第76話 2度あることは……9

 田園駅から長宮さんを何故かおんぶで運んできた俺。

 今は俺の部屋へと入り。やっと長宮さんは俺の背中から降りたところである。

 そして俺は風呂へと向かう長宮さんのために準備中だ。先に風呂場を見てきてお湯がまだあったので温め直してから、部屋へと俺は戻って来て。


「じゃ、とりあえずバスタオル」


 俺はそう言いながら長宮さんにバスタオルを渡した。


「ありがとー、じゃパパっと借りるねー。ってごめんごめん。あと着替えも貸してー」

「あー、でも着替えは体育のジャージくらいしかないけど……?」

「体操服でいいよ?ジャージだと長袖長ズボンだし。暑いからー。だから半袖短パンでOKー」

「了解」


 それから俺は着替えも準備してから、長宮さんに風呂を貸して……。


 しばらくすると体操服姿で長宮さんが戻ってきた。


「いやー、意外と松尾君の着るとぶかぶかだね」


 こんなことを言いながらね。そりゃそうか。と俺は思いつつ。


「まあサイズが違うから。っか俺も風呂行ってくる」

「はいはーい。部屋あさっとくからー。ごゆっくりー」

「やめて!?」


 さらっと何を言いだすのか?だったな。俺は風呂場へと向かいかけていたが急停止した。


「ダメ?」

「ダメですね。ってか別に何もないが……こんな時間に散らかされたら。だから」

「えー、あっじゃドライヤー貸して」

「……そちらです」


 俺は長宮さんにドライヤーだけ貸して……とにかく高速で、部屋をあさられる前に風呂に入り。ささっと部屋に戻ったのだった。

 俺がパパっと部屋へと戻って来ると……。


「松尾君。戻って来るの早いねー。って早すぎー。何もあされてないし」


 鏡を見つつ髪をとかしている長宮さんがまだ居た。とりあえず活動前には戻って来たらしい。


「早く戻ってきてよかった……ホント部屋をあさられるとだからな」

「まあしないよ。多分」

「……本当にもう」

「ってか。男子と2人っきりの夜とかやばいねー。はじめてかも」

「前も居たような……」


 俺が少し前の事を思い出していると。


「ゆえがいたじゃん。今は2人っきりだよ?クラスメイトと2人っきりー」


 そう言いながら楽しそうにベッドに移動して胡座をかいて座る長宮さん。いろいろいってるがくつろいでらっしゃる。


「まあ松尾君はまさか手を出してこないと思うけどー。ゆえがいるからね」

「何を言っているのか」

「だってー、松尾君取ったら私ゆえに刺されるかもだし。まだ死にたくないからねー。あっ、でも意外とそうなったらなったで、一夜を共にしておけば松尾君が守ってくれる?ゆえその場合どうするかな?これは……松尾君が面白そうなことにはなりそうだから……松尾君。私とこっそり付き合ってみる?」

「……なに?その軽い感じ。ってか何を言いだす?」

「あははー。ゆえがどう反応するかの実験?的な。面白そうじゃん」

「やめなさい」

「えー、結構楽しそうだけど?」


 結崎よ。長宮さんといるとバタバタ倒れることになるかもしれないぞ?とか俺が思っていると…。


「ってか。ほんとに2人付き合ってないの?」

「ないですよ」


 なんでそう思うかね?と俺が思いつつ返事をする。


「謎ー。早くくっついたら?それの方がいじりがいがある」

「はぁ……ホント何を考えてるんだか」

「あははー。ってか松尾君」

「……次は何でしょうか?」


 なんか嫌な予感。と俺が思っていると。


「私さ。今ノーブラノーパンなんだよねー」

「……はい?」

「だって下着は着替えがないからねー」

「……わ、わざわざ報告の必要ある?」


 いやでもと言うか、視線が長宮さんに向く。


「松尾君がどうでるかな?って、にひひー」


 長宮さんはちょっと照れつつ?いや、風呂上がりだからか。なんか楽しそうにそんなことを言っていた。俺完全に遊ばれているな……ということで。


「……何もしませんので。はい」

「えー、でもちょっとくらいは?」

「ない」

「即とは傷つくなー」

「ホント何のやり取りしてるんだが……」

「まあ松尾君の調査だね。どこで手を出してくるか」

「そんなのしなくていいから」

「まあ泊めてもらったお礼くらいするよ?」


 そう言いいながら手を広げる長宮さんだが……もちろん。


「とっとと寝ろ。だな」

「あっ、暗闇派?確かに私もそっちの方がいいかなー。見えると恥ずかしそうだし」

「マジで寝て?大人しく」

「あははー、ヤバイ。松尾君と居ると楽しいわー」

「はぁ……」


 俺がもう嫌。と思いつつ床に座り。さてどうやって寝ようかね。なんか枕になりそうなものがあれば十分か。とか思っていると。


「ってか、松尾君ベッドで寝ないの?」

「床で問題なしです」

「いいよ。2人なら寝れるっしょ?」

「……いや、いろいろ問題ありそうだから」

「気にしなくていいって。ほらほらー」


 そう言いながら長宮さんがベッドをパンパン叩いていたが。なんかね。いいのかなー、ってのと……俺の身が危険な気がしてね。とか、俺が思っていると。


「なら、私も床で寝ようかな」

「いやいや、それはだから。長宮さんはベッドでどうぞ」

「えー、松尾君が床なら私も床。松尾君がベッドなら私もベッドで寝る」

「なにそれ……」

「だから。一緒に横になって語ろう。だよ」

「……」


 そんなことを笑顔で話す長宮さん。これは……今日俺寝かせてもらえないのかな?とか思いつつ。その後長宮さんが強制的に俺を捕まえてきたので、結局俺はベッドで寝ることとなったのだが、長宮さんと語ることはなかった。


 何故かって?

 だって長宮さん即寝たし。めっちゃリラックスして爆睡だった。俺が寝てなんか横が静かだなー。と思ったら爆睡してたし。以上である。


 でもなにもなく進むが無難だからな。俺としてはよかったである。

 取り調べとかされていたら……俺翌日倒れてそうだし。


 っか、俺もいろいろあった夏休み初日はとっとと寝たのだった。


 夏休み初日……にはまだならないのか?今日学校が終わったら……ってまあいいや。眠い。うん。という感じで俺は夢の中へと旅立ったのだった。

 さすがにいろいろ頑張ったからね。疲れたよ。である。っか暑さも原因だよな。うん。日中暑すぎなんだよ。どうなってるの地球。だったな。

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