第77話 お届けに来ました
翌朝。俺は朝起きると同時に。長宮さんを起こさないように、じいちゃんばあちゃんの家の方へと向かった。
なんやかんやで疲れていたが。いつもの癖というか。起きる時間になると自然と起きる俺の身体だった。習慣というのはすごい。って、何故早々と動いたかというと、ばあちゃんに昨日の夜いろいろあって、長宮さんが来て泊まっていることを伝え……朝食の準備をお願いしたからだ。
隠す必要はないというか。いや、長宮さん爆睡だったから、起きたら起きたで今度は『お腹すいたー』とか言いそうな気がしたのでね。準備です。
あと、いろいろ騒ぎになる前に自分からご連絡。説明というやつですよ。これ大事。っか、今日も朝から暑い。太陽の光が強すぎんるんだよ。マジで。ちょっと外を移動しただけで、すぐに汗が出てくる状態だった。
俺がそんなこと思いつつ。じいちゃんばあちゃんの家から部屋へと戻ると。
「……あっ、おはよー、松尾君。早いねー。起きたら松尾君居なくてちょっとびっくりしたよー見捨てられた?って」
ベッドの上で座りつつ。まだちょっと寝ぼけモード?の長宮さんが居た。
「おはよう」
俺が返事をする長宮はベッドの上で背伸びをしていた。様子からして……良く寝れたらしい。っかお腹がちょっと見えているのは……報告しなくていいな。
報告したらしたでなんかまたいろいろ言われそうだし。
俺がそんなことを思いつつ長宮さんから視線を外す。と、同時だった。
「松尾君。お腹すいたー」
「……」
そんな声が聞こえてきた。俺の予想は的中。マジか。と俺はちょっと思いつつ。
「……ばあちゃんに頼んだから。そのうち行けば朝ご飯はちゃんと準備されているかと」
「さすが!って、松尾君松尾君」
「うん?」
「女物の着替え持ってないよね?」
何をこのお方は突然何を聞いてくるのだろうか。あったら怖いわ。と、俺は思いながら。
「持ってるわけないね。うん。再確認というか。再度ちゃんと言っておくと俺は男ですから」
「じゃあ……ゆえ――もう元気かな?」
「はい?」
なんのことを長宮さんは言っているのだろうか?と俺がちょっと考えていると。
「いや、だってさ。さすがにノーブラノーパンで体操服のこの姿で家に帰るのはー……だからねー。それにサイズあってないから何か変でしょ?これで大学前の駅前は流石に恥ずかしいし。まあ公民館前くらいの雰囲気なら普通に帰れるけど。多分誰にも会わないだろうし。でも大学前を通過するのはねー」
長宮さんはちょっとサイズの合っていない体操服を引っ張りながらそんなことを言った。って、お願い長宮さんいろいろ主張じゃないが――言わないでくれ。整理が大変というか。避けなことを想像してしまうから。っか。そういえばそうか。長宮さん――それだけなのね。って、それでよく男の部屋で寝ていたというか。いや、俺はもちろん何もしないが――でもね。俺いつの間に信頼得た?
「まあ――えっと、確かに……ちなみに洗濯は可能かと思うけど」
何とか冷静さを保ちつつ俺の頭が出した答えだ。普通。洗濯という選択肢があるのではないだろうか。とね。
「あっ、そっかそっか。パンツはもう見られたから洗濯も大丈夫かー。松尾君は今更だもんねえーきゃー」
そう言いながらなんかニヤニヤしながら俺を見てくる長宮さん。朝からテンション高いな。って、これ通常運転か?
