしだな。結崎ももう呆れていたから後半は何も言わなかったし。


 そうそうちなみに長宮さんは結崎の持って来た服に少し前に着替えたのだが。


「……微妙に全部ゆえの方が大きい」

「奈都。うるさい」

「大丈夫だよー。誰もおデブさんなんて言ってないから」

「デブですよー」


 そんなやりとりが俺の前で行われていたのだが……いやいや、結崎も細いから。とか俺が思っていると。


「じゃ松尾君に聞いてみよう!」

「……」


 いきなりバトンが飛んできた。マジかよ。である。なんで俺にその会話の時に話をまわすかな?と思っていると。


「なっ、奈都。松尾君を困らさないの!」

「ってかさー。ゆえ」

「……何よ」


 そう言いながら長宮さんは結崎の肩に手を置いて。


「松尾君がそんなに気になるならー」

「ちょっといきなり何言うの!」


 なんか騒動が起きそうというか。耳栓が居るかな?と俺は思いつつ。自分の部屋に居るが撤収も必要か。とかいろいろ思っていると、長宮さんは俺の方を見て。


「いやいや、さすがに松尾君ももう気がつくよね?これだけあからさまだと?見ているこっちがモヤモヤなんですけどー」

「えっ?」

「……奈都……?」


 また急に話を振られたが、なんだ?と俺が思っていると、長宮さんの横で結崎はそわそわして……長宮さんはニヤニヤ。マジでなんだこれ?と思いつつ。


「えっと……何を?」


 2人の方を見ながら聞く。


「……」

「……」


 するとなんとも言えない表情の2人になった。


「えっと……うん?」


 何で沈黙?と俺が思いながら再度2人の方を見ながら反応すると。


「…………あれー!?まさかの?」

「えっ?」

「もう、なんなのこの2人ー」


 いきなり俺は長宮さんに文句?を言われたのだった。なんで長宮さんは『そんなバカなー!?』みたいな表情をしているのだろうかと俺が思っていると。

 先ほどは結崎が呆れている表情をしていたが。今度は長宮さんが呆れた表情となり。


「まあ――よかったねー、ゆえ。まだチャンスあるよ、早く言っちゃえ。言っちゃえ。もうゆえからアクション起こさないとこれ進まない気がするから。まあゆえが言わないなら私がー……にやにや……ふふっー」

「ちょ、奈都。ホント黙れー!」


 そう言いながら結崎がめずらしく?というのか。いや、長宮さん結崎のやり取りならよくあることなのかもしれないが。長宮さんが結崎に押し倒されて手で口を押えられていた。

 でも、長宮さんがやられっぱなし。ということはなく。すぐに結崎の手をくるりと避けて。


「きゃっきゃ!松尾君松尾君助けてー。ゆえがいじめてくるー」


 とか言いながら俺の方にやって来たが。こんなやり取りに巻き込まれたくはないので。絶対巻き込まれたくない。


「お断りします。あと結崎は暴れてまた倒れないように」

「あっ……はぃ――」


 俺が向かってきた長宮さんをかわしつつ。一応結崎に声をかけておくと、結崎はハッとした感じで行動を止めた。即止まった。ってか。そこまでピシッと俺の言う事なんか聞かなくてもいいんだぞ?一応声かけただけだし。。


「にひひー、やっぱ面白い!」


 俺の方へと避難してきていた長宮さんは楽しそうに笑っていましたとさ。それを見た結崎は。


「奈都!」


 また叫んだのだった。


「やばーい。めっちゃ楽しい!」

「……」


 これは――なかなか大変な状況でしたね。

 長宮さんは何を先ほど言っていたのだろうか。と俺がちょっと考えていると。また長宮さんのなんか余計な一言?がその後もいろいろとさく裂したため。俺に考える時間などは無く。巻き込まれないように2人と適度な距離を取っていた俺だった。 

 ちなみに、長宮さんが俺に近寄って来るから、ほとんどずっと巻き込まれていたようなものだがね。来なくていいから!


 とりあえず夕方までは涼しい俺の部屋でそんな会話?ドタバタ?が続いていた。

 ってか、この2人騒いでいたが。結構くつろいでいたな。俺の部屋で。


 ちなみに夕方?の前くらいか。

 ばあちゃんから電話で呼び出しがあり。途中でアイスのおやつが出てきて、結崎、長宮さんがとても喜んでましたね。

 ばあちゃんはばあちゃんでいろいろと出してくるというか。マジでどこから出てくるんだよ。だが……まあいいか。考えるだけ疲れるし。って、既に疲れているし。


 それから少ししてか。やっと長宮さんが自分の家へと帰る気になった。というか。あれだな。まずは思い出したか。


「そういえば……洗濯忘れてた!」


 結崎と話している途中で、長宮さんがそんなことを言いだして、そこで長宮さんが洗濯を取りに外へと行ってバタバタと。ちなみに結崎がお供をしていた。

 理由は、まだなんかいろいろ長宮さんが言っていたんでね。それの口止め?かはわからないが。なんか言い合いながら2人は俺の部屋を出て行った。


 ってか、なんかわからんが。いろいろ2人が話していたのは、何だったのか?そのうち蓮花寺さんに聞けばいいか。とか思っていた俺だった。


 それから洗濯の片付けが終わり。少しして長宮さんは荷物をまとめ出して夕方。やっと結崎。長宮さんの帰宅となったのだった。


「あれま。もう帰るのかい?」


 なお、帰ろうとしていた2人にばあちゃんが、晩ご飯もまさかの準備をいつの間にかしていたらしく。ばあちゃん頑張りすぎ。と俺が思っていると。


「なら、私は朝ご飯も貰ったし。ゆえ。私の分も食べておいてー」


 そんなことを長宮さんが突然言い出しまして。


「ちょ。奈都?」


 突然の事に結崎が慌てていたが。長宮さんは何食わぬ顔で。


「せっかく作ってもらったんだから食べないと。私はお邪魔虫みたいだからー。先に帰るねー。親も帰らないとうるさそうだし。ゆえはいいよねー。1人暮らしだから」

「ちょちょ、奈都。何勝手に……」

「にひひー。何か進展ないかなー。無いなら本当にー。だからねー」

「……む――」


 ほんと最後まで今日は2人とも元気だった。


 なお。それからばあちゃんが作った料理の一部は長宮さんも持ち帰ることになった。

 いや、ばあちゃん料理を詰めるのも早くてね。気が付いたら持ち帰り準備に入っていたよ。

 そんなこんなで、長宮さんは帰宅。結崎は、俺の家で晩ご飯のち帰宅ということになったのだった。


 ……何でこんなことに?だったのだが。

 ばあちゃんがいろいろ作ったから。結崎には消費の協力をしてもらうことになったということだな。


ってかホントいろいろ予想外というか。1日の間にいろいろありすぎて、わけわからん。と思っている俺だった。

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