「……よく思い出させるよね?」
これ長宮さんわざしているだろな。楽しまれてるわ俺。
「にひひー。私のパンツ見てきた松尾君って噂の準備?かな。何かあったら即広がるように?」
「やめてくれ。マジで」
「あははー。ってかまずはお腹すいた。マジではらぺこっす。松尾君」
「……はぁ……はい。こちらです。どうぞ」
「はいはーい。あっ顔だけ洗わせてー」
「洗面所なら向こうです。はい」
そんな感じで長宮さんをじいちゃんばあちゃんの家の方へとご案内のち……とりあえずは朝ご飯となったのだった。
っかじいちゃんばあちゃん。突然現れた長宮さんに対して普通に接しているというか。なんで普通なんだろうか?いやいい事なんだが。変に騒がれてもだからな。でも、なんか逆に気になるというか。結崎が馴染んでいるのは最近なら何となくわかるが……何故に長宮さんも馴染んでいる?と思っている俺だった。
そんなこんなで朝ご飯の時間は普通に流れていき。長宮さんが『日本食!』とか言いながらばあちゃんと楽しそうに話していた。
それから朝ご飯の後に、長宮さんは結崎に一度連絡する。ということで、俺の部屋に戻って来ると。
「スマホスマホー」
長宮さんはそう言いながらスマホを手に取ってから俺のベッドに座り……寝ころんだ。めっちゃ人の部屋でくつろいでいるな。長宮さんも。
俺がそんなことを思っていると、長宮さんは自分のスマホを操作して、うつ伏せになってから。スマホを耳に当てた。くつろぎすぎだろ。少しすると。
「…………あっ、ゆえ?奈都だよーわかる?わからない?ってか生きてる?」
「……」
普通に結崎と電話を始めたのだった。ホント突然始めたよ。ちょっとびっくりしたわ。
俺がそんなことを思っている間も、ベットで寝ころびながら長宮さんは結崎と電話をしており。俺はとりあえず静かにしている方がいいか。と、部屋の隅っこで大人しくしていることに。
「もう大丈夫なの?」
「……」
「おー、よかったよかった」
「……」
「あっ、でさ。病み上がりのゆえに頼むのもだと思ったんだけどー。着替え一式貸して?ってか持ってきてほしいんだよ。うん。全部。下着から全部。ホント全部。ゆえの使ったのでいいから持って来てほしいんだよー。多分ゆえのサイズなら私問題ないというか」
「……」
「いやー、着替えが無くて困っているんだよ。うん。今めっちゃ困ってるの、動けなくて」
「……」
「うん?あー、今はね松尾君とこに居るー」
「……」
「昨日ゆえを送った後終電のがしてさー。ってか、ゆえを送った時点で気が付いていて。ゆえに泊めてー。って言いかけたけど。まあ松尾君居るし。ゆえは休ませてあげないとかー。で、結局ゆえの松尾君と2人っきりで寝たの。うん……。うん?………………あれ……?ゆえ?あれれ?もしもーし……?ゆえさーーーん?……ちょっと――?」
長宮さん。なんかいろいろ変な言い方してるな。と、俺は聞ききながら思いつつも結崎みたいに声を挟むというか。いや、なんか俺が聞いていると結崎にバレるのがね。長宮さんと一緒にというか。近くに居るアピールになるから。って、にしても長宮さん言い方。とか俺が思っていると。きょとんとした表情で長宮さんがこちらを見てきた。って、その前よ。前。なんか騒いでなかった?何があった?
「……あの?長宮さん?お電話中すみません。変な言い方しないでもらえます?普通に普通にあったことを話してもらえませんかね?」
さすがに、なんかいろいろ変な言い方を長宮さんはしていたのでね。めっちゃ楽しそうな顔をして。だからちょうどこちらを見てきたタイミング。結崎にもここに居る事言っていたし。俺が口を挟んでいいだろうと思い。声をかけると――うん?だった。
「…………ねえねえ、松尾君」
長宮さんはスマホを耳から離しながら……こちらを見てきた。あれ?電話終わった?いや、変なタイミングじゃなかったかな?
「……はい?」
「ゆえに電話切られたみたい」
「……何故?」
えっ?長宮さんなんか結崎怒らせた?
「うーん。さすがにまずかったかな?言い方ミスったかな?松尾君寝取った。と思われたかな?」
「……はい?」
何言ってるんだ。この方。と思っている俺。うん。ってか……ホント何を言っちゃったのかな――そういえば、長宮さんそんなこと言ってた?俺あまり聞かないようにと言うか。ぼっとしてましたから。
とりあえず、一瞬だったと思うが……なんか俺の部屋は変な空気?となりましたとさ。
いや長宮さんがマジでやっちゃった?みたいな顔をしていたんでね。両者一時的に言葉を失っていたというやつですよ。
どうなるのこれ?って、結崎どうして電話切った?切ったんだよね?俺は状況把握できてないが。
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